断熱リフォーム支援事業は賃貸アパートにも使える?対象工事と補助金額を解説

断熱リフォーム支援事業は賃貸アパートにも使える?対象工事と補助金額を解説

断熱リフォーム支援事業は、窓ガラスや外壁などの断熱改修に使える国の補助金で、アパートやマンションなど賃貸物件も対象になります。

この記事では断熱リフォーム支援事業を、アパートやマンションなど賃貸物件に使う場合の対象工事・補助金額などを詳しく解説します。賃貸物件のリフォーム・リノベーションをご検討中のオーナー様は、ぜひ有効活用してください。


コラムのポイント

  • 断熱リフォーム支援事業補助金額は、建物の種類や工事内容で5~120万円となっています。
  • 窓ガラスだけリフォ-ムするなど、賃貸物件でも活用しやすい補助金制度です。

断熱リフォーム支援事業とは?

断熱リフォーム支援事業の窓断熱

断熱リフォーム支援事業は環境省が主導する国の補助金制度で、「旧断熱リノベ」を引き継いだものです。

既存住宅の断熱性能を高めて二酸化炭素排出量を抑えるのが目標で、戸建て住宅・集合住宅が対象となります。店舗や事務所は対象外ですが、住宅なら賃貸アパートやマンションもOK。

上手く活用すれば、費用を抑えて所有物件の付加価値をアップでき、空室対策にもつながります。詳しくは後半で解説しますが、これからは賃貸住宅も省エネ性能が求められる時代がやってきます。省エネ住宅の普及が進むと補助金が減ってしまう可能性があるため、早めのタイミングで取り組むのがおすすめです。

参照元:公益財団法人北海道環境財団【全国対象】既存住宅における断熱リフォーム支援事業

断熱リフォーム支援事業の対象工事

断熱リフォーム支援事業の対象工事

断熱リフォ-ム支援事業は「トータル断熱」「居間だけ断熱」の二種類が選べ、それぞれ対象工事が異なります。それぞれの対象工事と内容は、戸建て・集合住宅・賃貸で共通となっています。

トータル断熱

住宅全体の断熱改修を行う場合、トータル断熱の対象となります。トータル断熱の対象は以下の通り。

※トータル断熱の対象工事

  • 高性能建材(ガラス・窓・断熱材)
  • 玄関ドア
  • LED照明(集合住宅のみ)
  • 蓄電システム(戸建のみ)
  • 蓄熱設備(戸建のみ)
  • 熱交換型換気設備等(熱交換型換気設備・空調設備)

トータル断熱では建物全体の断熱性能に基準が設けられているため、1部分だけの改修では対象となりません。具体的には(補助対象床面積合計÷延床面積)×100%=改修率を計算し、断熱する部位が基準を超えるような計画を立てる必要があります。

築年数が経っていて大規模なリフォーム・リノベーションを行う予定があるアパートは、トータル断熱が向いているでしょう。

居間だけ断熱

居間だけ断熱は、リビングの窓をすべて断熱改修するのが要件なので、部分リフォームでも活用できる可能性が高いです。

※居間だけ断熱の対象工事

  • 高性能建材(ガラス・窓)
  • 玄関ドア
  • LED照明(集合住宅のみ)
  • 蓄電システム(戸建のみ)
  • 蓄熱設備(戸建のみ)
  • 熱交換型換気設備等(熱交換型換気設備・空調設備)

トータル断熱との違いは断熱材の有無だけで、ほかの対象工事は基本的に同じです。

断熱リフォーム支援事業の補助金額

断熱リフォーム支援事業のリフォーム工事

断熱リフォーム支援事業の補助金額は、工事内容によって次のように上限が設けられています。

補助対象製品 補助率 補助金の上限
高性能建材 (ガラス・窓・断熱材)

※居間だけ断熱は窓のみ

補助対象経費の1/3以内 戸建住宅:120万円/戸(玄関ドア5 万円を含む)

集合住宅:15万円/戸(玄関ドアも改修する場合は上限20万円/戸)

玄関ドア
LED照明(共用部) 1カ所あたり8,000円
蓄電システム 20万円
蓄熱設備 20万円
熱交換型換気設備等 5万円

参照元: 既存住宅における断熱リフォーム支援事業公募要領

仮に賃貸アパートで窓ガラス+玄関ドアを断熱リフォームする場合、補助上限は20万円/戸となります。具体的には、断熱性能のグレードや工事方法によって一か所当たりの単価が設定されていて、合計で補助金額が決定します。

