実家が空き家になったらどうする?相続手続きの流れと管理・活用・売却時のポイントを解説
このコラムでは、空き家になった実家を相続する際にやるべきことについて解説します。
相続手続き(相続登記)の流れや、維持管理、活用、売却など、空き家の最適な対処法を検討するために役立つ情報をまとめていますので参考にしてください。
コラムのポイント
- 空き家になった実家を長く放置しているとさまざまなデメリットが発生するため、相続が発生したらできるだけ早く相続登記を済ませ、活用や処分方法を検討することが大切です。
- 将来活用する予定がある場合でも、それまでの間、適切に維持管理していくことが不可欠になります。
- 空き家の相続や活用で困ったら、維持管理や活用、売却、リフォームなどさまざまな手段に対応できる、地元密着の総合不動産会社に相談するのがおすすめです。
Contents
空き家になった実家を放置するリスク
親が亡くなったなどの理由で実家が空き家になった後、「いつか使うかもしれないから」「解体するにも費用がかかるから」といった理由でそのまま放置してしまうケースが増えているのが現状です。
空き家は適切に管理しなければ建物や外構の劣化が早まり、資産価値が低下して売却しにくくなるほか、以下のようなトラブルによって周辺の家や地域住民に迷惑をかける可能性もあります。
〈空き家トラブルの例〉
- 倒壊
- 外壁落下
- ネズミや害虫、悪臭などの発生
- 景観の悪化
- 不法侵入などの犯罪
- 庭木・雑草のはみ出し
また、空き家が市区町村から「管理不全空家」「特定空家」として指導を受け、従わずに勧告を受けた場合、土地の固定資産税の軽減措置が受けられず、毎年の税負担が最大で6倍に増える可能性があります。
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リスクを回避するためにも、空き家の相続が発生したら速やかに相続手続きを行い、当面の適切な管理方法を検討し、必要に応じて活用や売却等の対応を取っていくことが大切です。
親が亡くなって実家が空き家になったらどうすればいい?やるべきことと流れを解説
親が亡くなって実家が空き家になった場合の相続手続きやその後の管理・活用方法を検討する流れを解説します。流れややるべきことを知っておくことで、実際に相続が発生した時に慌てずに適切な対応ができますので参考にしてください。
①空き家の相続手続きをする
空き家の相続が発生した際の手続きの流れは以下のようになります。
相続人を確認する
亡くなった親の戸籍謄本から相続人が誰であるかを確認します。
遺言書を確認する
遺言書がある場合、記載されている内容が優先されます。
「法定相続情報一覧図」の写しの交付
「法定相続情報一覧図」とは、法務局の登記官によって確認・証明された、相続関係を一覧に表した図のことです。
法定相続情報一覧図の写しがあれば、「戸籍謄本の束」を何度も提出することなく、空き家の相続登記や銀行口座の名義変更手続きを同時進行で進めることができます。
(参考)法務局ホームページ|「法定相続情報証明制度」について
空き家の分割方法を決定する
売却するなら「換価分割」、そのまま引き継ぐ場合は「代償分割(相続人の1人が空き家を相続して、見合った金額を他の相続人に現金で支払う)」がおすすめです。
空き家の管理が負担になる場合は相続放棄する方法もありますが、他の財産も相続できないなどデメリットもあるため注意が必要です。
相続登記を行う
相続した土地・建物について不動産登記簿の名義を変更するため、管轄の法務局に登記申請をします。申請期限は土地や建物などの不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内です。
相続税の申告
空き家を相続した場合、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内に相続税の申告・納税を行う必要があります。税務署や金融機関で納税できるほか、e-Taxも利用できます。
(参考)国税庁|相続税の申告手続き
財産や権利関係が複雑な場合は弁護士や司法書士に、相続税の申告は税理士など専門家に相談するのもおすすめです。
オカムラホームでは提携税理士と共に、相続税の試算から具体的な相続対策までトータルでサポートいたします。空き家になった実家の相続でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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②管理方法を検討する
空き家の相続手続きを進めるとともに、当面の管理方法についても検討しましょう。
〈空き家になった直後に検討することリスト〉
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空き家となった実家に頻繁に訪れない場合は、光熱費節約のために電気・ガスといったライフラインを解約した方が良いケースもあります。
ただし、水道は定期的に排水設備の通水を行うためにも解約しない方が良いでしょう。 |
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空き家への不法侵入を防ぐために、雨戸を閉める、窓に侵入防止の格子を付けるなどの防犯対策を検討します。 |
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不用品を長く放置していると、腐敗が起きやすく、ダニやネズミ、害虫が繁殖する原因にもなります。 |
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敷地境界線が確定していない物件は売却・賃貸転用しづらいため、土地家屋調査士に依頼して境界確定を進めましょう。
時間が経過すると相手方の相続人の数も増えて境界確定がさらに困難になる可能性があるため、早い段階で実施することが重要です。 |
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将来空き家である実家を利用する予定があるなら、その間を借家人に利用してもらう方が良好な状態を維持しやすくなります。
