クリスマスの準備はお早めに

今マンション・リノベーションのお手伝いをしているイギリス人のお客様より、この度、今のキッチンのコンロ交換と、新たにガスオーブンを導入されたいとの事で、現場でお打合せをしておりました。

「私たちイギリス人は、クリスマス料理つくらないといけないじゃない。それまでにはオーブンが必要なのよ」とお客様がおっしゃるので、私はそれにうんうん相槌をうちながら
「そうですよね・・・。12月1日のサンクスギビングには、ターキー焼かなきゃだし、その後もローストビーフやらチキンやら、そうそう、クリスマスプディングも焼かなきゃですものね。忙しいですよね、イギリスの方々は・・・。」などと話しておりましたら、ふと急に昔のことを思い出してしまいました。

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あれは何年前の事でしょう(秘密)。まだ私がイギリスはロンドンに住んでおりました時、急にあるクリスマス前、その「イギリス人たちがつくるクリスマスプディングといふものを、日本人の私もつくってみむとて」、早速クリスマス料理の本を買いにゆきました。
本を購入後、そのままスーパーへ移動。そこで一通りの材料も一式揃え、やる気満々、自宅フラットの共同キッチンに戻り、早速プディング造り開始の運びです。
本に書かれている順に目で追ってゆき、ドライフルーツ、ナッツ等の材料を刻み、卵・バター、粉やラム酒と混ぜあわせます。
どちらかというと本当に古典的な焼き菓子。結構力もいる作業。
でつぎは・・・それがよく混ぜ合わさったら、プディング枠という大きなプリン型に入れると。
さてここから約1時間、それを180度の温度に熱したオーブンで、じっくりじっくり焼けと書いてあります。

はい、結構な重量です。が、やっとそれをあたたまったオーブンに投入。
やや「やりきった」感か?・・・しばしそんな感覚に浸っておりました。

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fig001 写真はイギリスではありません。数年前からクリスマス時期に通っている「ニコライ堂」のクリスマス風景。こちらは英国国教会系ではありません。ロシアン正教です。でも毎年素敵。

と、ふと「で・・・次は?」と本に再び目を落とした瞬間・・・私は瞬時に固まりました。

「焼きあがったら、オーブンから取り出し、粗熱を1日かけてさます。
その後布巾や布地でそれをぐるぐる巻きにして、涼しい風通しの良いカップボードの中に入れ、少なくとも3か月~半年はそのまま安置してください」

ーその日は、12月23日。急に得も言えぬ微笑が体の奥からこみ上げてきて、フフフ…急に全てを諦める覚悟がつきました。

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と、その後のお客様との会話中、思い出したようにそんなエピソードをそのままちらりお客様にお話すると、彼女は「フフフ…」と高らかに笑いながら、こう言いました。

「大丈夫大丈夫。私たちイギリス人は、クリスマスプディングだけは、絶対自分達では焼かないと決めてますから・・・」

ヴィンテージ事業部 プランナー 中島