家賃滞納の督促手順を5ステップでわかりやすく解説|滞納予防も重要

家賃滞納の督促手順を5ステップでわかりやすく解説|滞納予防も重要

賃貸経営において家賃滞納は重要なリスクであり、迅速に対応しないとキャッシュフローが悪化し、赤字経営に陥る可能性もあります。

しかし賃貸契約では賃借人の権利が強く保護されているため、家賃滞納の督促は正しい手順を踏む必要があります。正しい手順と適切なタイミングで督促することが、滞納家賃を回収するためのコツとなるのです。

今回は家賃滞納が発生した際に、大家様がとるべき督促の手順を5つのステップに分けて解説します。


コラムのポイント

  • 電話連絡・督促状・催告状・法的手段など、家賃滞納の回収方法とタイミングを把握しましょう。
  • 家賃滞納が発生しないように予防する方法も解説します。

空室より怖い家賃滞納

アパートの家賃滞納

アパートやマンションなどの賃貸経営において、入居率を高め家賃収入を確保することは重要です。しかし家賃滞納は空室状態よりさらに大きな被害をもたらす可能性があります。

賃貸契約では賃借人の権利が強く保護されているため、滞納家賃を回収できないケースも少なくありません。また明け渡しなどの強制執行をするためには裁判が必要になり、かなりの手間と費用がかかります。

滞納が続いている間は家賃収入が途絶え、新しい入居者を募集することもできません。このような事態を避けるために、家賃滞納督促の正しい手順とタイミングを把握し、迅速に行動するようにしましょう。

ステップ①電話での督促【1週間以内】

家賃滞納の電話督促

家賃滞納が発生して1週間以内の期間は、まず電話で督促をしましょう。口頭だと時間と手間がかかりますし、インターフォンを鳴らしても出てくれない可能性もあります。

残高不足や振り込み忘れなどの可能性もあるため、この時点では督促というよりていねいに「確認」するニュアンスにとどめておくのが良いでしょう。支払いの意思や態度を確認するつもりで、穏便に電話連絡をしてください。

電話がつながらない場合は、留守番電話で支払いの期日を伝えます。つながった場合は、入居者自身に支払いの期日を決めてもらうのが良いでしょう。

電話がつながらないからといって何度もかけなおしたり、早朝・深夜にかけたりするのは禁止行為にあたるため控えてください。また家賃滞納の督促は本人に限定されていて、職場や知人などに電話をかけてはいけません。

ステップ②督促状を送付【1週間~1か月】

家賃滞納の督促状送付

1週間以上電話がつながらない、または約束の期日までに家賃が支払われない場合は、次のステップとして書面で督促状を送付します。

※督促状に記載する内容

  • 物件名と部屋番号
  • 滞納家賃の金額
  • 振込先
  • 期日

督促状に記載する内容や文面は、滞納期間や送付回数によって変化します。

1回目の督促状では、連絡が付かないケースは意図的な滞納ではない可能性もあるため、支払い期日などを設けず「お知らせ」のニュアンスにとどめるのが良いでしょう。ただし1通目の督促状送付から1週間以上家賃が支払われない場合は、二通目できっちり期日を指定します。

滞納期間が1か月以上続くようなら、期日までに家賃が支払われない場合、連帯保証人や家賃保証会社へ連絡する旨を記載しましょう。電話と同じように、本人以外に督促状を送ったり、何通も連続したりするのは禁止されています。

ステップ③連帯保証人に連絡する【1~2か月】

家賃滞納の督促を連帯保証人に連絡

督促状の送付から1か月以上家賃滞納が続いた場合は、連帯保証人に連絡をする段階に移行します。

法律的には家賃滞納が発生した時点で連帯保証人に請求することができますが、前述したように督促状で通知してからの方が良いでしょう。いきなり連帯保証人に滞納の事実を連絡し、入居者から慰謝料などを請求される恐れがあるためです。

また連帯保証人への連絡が遅くなると、その分滞納家賃の額と負担が増えるため、1~2か月のタイミングが良いでしょう。連帯保証人への連絡は書面・電話どちらでも問題ありません。書面は基本的に督促状と同じような内容を記載し、緊急性を強調した方が良いでしょう。ただしどちらの場合でも、取り立てのようなニュアンスは含めず、ていねいに連絡してください。

