田舎の実家をどうする?活用や売却などの選択肢と相続前にできる対策、売れない場合の対処法を解説
2025.12.10
2025.12.26

「遠方にある実家を将来どうすればいいのか」「すでに相続したが、使い道がなく処分に困っている」など、実家の相続についてお悩みの方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、将来相続する実家をどうすべきか、取れる選択肢について解説します。
また、売れない実家を処分する方法や売却を検討する前に知っておきたい注意点などについてもまとめていますので参考にしてください。
コラムのポイント
- 田舎や郊外の実家を相続する場合、自分で住む、賃貸などに活用する、売却するなどさまざまな選択肢があります。
- 売却が難しい場合は、不動産会社の買取や空き家バンクを利用する、更地にして売る、国へ返還するなどの方法で処分を検討しましょう。
- 実家の相続や活用で困ったら、維持管理や活用、売却、リフォームなどさまざまな手段に対応できる、地元密着の総合不動産会社に相談するのがおすすめです。
Contents
将来相続する実家をどうする?検討すべき4つの選択肢

実家を引き継ぐ、あるいは引き継いだ際に取れる道は、大きく分けて4つあります。
- ①自分たちで住む(住み継ぐ)
- ②収益物件として活用する(貸す)
- ③セカンドハウス・拠点として維持する
- ④売却・処分する(手放す)
ご自身のケースや希望に照らし合わせて、最適な方法や今から取れる対策を考えていきましょう。
①自分たちで住む(住み継ぐ)
建物がしっかりしており、周辺環境に愛着があるなら、自分たちで住むのも1つの方法です。
最近では「古民家再生」のように、古い建物の良さを活かしつつ、リノベーションで耐震性や断熱性を現代基準に高めて住み継ぐ方も増えています。
②収益物件として活用する(貸す)
自分たちが住まない場合でも、第三者に「戸建て賃貸」として貸し出す方法があります。
集合住宅と異なり、庭付きの戸建てはファミリー層に根強い需要があります。
また、建物を取り壊して駐車場や太陽光発電用地にするなど、土地の特性に合わせた活用方法を検討することもできます。
③セカンドハウス・拠点として維持する
「実家にいつかは戻りたい」「休暇の拠点にしたい」という場合、管理を外部に委託しながら維持し続ける方法もあります。
ただし、管理委託手数料や固定資産税、火災保険料に加え、定期的な清掃や交通費などの維持コストを払い続ける必要があります。
④売却・処分する(手放す)
活用が難しく、将来にわたって管理し続けることが負担になる場合は、早期に手放すことを検討しましょう。
「思い入れがあるから」と決断を遅らせてしまうと、不動産価値が下がり、売却しにくくなってしまう可能性もあります。
田舎の実家を放置するリスク

空き家を放置し続けると、固定資産税などの金銭負担だけでなく、社会的・法的にもリスクが発生します。
「管理不全空家」「特定空家等」に指定されるリスク
実家が管理不十分な空き家と判断されると、行政から「管理不全空家」「特定空家等」に指定され、改善勧告を受ける可能性があります。
固定資産税の住宅用地の特例(固定資産税が最大1/6に軽減される制度)が解除されるだけでなく、最大50万円の過料が科される可能性もあります。
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賠償責任のリスク
実家が空き家となり放置した結果、瓦が飛散して通行人に怪我をさせたり、放火の被害に遭ったりした場合、所有者の管理責任が問われる可能性があります。
資産価値が下落する
建物は人が住まなくなると急速に傷みます。
処分を決断した時に建物の劣化が進んでいた場合、さらに高い持ち出し費用が発生してしまう可能性があるため、手放すことを考えている場合は早めに売却活動を始めることをおすすめします。
また、空き家となった実家は、一定期間内に要件を満たして売却できれば「空き家特例」で売却益にかかる譲渡取得税を節税できる可能性もあります。
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「売れない・いらない」実家を処分する4つの方法

