空き家に使える補助金と減税制度|活用・解体・売却などジャンル別に紹介

空き家に使える補助金と減税制度|活用・解体・売却などジャンル別に紹介

この記事では、空き家に使える国や自治体の補助金について、活用・解体・売却など目的別にまとめて解説します。

全国共通の補助金から、自治体独自の制度まで、具体的な例を挙げて分かりやすくまとめますので、空き家運用を考える際の参考にしてみてください。


コラムのポイント

  • 空き家のリフォーム・改修、賃貸経営、売却など、どのような運用でもお得になる制度が用意されています。
  • 空き家のある自治体によって補助金制度は異なるため、確認してみるのがおすすめです。

空き家に困ったら補助金を活用!

空き家補助金で売却や活用を

日本の空き家率は年々上昇を続けており、所有者不明により放置された空き家の倒壊など大きな社会問題になりつつあります。空き家の発生原因は相続が最も多く、国も相続登記の義務化や空き家増税といった対策を打ち出しています。

〈関連コラム〉

空き家の税金が上がるのはいつから?2023年の法改正で何が変わる?

このような状況において、相続した空き家を放置するのは大きなリスクです。しかし空き家は相続するだけでも相続税が発生しますし、管理・リフォーム・売却などどのような運用でもコストはかかります。

そこで、国や自治体が用意している補助金の出番です。大きな社会問題となっている空き家の増加を抑制するために、多くの補助金が用意されているのです。補助金は返済する必要のないお金なので、空き家の活用・解体・売却にかかる費用を抑えることができます。

次の章から、2023年6月時点の空き家補助金を、目的別にわかりやすくまとめていきます。

空き家活用に使える補助金

補助金対象になる空き家

空き家をリフォームして自分で住んだり、賃貸して家賃収入を得たりする場合、次のような補助金が使えます。

こどもエコすまい支援事業

補助金額 一戸あたり上限30万円

※最大60万円まで引き上げあり

補助対象 断熱リフォーム

エコ住宅設備の設置

バリアフリー改修など

主な要件 ・空き家の所有者

・こどもエコすまい支援事業者と契約する

こどもエコすまい支援事業は空き家も対象となり、自分で住む、または賃貸に出す場合でも使える補助金です。補助対象は窓や外壁などの断熱リフォーム、手すり設置や段差解消などバリアフリー改修、対面キッチン変更など幅広いため、空き家活用にピッタリ。

こどもエコすまい支援事業の詳しい内容はこちら。

〈関連コラム〉

こどもエコすまい支援事業の対象リフォ-ムと補助金額をわかりやすく解説

セーフティネット登録住宅(専用住宅)の家賃低廉化支援

補助金額 上限:1ヶ月当たり4万円/戸
補助対象 セーフティネット住宅の大家
主な要件 ・床面積が原則25㎡以上であること

・耐震性を有すること

・家賃が近隣相場より高すぎないこと

・入居を拒まないこと

参照元:国土交通省 住宅セーフティネット制度について

空き家を賃貸運用する場合、セーフティネットに登録することで毎月4万円の補助金を受け取れる可能性のある制度です。リスクの高い低所得者を受け入れることが条件となりますが、毎月補助金が出るため確実な収益が期待できます。補助金は最長10年間と長期間なのも大きな魅力。また空き家を賃貸住宅化するための改修費に対する補助金も用意されています。

自治体の補助金

空き家を管轄する自治体によっては、リフォームや耐震改修を対象とした補助金を用意していることもあります。千葉県市川市の例を見てみましょう。

補助金額 改修費用の1/2:上限100万円
補助対象 地域活性化に活用するための空き家改修
主な要件 ・昭和56年6月1日以降に建築確認を受けたもので、完了検査を受けたもの

