ビル一棟買いのメリット・デメリット|価格相場や利回り目安、物件選びの注意点を解説

ビル一棟買いのメリット・デメリット|価格相場や利回り目安、物件選びの注意点

オフィスビルや商業ビル、マンションなどをまるごと購入する「一棟買い」は、収益性の高く、成功すれば安定した資産形成ができ、事業規模の拡大にもつながる不動産投資方法です。

ビル一棟買いは動かす資産の規模が大きくなるため、安定して利益を生み出すためには事業経営の視点が重要になります。

このコラムでは、ビル一棟買いによる不動産投資のメリット・デメリット千葉県内の価格相場物件選びのポイントについて解説します。

 


コラムのポイント

  • ビル一棟買いは、高い収益性や法人での大きな節税効果が期待できる不動産投資です。
  • 一棟物件は高額な初期費用や景気変動リスクへの対策が必要で、ビル特有の高度な維持管理ノウハウが必要となるため、専門的な知識と対策が不可欠です。

 

 

最適な土地活用

ビル一棟買いとは?メリット・デメリットをアパート投資と比較

ビル一棟買いとは?メリット・デメリットをアパート投資と比較

ビル一棟買いとは、オフィスビルや商業ビル、あるいはマンションなどを一棟まるごと購入し経営する不動産投資手法です。

アパート一棟投資と比較して、そのスケールメリットや資産としての性質には大きな違いがありますので、分かりやすく解説していきます。

 

ビル一棟買いのメリット

はじめに、ビル一棟投資のメリットを解説します。

収益性が高い

オフィスや商業テナントは、住居系物件よりも賃料単価が高く設定できる傾向にあり、一棟規模になればキャッシュフローの総額も大きくなります。

資産価値が保たれやすい

マンションやビルの区分所有とは異なり、土地と建物の所有権をすべて得られるため、将来的な建て替えや売却時の自由度が高く、資産価値が保たれやすい特徴があります。

テナント分散によるリスクヘッジ

一棟ビルには複数のテナントが入居するため、空室リスクを分散できます。

法人での大きな節税効果

ビル一棟買いによる高額な減価償却費を経費計上することで、会計上の利益を圧縮し、法人税などの税負担を大幅に軽減できます。

さらに、減価償却費は非資金支出のため、税負担を抑えながら手元に現金を残せ、キャッシュフローを次の事業投資や運転資金に活用できます。

ビルオーナーとしての社会的信用

土地の価値が高い一等地でビル経営が軌道に乗れば、金融機関や取引先からの社会的信用も高まり、投資拡大の際に有利な条件での融資を引き出しやすくなります。

経営の自由度

大規模修繕のタイミングやテナント選定、リノベーションによる価値向上などを自らの判断で決定できるため、経営手腕次第で収益を大きく伸ばせるチャンスがあります。

 

ビル一棟買いのデメリットとリスク

ビル一棟買いによる不動産投資は、初期費用の高さや事業規模が大きくなることから、以下のようなデメリットやリスクに注意が必要です。

初期費用が高い

オフィスやテナントビル・マンションを一棟購入する場合、利便性の高い立地で賃貸住宅よりも大規模な建物になるため、初期費用も高額になります。

初期費用が高く借入額が多いと、毎月の返済額も大きくなるため、安定してキャッシュフローを得られる経営計画が重要です。

経営状況が景気に左右されやすい

オフィスやテナントビルは、景気悪化による企業の倒産や事業縮小が増えると空室率が上昇し、一気に収益が落ち込む可能性があります。

一方、アパートやマンションなど賃貸住宅は生活の基盤となる住居を提供するため、景気の影響で入居者が一気に退去してしまうリスクは低いと言えます。

ランニングコストが大きい

エレベーターや受水槽、空調設備など、ビル特有の設備のメンテナンスや更新費用が発生します。

アパートやマンションなど住宅を新築した場合、一定期間固定資産税の軽減措置を受けられます。

しかし、ビルのような事業用不動産には減税措置が適用されることはほぼないため、固定資産税の負担が大きくなります。

空室時の負担が大きい

商業ビルで飲食店などのテナントが退去した場合、原状回復やリフォーム費用などの負担が賃貸住宅よりも大きくなりやすいです。

また、空室状態が続くと、固定資産税やメンテナンス費用、ローン返済などの支出だけがかさむ一方になり、キャッシュフローが悪化する恐れがあります。

幅広い経営の知識が必要

オフィスや店舗の場合、景気変動による退去リスクや賃料減額交渉など、住居系とは異なる管理対応が求められます。

建物の管理とテナント経営の両方でノウハウが必要となり、賃貸住宅経営よりもさらに幅広い知識とスキルが求めらると言えます。

条件の良い立地には競合も多いため、市場動向を常にチェックし、テナントのニーズに合わせた対応や良好な関係づくりのための戦略を継続して実行していく必要があります。

 