一般的な仲介売却で買い手が見つからない場合の対策方法を4つ紹介します。
①現状のまま「不動産買取」で売る
「売れない」悩みの最も確実な解決策は、不動産会社による直接買取です。
仲介のように一般の買い手を探す必要がないため、早期の現金化が可能です。
ほとんどの場合、古い建物や荷物が残った状態でも現況のまま買い取ってもらえるため、金銭的にも精神的にも負担の少ない方法です。
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②空き家バンク活用や寄付を検討
自治体が運営する空き家バンクへの登録や、隣地の所有者への譲渡を打診する方法です。
市場価格での取引が難しくても、隣人にとっては「庭を広げられる」などのメリットがあるため、スムーズに引き受けてもらえるケースがあります。
③解体して更地として売り出す
建物に価値がないと判断される場合、解体して更地にすることで、新築用地を探している方の目にも留まりやすくなり、売却の可能性を高められます。
自治体によっては数万円から数十万円の解体補助金が出る場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
ただし、更地にすると住宅用地の特例が適用されなくなるため、売却が長期化すると、固定資産税の負担が増える可能性もあります。
④相続土地国庫帰属制度の利用
相続土地国庫帰属制度は2023年に始まった制度で、一定の要件を満たせば、不要な土地を国に引き取ってもらうことができます。
審査料や負担金は必要ですが、処分できない土地の最終手段として選択肢に入ります。
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実家の売却・処分を検討するの際の注意点

実家の売却や処分を検討する前に知っておきたい注意点について解説します。
安易な大規模リフォームは避ける
「内装や設備はキレイな方が売れやすいだろう」と、とりあえずリフォームするのは避けましょう。
リフォーム内容によっては、費用を全額売り出し価格に反映できず損をしてしまうリスクがあるためです。
リフォームする場合は、不動産会社の査定を受けてから相談するのがおすすめです。
自己判断での解体は慎重に
空き家状態の実家などを売る場合、建物を解体した方が良いケースもありますが、リフォームと一緒でとりあえず解体するのはNGです。
状態によっては「古家付き土地」として売却した方が良いこともあり、解体費用が無駄になってしまいます。
また、前述の通り更地にすると固定資産税の負担が大きくなる可能性があります。
解体したのに数年売れ残ると、多額の税金を払い続けることになるため、必ず解体後に売れる見込みなど、不動産会社のアドバイスを受けた上で着手しましょう。
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実家の相続・売却に関するQ&A

実家の相続や売却について、よくあるご質問をQ&A形式でまとめました。
Q. 売却にかかる費用や税金の目安はどれくらいですか?
不動産会社に支払う仲介手数料(売却価格の3%+6万円+税が上限)や売買契約書の印紙代、名義変更のための登録免許税の他、利益に応じた税金(譲渡所得税)の支払いが必要です。
更地にして売却する場合は解体費用もかかります。
- 譲渡所得税:売却価格から「当時の購入額」と「売却費用」を引いた利益にかかる税金です。特例を活用すれば、ゼロにできるケースも多くあります。
- 解体費用の目安:一般的な木造住宅で坪4〜6万円程度が目安ですが、立地(重機が入るか)や家具の残量によっても変わります。自治体によっては補助金が出る場合もあるので必ずチェックしましょう。
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Q. 相続放棄すれば、実家を手放せますか?
放棄は可能ですが、他の相続人がいない場合は「次の管理者に引き継ぐまで」の管理責任(保存義務)が残る場合があります。
また、預貯金などプラスの財産もすべて相続できなくなるため、総合的に慎重な判断が必要です。
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Q. 仏壇や荷物がそのままの状態でも売却できますか?
可能です。特に買取の場合は、不動産会社が提携する清掃業者が入ることが多く、現況のまま丸ごと引き受けられるケースが多いです。
「片付けてからでないと相談できない」と思わず、まずはありのままの状態で査定を受けることをお勧めします。
Q.相続発生前にできる対策はありますか?
親が元気なうちに、将来の管理や処分について決めておくことで、相続発生時にスムーズな遺産分割や売却につなげやすくなります。
また、財産承継対策は「家族信託」や「遺言信託」などのサービスを利用する方法もあります。
- 家族信託:信頼できる家族に不動産の管理・処分権限を託す仕組みです。親御さんが認知症などで判断能力が低下しても、子が親に代わって「売却」や「活用」の判断を進められるようになります。
- 遺言信託:遺言書の作成から保管、手続きまでを専門家がサポートする仕組みです。主に「亡くなった後の名義変更」をスムーズにしたい場合に有効です。
「生前の管理・処分権限」を柔軟にしたいなら家族信託、「死後の確実な承継」を重視するなら遺言信託が適しています。
まとめ
田舎や郊外の実家を相続する場合、自分で住む、賃貸などに活用する、売却するなどさまざまな選択肢があります。
売却が難しい場合は、不動産会社の買取や空き家バンクを利用する、更地にして売る、国へ返還するなどの方法で処分を検討しましょう。
相続した実家を放置すると、固定資産税の負担増や周辺とのトラブルにつながる可能性もあるため、早めに対策を検討しておくことが重要です。
実家の相続や活用で困ったら、維持管理や活用、売却、リフォームなどさまざまな手段に対応できる、地元密着の総合不動産会社に相談するのがおすすめです。
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