断熱リフォーム支援事業の申請方法と期間

断熱リフォーム支援事業の申請スケジュール

実際に断熱リフォーム支援事業を利用する際は、次のような申請の流れになります。

※断熱リフォーム支援事業の流れ

  • 交付申請書提出
  • 採択・交付決定通知書発行
  • 事業開始(契約・着工)
  • 工事完了
  • 完了実績報告書及び書類提出
  • 交付額確定通知書受領
  • 清算払請求書提出
  • 補助金入金

申請手続きは工事を発注するオーナー様ご自身でもできますし、リフォームを依頼する施工業者に委託することも可能です。契約前にどちらが手続きをするのか明確にしておきましょう。

 

  • 公募期間:公募期間:令和5年3月20日(月)~ 令和5年6月16日(金)17時メール必着
  • 完了実績報告書の締め切り:令和5年12月15日(金)必着

公募期間と完了実績報告の期間は次のようになっているので、遅れないように手続きしましょう。ここではあくまで概要を紹介しましたが、オンラインや対面で説明会の開催も予定されていますので、詳しく検討する際は積極的に活用しましょう。

断熱リフォーム支援事業の注意点

断熱リフォーム支援事業の注意点

国の補助金とは併用できない

断熱リフォーム支援事業は国の補助金制度であるため、国費が投入されているほかの補助金と併用はできません。例えば2023年度は先進的窓リノベ事業こどもエコすまい支援事業などの補助金制度が断熱リフォーム支援事業と内容が重複しています。しかし国の補助金は併用できないため、要件をクリアする制度の中から補助金額の高いものを選ぶ必要があります。

また自治体独自の補助金制度は併用できるケースもありますが、国費が使われている場合は対象外です。

早期締め切りの可能性がある

断熱リフォーム支援事業は2023年度の予算が決まっており、上限に達すると早期締め切りになる可能性があります。

※断熱リフォーム支援事業の予算上限

  • 戸建て住宅:約4億円
  • 集合住宅(個別):約2億円
  • 集合住宅(全体):約10億円

参照元:既存住宅における断熱リフォーム支援事業公募要領

補助金を当てにしてリフォームの契約をしたら、締め切りで受け取れないケースなども考えられます。

常に公式ホームページなどで最新動向をチェックし、申込期間に関わらずなるべく早めに見積もり・申請手続きを進めましょう。

事前申請が必須

断熱リフォーム支援事業は事前申請制になっているため、交付決定を受けてから契約・着工しないと補助金を受け取れないのも要注意ポイント。交付決定前に契約した工事は対象になりませんので、必ず事前申請しましょう。

また実績報告にも締切日があるため、交付決定後もスムーズにスケジュールを組んで進めていくことが大切です。

賃貸住宅省エネ化が重要な理由

住宅の省エネ化が重要な理由

今まで賃貸住宅の省エネ化はあまり注目されていませんでしたが、2025年の省エネ基準適合義務化を前に、重要度が高まってきています。

2022年6月に公布された改正建築物省エネ法により、2025年以降は省エネ基準をクリアした建築物しか建てられなくなります。2023年現在は、省エネ性能の低いアパートを建てても違反にはなりません。しかしこれからは省エネ賃貸住宅がスタンダードになるため、年数が経つごとに競合に埋もれて入居者が集まりにくくなる可能性が高いです。

現在は国を挙げて省エネ住宅の普及を進めるため、今回ご紹介した断熱リフォーム支援事業を始め多くの省エネ補助金が用意されています。地球環境を守るのはもちろん、安定した経営を続けるためにも、賃貸物件の省エネ化を前向きに検討してみてください。

〈関連コラム〉

こどもエコすまい支援事業の対象リフォ-ムと補助金額をわかりやすく解説

まとめ

省エネ基準義務化の波は賃貸住宅にも影響するため、補助金を活用して早めに取り組んでおくのがおすすめです。今回ご紹介した以外にも、国や自治体の補助金制度が使えることもあるので、リフォーム検討時に調べてみるのがおすすめです。

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