アパート一棟投資との比較

アパート経営とビル経営の違いを整理すると、以下のようになります。

比較項目 ビル一棟投資(オフィス・商業・マンション) アパート一棟投資(木造・軽量鉄骨など)
収益性 高い

(賃料単価が高く規模が大きい)

中程度

(安定しているが単価は低め)

管理の難易度 高い

(専門的なビル管理ノウハウが必要)

中程度〜低い

(一般的な賃貸管理で対応可能)

流動性 低い(買い手が限られる) 比較的高い
資産性 土地値が高いエリアが多く、資産維持しやすい 建物の減価償却後は土地値に依存
リスク 景気変動の影響を受けやすい

(テナント退去等)

景気変動の影響を受けにくい

(住居需要は安定)

 

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一棟売りビルの価格相場と利回りの目安

一棟売りビルの価格相場と利回りの目安

千葉県内の主要エリアの一棟売り物件(ビル・マンション)の販売価格から、エリア別の価格傾向や利回り相場を紹介します。

※2025年12月時点の情報となります。

 

千葉県内のエリア別価格相場と利回り

千葉県内では、都心に近い市川市、浦安市、船橋市などが不動産投資の中心地となっています。

市川エリア

市川市は県内でも投資用物件の流通が活発なエリアです。

一棟マンションの相場は1.25億〜2.65億円の範囲で見られ、利回りは5.65〜7.06%で推移しています。例えば、行徳駅周辺では2.1億円で利回り5.65%といった事例があります。

浦安エリア

都心へのアクセスが良い浦安市は、物件相場が高めです。

価格帯は1.98億〜5.1億円と幅広く、利回りは4.36〜6.74%程度です。

新浦安駅周辺などの人気エリアでは利回りが低くなる傾向があります。

船橋エリア

総武線沿線を中心に物件が多く、相場は1.73億円〜2億円台、利回りは6.22%程度が一般的です。

千葉市中央区エリア

再開発が進む千葉駅周辺などで需要が高まっています。相場は1.18億〜1.83億円、利回りは6.4〜6.89%と比較的高水準です。

 

「表面利回り」と「実質利回り」の違い

物件資料に記載されている「表面利回り」だけで判断するのは危険です。

ビル経営をはじめとする不動産投資では、維持管理費や修繕積立金、固定資産税などの経費を引いた「実質利回り(NOI利回り)」をシミュレーションする必要があります。

実質利回りの計算式: (年間家賃収入 − 年間経費)÷(物件価格+購入時諸費用)× 100(%)

特にオフィスビルや商業ビルでは、テナント退去時の原状回復や内装工事の負担区分、共用部の光熱費負担などが収益に大きく影響するため、詳細なシミュレーションによる実質利回りの算出が不可欠です。

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ビル一棟買いで失敗を防ぐ物件選びのポイント

ビル一棟買いで失敗を防ぐ物件選びのポイント

ビル一棟買いの物件選びでは、「立地(ロケーション)」と「建物(構造・状態)」の2つの視点で考えることが大切です。

それぞれの評価ポイントと物件の選び方について詳しく解説します。

 

【重要】立地の評価基準

ビルの立地は現在の収益性だけでなく、将来の資産価値融資の難易度にもかかわる重要な要素です。

物件探しの際は以下のポイントでエリアを厳選しましょう。

業務効率とテナント需要

大前提として、オフィスや店舗の需要が高い立地なら賃料を高く設定しても入居者が集まりやすく、収益を最大化できます。

オフィスビルの場合、従業員の通勤のしやすさや、金融機関・取引先との距離など、ビジネスに適した立地を選びましょう。

商業ビルであれば、集客が見込める動線上に位置しているかがポイントになります。

マイカー中心のエリアならロードサイド、公共交通機関がメインなら駅近など、商圏に住む人に多い交通手段なども考慮しましょう。

価格と収益性のバランス

駅近やオフィス街などの好立地は、資産価値が下がりにくい反面、物件価格が高騰し利回りは低下する傾向にあります。

しかし、長期的な視点で見れば、客付けのしやすさや賃料維持力によって、トータルの投資効率が高くなるケースも多々あります。

金融機関の担保評価(出口戦略)