・耐震診断により現行耐震基準を満たしていることが確認できたもの

・空き家改修後10年以上公共施設として運営すること

参照元:市川市 空家活用リフォーム推進事業

空き家をリフォームして児童福祉施設など公共目的で利用する場合、改修費用を100万円まで補助する制度です。空き家を放置するリスクを考えれば、改修費用を抑えて地域貢献するメリットは大きいでしょう。

空き家解体に使える補助金

空き家解体費用の補助金

倒壊リスクが高い、更地でないと売れないなどの理由で空き家を解体する際に使える補助金をご紹介します。

国土交通省が平成28年~令和7年まで計画している「空き家対策総合支援事業」には、空き家対策に取り組む市町村への支援が盛り込まれています。具体的な内容や呼び方は自治体によって異なりますが、解体費用の一部を助成してもらえることが多いです。要件や補助金額はさまざまなので、いくつか例を挙げてみましょう。

東京都文京区:空家等対策事業

補助金額 空き家の解体にかかった費用:上限200万円
補助の主な要件 ・管理不全で危険な状態となっていること

・調査の上事業対象の認定を受けること

・解体跡地を10年間区に無償貸与すること

参照元:文京区 空家等対策事業

管理が行き届かず倒壊の恐れなどがある空き家が対象で、解体後跡地を区に10年間無償貸与することで200万円まで解体費用が支給される補助金制度です。行政目的で利用されるため、空き家を解体するだけでなく地域貢献につながるのも特徴。

千葉県千葉市:住宅の除却費補助制度

補助金額 工事費の23%:上限20万円

※密集住宅市街地の場合は上限30万円

補助の主な要件 ・昭和56年5月31日以前の耐震基準によって設計・建設された住宅であること

・耐震診断の結果、木造住宅の場合は上部構造評点が0.7未満、非木造住宅の場合は構造耐震指標Is値が0.3未満であること

参照元:千葉市 住宅の除却費補助制度

建築基準法改正以前の旧耐震基準で建てられており、倒壊リスクが高い住宅を対象に、解体費用の一部を支給する補助金制度です。補助金額は比較的少ないものの、解体後の土地活用・売却などの指定がないため、使い勝手は良いでしょう。

空き家売却に使える補助金

空き家の売却に使える補助金

空き家の売却を推進する補助金はありませんが、税金の特別控除制度を活用できます。

具体的には「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」という制度で、相続した空き家を売却した場合、譲渡所得の金額を最大3,000万円控除できます。

空き家を売却して譲渡所得が発生した場合、所得税・住民税が発生します。税金がかかるのは売却金額が取得金額を上回った場合ですが、古い空き家は購入金額を確認できる資料が紛失していることも少なくありません。取得金額が分からない場合は売却価格の5%で計算されます。取得金額が分からない空き家を1,000万円で売却した場合の税金を計算してみましょう。

  • 取得金額 1,000万円 × 5% = 50万円
  • 譲渡所得 1,000万円 - 50万円 = 950万円
  • 譲渡所得税額 950万円 × 22.1% = 209万円(長期譲渡所得の場合)

※参照元:長期譲渡所得の税額の計算

取得金額が分からない場合、実際には利益が出ていなくても200万円以上の税金がかかる可能性があるのです。しかし空き家売却の特例を適用すれば、売却金額が3,000万円以下なら税金はかかりません。一定の要件はありますが、空き家を売却するなら必ず検討したい制度です。

まとめ

今回ご紹介したように、空き家に使える補助金制度はたくさんあり、うまく活用することでお得に運用や売却できます。どの制度がお得になるかは建物の状況やお住まいの地域によって異なるため、できれば補助金に詳しい専門家に相談するのがおすすめです。

私たちオカムラホームは、住宅・不動産のスペシャリストとして、補助金や減税も含めた空き家運用のアドバイスをしています。空き家の解体・売却・賃貸運用など、どのような運用方法も幅広くサポートいたします。空き家のことなら、まずはお気軽にご相談ください。

オカムラホームの不動産コンサルティングバナー

▼オカムラホームの空き家対策詳細はこちら