ステップ④契約解除の催告書を送付【3か月】

家賃滞納の督促状と催告状

連帯保証人からも家賃を回収できず、3か月以上経過しても期日までに支払いがない場合、契約解除する旨の催告書を内容証明郵便で送付します。内容証明郵便は、いつ、だれからだれに届けられたのか証明されるため、法的手段に移行する際の証拠になります。また滞納者へのプレッシャーにもなるため、この段階で滞納を解消できる可能性もあるでしょう。

催告書には滞納額・支払期日を記載し、支払われない場合は契約解除する旨をしっかり伝えましょう。

ステップ⑤法的手段を行使する

家賃滞納の法的手段

ここまでのステップで家賃滞納が解消できない場合、法的手段に移行します。賃料回収が目的の場合は①支払督促手続き②少額訴訟、さらに契約解除と退去もしたい場合は③明け渡し訴訟を起こすことになります。

①支払督促手続

支払督促は簡易裁判所に申し立てる法的手続きです。書類審査のみで賃料請求ができ、訴訟より費用を抑えられるのが特徴です。

支払督促から2週間以内に債務者が異議申し立てをしない場合仮執行宣言され、滞納家賃に対する強制執行が可能になります。異議申し立てがあった場合は民事訴訟に移行します。

参照元:裁判所 支払督促

②少額訴訟

滞納家賃が60万円以下の場合、簡易裁判所に少額訴訟を申し立てることも可能です。少額訴訟は原則的に1回の審理で判決を求めるのが特徴です。また訴訟中に話し合いで和解を求めることもでき、和解調書に基づいて強制執行も可能です。被告(滞納者)が異議申し立てをした場合は民事訴訟に移行します。

参照元:裁判所 少額訴訟

③明け渡し訴訟

家賃の支払いや任意退去に応じてもらえない場合、裁判所に明け渡し訴訟を申し立てます。

①~④のステップを正しく踏んでいれば、明け渡し訴訟をする材料はそろっているはずです。明け渡し訴訟を起こすにはさまざまな書類や手続きが必要となるため、弁護士に相談するのが一般的です。

判決が出ても被告が従わない場合は強制執行となります。訴訟にかかった費用は請求できますが、実際は回収できないケースが多いようです。手間とコストを考えると、明け渡し訴訟はあくまで最後の手段と考えるのが良いでしょう。

参照元:裁判所 建物明渡請求

家賃滞納は予防も重要

保証会社で家賃滞納を予防

家賃滞納は適切な対応が求められますが、事前に予防することも重要となります。

保証会社を使う

入居時に保証会社と契約することを義務付けておけば、万が一家賃滞納が発生してもすぐに回収することが可能です。滞納家賃を保証会社が建て替え、入居者から回収してくれる仕組みです。

入居者は保証料を支払う必要がありますが、連帯保証人を立てる必要がなくなるためメリットもあります。

自動引き落としやクレジットカード支払いに対応する

入金忘れなどによる家賃滞納を防ぐには、自動引き落としやクレジットカード払いに対応するのも効果的です。

入居者にとっても手間が減りますし、物件検討時にプラス要素になる可能性も。

しっかり入居審査する

入居時の審査基準を見直すのも、家賃滞納の予防に方法の一つです。収入・家族構成・職種など、審査基準を見直して滞納リスクの高い入居者を予防しましょう。時間が取れるなら、直接顔を合わせて人間性を確認するのも効果的です。

まとめ

家賃滞納は賃貸経営において大きなリスクとなるため、迅速に対応すべきです。しかし正しい手順を踏まないと家賃を回収できなかったり、逆に訴えを起こされたりする可能性もあります。これから賃貸経営を始める方、すでに物件をお持ちの方も、家賃滞納の正しい対応方法をしっかり覚えておきましょう。

また、実績豊富でスキルの高い会社に賃貸管理を委託することも、家賃滞納予防につながります。特にこれから賃貸経営をはじめる方は、ノウハウが豊富な管理会社の力を借りて安定経営するのがおすすめです。

オカムラホームは入居審査・賃料回収・督促などを含めたトータルサポート体制で、滞納リスクのない賃貸経営をお手伝いしています。賃貸管理会社をお探しの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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