金融機関の融資審査では万が一の際に売却して回収できるかを判断するために、物件の担保価値が重視されます。

好立地の物件は土地値が高く評価されるため、融資が引きやすく、かつ将来の売却時(出口戦略)にも買い手がつきやすいという大きなメリットがあります。

 

構造による価格の違いと法定耐用年数

建物の構造は、耐用年数(融資期間)ランニングコストに直結します。それぞれの特徴を理解し、投資目的に合った構造を選ぶことが重要です。

鉄骨造(S造)

建物の躯体にH形鋼などの鉄・鋼製の部材(鉄骨)を用いる構造です。

  • 法定耐用年数例(重量鉄骨造):38年(事務所用)/ 34年(店舗用)
  • メリット:建築費や修繕費がRC造に比べて比較的安価です。また、鉄の粘り強さにより耐震性に優れ、柱の少ない広々とした空間(オフィスや店舗向き)を作りやすいメリットがあります。
  • デメリット:長時間の火災などの熱に弱く、外壁や断熱材の性能によっては結露が発生しやすい傾向があります。

 

鉄筋コンクリート造(RC造)

圧縮に強いコンクリートと、引張に強い鉄筋を組み合わせた構造で、多くのマンションや中規模ビルで採用されています。

  • 法定耐用年数:50年(事務所用)/39年(店舗用)
  • メリット:耐震性・耐火性・耐久性が高く、断熱性や遮音性にも優れています。法定耐用年数が長いため、長期の融資が組みやすい点も魅力です。
  • デメリット:物件価格が高く、建物自体の重量があるため強固な地盤が必要です。

 

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

鉄筋コンクリートの芯にさらに鉄骨を内蔵した、最も強固な構造です。高層ビルや大規模建築で採用されます。

  • 法定耐用年数:50年(事務所用)/39年(店舗用)
  • メリット: RC造の耐久性とS造のしなやかさを兼ね備え、高い耐震性能を誇ります。
  • デメリット: 物件価格が高額で、解体時の費用も膨大になるリスクがあります。

 

法定耐用年数は減価償却の計算期間として法的に定められたものですが、金融機関の融資審査でも重要になります。

一般的に、「法定耐用年数 - 築年数 = 残存年数」が融資期間の上限となるケースが多いため、築古物件を購入する際は、キャッシュフローに見合った融資期間が確保できるかを確認することが重要です。

 

中古ビル購入時の注意点

中古ビルは新築に比べて利回りが高い傾向にありますが、以下のような注意点もあるため、リスクも見極めながら選ぶ必要があります。

修繕履歴と計画の有無

過去に大規模修繕(外壁塗装、屋上防水など)が適切に行われているかを確認します。

修繕履歴がない場合、購入直後に数千万円単位の修繕費が発生するリスクがあります。

長期修繕計画の有無を確認し、将来のコストをシミュレーションに組み込むことが重要です。

耐震性能

1981年以前の「旧耐震基準」の物件は、震度6強以上の地震への倒壊リスクが懸念されるため、耐震診断や補強工事の実施状況を確認する必要があります。

耐震性が不足していると、融資が付かないだけでなく、テナント誘致にも悪影響を及ぼします。

既存テナントの属性と契約内容

現在の稼働率だけでなく、入居テナントの業種や契約期間、賃料設定が相場と乖離していないかを精査します。

レントロール(賃貸借条件一覧表)」を読み解き、将来的な空室リスクや賃料減額リスクを予測することが重要です。

 

まとめ

ビル一棟買いは、資産を増やしたい方にとって、大きなリターンと安定した資産を築く魅力的な不動産投資の選択肢です。

ただし、規模によっては数億円~数十億円以上の大きな投資となるため、専門的な知識と事業経営の視点が大切になってきます。

一棟ビルやマンション投資の成功には、、物件選定から建物の構造・修繕履歴の調査、融資、購入後のテナント管理、出口戦略まで一貫して任せられる「信頼できるパートナー」を選ぶことが非常に重要です。

オカムラホームは、お客さまの資産背景や目的に合わせた最適な投資先の提案や経営計画の作成、融資対策から運営管理までトータルでサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

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