実家のある自治体やNPOが運営する空き家バンクへの登録や不動産仲介会社に相談して、積極的に空き家を活用してくれる人を探しましょう。 |
当面の間、空き家の解体や貸し出しなどができない場合は、定期的な維持管理が不可欠となります。空き家の維持管理にはお金と手間の両方でさまざまなコストがかかります。
〈空き家の維持管理にかかるコストの例〉
- 敷地内の清掃
- 外観・内装劣化部分の修繕
- 防犯対策
- 草刈り、庭木剪定
- 光熱費の支払い
- 保険料(火災保険)の支払い
- 固定資産税の支払い
国土交通省の空き家対策サイトでは、空き家の適切な管理の指針である「空き家管理チェックリスト」が公開されていますので活用するのもおすすめです。
(出典)国土交通省ホームページ|空き家対策特設サイト(空き家の管理のやり方)
自分で維持管理が難しい場合は、空き家管理サービスや修繕業者などの利用を検討しましょう。
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③活用・売却方法を検討する
空き家や敷地を活かして活用する方法は以下のようなものがあります。
- 自分で住む
- セカンドハウス(別荘)にする
- 賃貸にする
- DIY賃貸として貸し出す
- 民泊にする
- シェアハウスとして貸し出す
- 店舗やオフィスに用途変更して貸し出す
- そのまま貸倉庫や資材置き場として貸し出す
- 解体して更地として貸し出す
- 解体して駐車場等で活用する
- 自治体に貸し出して公的活用
空き家の活用方法とそれぞれのメリット・デメリットについては以下のコラムで詳しく解説しています。
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また、空き家を将来使用する可能性がない場合は、売却する方法もあります。
相続した空き家は要件を満たして一定期間内に売却すると「空き家特例(「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)」が適用できるケースがあります。
特例が適用できれば、空き家を売却して得た譲渡所得から3,000万円まで控除が受けられるため、大きな節税効果を得られます。
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空き家を活用せず処分したい場合の方法については以下のコラムで詳しく解説していますので合わせてチェックしてみてください。
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実家の空き家をリフォームする必要はある?費用相場も解説
古くなった空き家は、リフォームやリノベーションすることで資産価値を向上でき、将来売却や賃貸に出す際に有利になる可能性があります。
実家の空き家に自分で住む場合や、戸建て賃貸にする場合におすすめです。
ただし、売却しやすくするために、安易に大掛かりなリフォームをするのは要注意。なかなか売却できなかった場合、リフォーム費用が無駄になってしまいかねません。
空き家リフォームは、売却依頼する不動産会社にどの程度のリフォームが適切なのかを相談してから検討することをおすすめします。
空き家をリフォームする費用相場
一戸建てのリフォーム費用は工事内容によって大きく変わってきます。
壁紙やフローリング張り替え、水回り交換などの部分的なリフォームの費用は数十万~数百万円前後が相場です。
内装や設備全体のリニューアルや間取り変更を含むフルリフォームでは1,000~2,000万円程度が相場となります。
高断熱化や耐震リフォーム、バリアフリー化などを検討している場合は、リフォーム補助金や減税制度を活用すると費用負担を軽減できます。
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実家の空き家が売れない場合の対処法
実家の空き家が仲介でなかなか売れない場合、手放す/処分するための対処法を紹介します。
不動産会社に買い取ってもらう
不動産会社に空き家を直接買い取ってもらう方法です。
買取のメリット | 買取のデメリット |
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買取は状態が悪い・築年数が古いなど売りにくい空き家や、急いで処分したいという方におすすめです。
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無償で譲渡する
周辺の地権者や知人、不動産会社に譲渡を持ちかけたり、空き家バンクに無償物件として登録したりする方法です。
最近は無償譲渡物件(0円譲渡)のマッチングサイトも増えています。売却は難しいけれど、所有し続ける負担やリスクが大きい場合は検討するのも1つの手段です。
ただし、無償譲渡でも個人から法人への譲渡では売主に税金が発生する場合がある点は注意しましょう。
相続土地国庫帰属制度で国に返す
相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を国に引き渡して帰属できる仕組みで、空き家の処分にも使えるケースがあります。
ただし、空き家を解体して更地にする必要があるほか、審査から引き取りまでの期間が1年前後と長く、審査手数料や負担金がかかる点に注意が必要です。
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まとめ
空き家になった実家を長く放置しているとさまざまなデメリットが発生するため、相続が発生したらできるだけ早く相続登記を済ませ、活用や処分方法を検討することが大切です。
また、将来活用する予定がある場合でも、それまでの間、適切に維持管理していくことが不可欠になります。
オカムラホームは、ご実家の相続や活用、リフォーム、売却、維持管理に関することまで、空き家のさまざまなお悩みを解決するためにサポートをいたします。
空き家でお困りの方や、これからご実家を相続する予定の方はお気軽にご相談ください。