やってはいけない実家の相続パターンと対策|相続リスクを回避

やってはいけない実家の相続パターンと対策|相続リスクを回避

これから実家を相続する予定のある方は、手続きや維持管理など気になるポイントが多いと思います。

不動産である実家は兄弟で均等に相続するのが難しく、トラブルに発展するケースも少なくありません。また相続時の税負担やメンテナンスの手間など、考えるべきポイントは多いです。

今回は、「やってはいけない実家の相続」というテーマで、相続リスクを事前に把握して回避するためのポイントを解説します。


コラムのポイント

  • 誰も住まないで放置・共有状態で相続・とりあえず解体など、やってはいけない実家の相続パターンを一つずつチェックしましょう。
  • 相続人の指定・用途や売却などの計画・管理コストの把握など、相続リスクを回避するポイントも分かりやすく紹介します。

やってはいけない実家の相続5パターン

実際に実家を相続するとき、やってはいけないパターンは次の5つに分類されます。

次の章で対策のポイントを解説するので、ここではどんな相続リスクが発生するのかに注目してみて下さい。

 

パターン①運用方法を決めず、とりあえず相続

やってはいけない実家の相続パターン

誰が住むのか、賃貸や売却をするのか、何も決めずにとりあえず相続するのはなるべく避けましょう。運用方法が決まらないまま流れで相続してしまうと、そのまま空き家として放置されるケースが多く、さまざまなリスクが発生します。

誰も住んでいない空き家は老朽化が進むため、破損や倒壊で周囲に被害をもたらす可能性があります。放置した実家が倒壊して近隣に被害が出た場合、損害賠償責任は所有者に求められるのです。

また、2023年の法改正では、多くの空き家の固定資産税・都市計画税が3~6倍になる可能性も。

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②管理人を決めず共有状態で相続

やってはいけない実家の相続 共有

不動産である実家は分割できないため、複数の相続人による共有名義で相続するケースも多いですが、これもやってはいけないパターンの一つ。遺言書がない状態で相続すると、法定相続分に基づいて所有権が分割されます。

しかし、共有状態の不動産は、ほかの相続人の同意を得ないと活用や売却ができません。例えば、アパートに建て替えて収益が上がりそうでも、共有者が一人でも反対すれば実現できないのです。意見がまとまらないと何もできず、結果的に前述したような放置空き家状態になりやすいです。

また、誰が管理するのか事前に決めていないと、掃除やメンテナンスの押し付け合いになってしまうケースも考えられます。共有状態は遺産分割協議をしないと解除できず、そのまま次の世代に相続されてしまい権利関係がさらに複雑になるケースも。

③相続登記せずそのまま放置

実家を相続登記せず放置してはいけない

実家を相続したのに、相続登記せずそのままにするのもやってはいけないことです。

2024年から相続登記が義務化されることになり、実家を相続してから3年以内に申請をしないと10万円以下の罰金が課されます。

また、相続登記していない実家は売却もできませんので、手放そうと思ったとき余計な時間と手間がかかるのも大きなリスクです。また、相続登記をせず実家を放置すると、ほかの相続人が勝手に売却しても、権利を主張できない可能性もあります。

④相続前後に解体する

実家を相続してすぐ解体してはいけない

前述したように空き家を放置するとさまざまなリスクが発生しますが、よく考えずに解体するのもやめましょう。

建物が無くなってしまえばメンテナンスの手間は減りますし、倒壊リスクもなくなります。ただし、100万円単位の解体費用がかかり、固定資産税が高くなるなどのデメリットも。また、建物の状態が良ければ、古家付き土地として売却したり、賃貸して家賃収入を得たりする方法もあります。

更地の方が高く売却できる、駐車場として運用するなどの明確な目的がない場合は、とりあえず解体するのは避けましょう。

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⑤相続してすぐに売る

実家を相続してすぐ売却してはいけない

売却する予定で実家を相続した場合も、何も考えずすぐに売るのはNGです。

例えば、相続後10カ月以内に実家を売却してしまうと、相続税を減額できる「小規模宅地等の特例」を適用できなくなってしまいます。相続税が減額される割合によっては、10カ月経ってから売却した方が良いケースもあるのです。

ただし「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」のようにほかの特例もあるため、どのタイミングで実家を売却するのが良いかはケースバイケース。売却前提で実家を相続する場合は、専門性の高い不動産会社に事前相談するのがおすすめです。

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実家の相続リスク対策のポイント

前述したようなやってはいけない相続パターンを回避するため、次のポイントを押さえてリスクに対策しましょう。

事前に相続・管理する人を決めておく

実家を相続する前に管理人を決めておく

法定相続人が複数いる場合は、事前に誰が相続・管理するのか話し合いで決めておくのが望ましいです。相続前に遺言状で相続人を指定しておけば、遺産分割協議が必要なくなりスムーズに手続きを進められます。

共有状態も回避できますし、もし共有する場合でも管理負担の割合を決めておけばトラブルになりません。

用途・運用方法を明確にする

実家を相続する前に運用方法を決めておく

実家の立地や状態に合わせて、相続した後の使いみちや運用方法を決めておくことも大切です。

自分たちで住む、戸建て賃貸やシェアハウスで家賃収入を得る、自治体に貸し出すなど、実家の活用法はさまざま。あらかじめ用途や運用方法を決めておけば、放置空き家による税負担や倒壊リスクを回避できます。

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売却のタイミングを見据えて計画を立てる

実家の売却計画を立てる

相続後の実家を売却する予定なら、なるべく早めに計画を立てるようにしましょう。

空き家状態の実家を売却する方法は複数あり、適切なタイミングは異なります。例えば状態の良い実家は中古住宅として販売できるため、老朽化する前の方が高値で売れるかもしれません。逆に、建物の状態が悪いなら、相続税の特例などを適用してから解体して売却した方がよいケースも。

いずれにせよ、売却に強い不動産会社に相談して、早めにスケジュールを立てておくのがおすすめです。

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管理の手間とランニングコストを事前に把握する

相続した実家の外壁塗装

実家を相続すると必ず管理の手間とランニングコストが発生しますので、しっかり事前に把握しておきましょう。

売却する場合でも、売れるまでの間の草むしりや換気などの定期的な管理は発生します。所有期間中の固定資産税・都市計画税・電気水道代など、ランニングコストも積み重なると大きな金額に。

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実家の相続放棄はあり?なし?

古い実家の相続放棄

実家の相続リスクを考え、相続放棄を検討する方も多いと思います。

相続放棄は実家だけでなくすべての財産が対象になるので、全体的に考える必要があります。

仮に実家の処分に手間と費用がかかっても、ほかの財産でプラスになるなら相続放棄は良い手ではありません。逆に、ほかの財産を含めてマイナスになる場合は、実家もろとも相続放棄した方が良いでしょう。

相続放棄は簡単に判断できることではないので、慎重に判断する必要があります。できれば相続に詳しい専門家に相談して、適切なアドバイスを受けて下さい。

まとめ

実家の相続ではさまざまなリスクが考えられるので、しっかり対策しておきましょう。法定相続人同士での話合いや遺言書の用意など、事前にできることはたくさんあります。また実家の状態によって適切な相続方法も変わりますので、なるべく相続に強いプロに相談してみてください。

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