中古アパートの減価償却による節税効果はいつまで|計算方法、リフォームの耐用年数も簡単解説
2026.09.01
2026.09.30

中古アパートによる不動産投資をご検討中で、減価償却の節税効果について疑問をお持ちの方がいらっしゃると思います。
具体的に、「いつまで節税効果があるのか」「減価償却費は毎年いくら計上できるのか」だけではなく、「減価償却で節税できる」という情報の意味がわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、首都圏で不動産投資コンサルティングを手がける『未来の財託』が、不動産投資初心者の方にも中古アパートの減価償却を丸ごとご理解いただけるよう、簡単に解説します。
減価償却による節税効果を高める裏技や、節税効果・集客力を高めることに役立つリフォーム内容もご紹介するので、ぜひ最後までご確認ください。
Contents
減価償却の基本を簡単解説

減価償却とは、1年では消費しきれないもの(建物や設備機器などの減価償却資産)を取得した場合に、法律で定められた消費期間(法定耐用年数)に分けて、各年分の経費として計上していく手続きのことです。
はじめに、「中古アパートの運営」と「減価償却による節税効果」を理解する基本となる、減価償却の「計算方法」と「耐用年数」を、簡単にご確認ください。
計算方法を簡単解説
減価償却費の計算方法は以下2種類です。
中古アパートを購入した場合、建物・建物附属設備(給湯器・電気設備など)・構築物(駐車場のアスファルト舗装・塀など)は必ず定額法で計算し、その他の減価償却資産は税務署への届出で定率法を選択することも可能です。
| 計算方法 | 特徴 |
|---|---|
| 【定額法】 取得価額 × 定額法の償却率 | ・耐用年数の期間中、原則として毎年同額の減価償却費を計上 ・建物・建物附属設備・構築物は定額法のみ ・税務署へ定率法を選択する届出をしない場合、すべての減価償却資産を定額法で計算することになる |
| 【定率法】 未償却残高(まだ経費にしていない残高) × 定率法の償却率 | ・購入した最初の年ほど減価償却費が多く、年数が経過するにつれて減少する ・建物・建物附属設備・構築物以外は税務署への届出で定率法を選べる(車・設備など) |
なお、土地は使用しても消費される性質ではないため、減価償却資産ではありません。
そのため中古アパートを購入する場合には、必ず購入価額を土地・建物に分け、建物部分だけが減価償却の対象になります。
〈参考〉国税庁ホームページ『No.2100 減価償却のあらまし』
なお、中古アパート購入後にリフォームする場合、「1件20万円未満、またはおおむね3年以内の周期で行う工事(元に戻す・維持することが目的の工事)」は減価償却資産とならず、リフォーム費用を一括計上します。
一方で、物件の価値や耐久性を高める工事は減価償却資産となり、減価償却費を計上できます。
耐用年数を簡単解説
耐用年数(法定耐用年数)とは、税務上で定められている減価償却資産の使用年数で、資産の種類ごとに異なります。
〈参考〉国税庁ホームページ『No.2100 減価償却のあらまし』
耐用年数は減価償却費を計算するために定められたもので、資産の寿命ではない点にご注意ください。
耐用年数の期間が終了しても資産は残り続けるため、帳簿上は1円のみを残して資産の存在を明確にしておくという処理をします。
また、税務上では、「新品の資産を取得した場合の耐用年数」「中古の資産を取得した場合の耐用年数の計算方法」が定められています。
中古の資産を取得した場合の耐用年数の計算方法は、以下のとおりです。
| 計算方法の種類 | 計算方法 |
|---|---|
| 見積法 | 減価償却資産ごとに、今後の使用期間を、合理的な根拠をもって決定 |
| 簡便法 (見積法で耐用年数を決定するのが難しい場合に適用できる、税務上で定められた計算ルール) | 【法定耐用年数を全部経過している場合】 法定耐用年数 × 20% 【法定耐用年数の一部を経過している場合】 (法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20% ※1年未満の端数は切捨て、2年に満たない場合は2年 |
| 耐用年数をそのまま適用 | 新品と同じ耐用年数を採用 |
※中古アパートを相続で取得した場合は、被相続人(亡くなった方)の取得価額や耐用年数をそのまま引き継ぐルールとなっているため、見積法や簡便法による耐用年数計算は適用できません。
なお、簡便法を適用するかどうかは、「事業を開始した年」「資産を取得・使い始めた年」の確定申告で決める必要があり、後で変更することはできません。
〈参考〉国税庁ホームページ『No.5404 中古資産の耐用年数』
中古アパートの減価償却による節税効果はいつまで

中古アパートは、購入時の経過年数をもとにして減価償却費を計算するのが一般的ですが、節税効果を高める裏技もあるので、それぞれご紹介します。
中古アパート購入後の一般的な減価償却の計算方法、構造ごとの耐用年数
中古アパート購入後は、一般的に以下のステップで減価償却費を計算します。
※簡便法を適用すると仮定して、以下をご紹介しています。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①建物の取得額を確認 | 売買契約書に建物・土地含む総額のみ記載されている場合は、以下の方法で建物額を決定。 ・売買契約書の消費税額から逆算 ・固定資産税評価額の比率から算出 |
| ②耐用年数を確認 | 構造によって耐用年数が異なる。 (構造ごとの耐用年数は下の表でご確認ください) 【法定耐用年数を全部経過している場合】 法定耐用年数 × 20% 【法定耐用年数の一部を経過している場合】 (法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20% ※1年未満の端数は切捨て、2年に満たない場合は2年 |
| ③減価償却費を計算 | 取得価額 × 定額法の償却率 ※購入した年は購入月〜年末までの月割で計算 (耐用年数ごとの償却率は下の表でご確認ください) |
| 構造ごとの耐用年数 | 耐用年数 全部経過後 | 左記耐用年数に対応する 償却率(定額法) |
|---|---|---|
| 木造:22年 | 4年 | 0.250 |
| 軽量鉄骨造・骨格材3mm以下:19年 | 3年 | 0.334 |
| 鉄骨造・骨格材3mm超4mm以下:27年 | 5年 | 0.200 |
| 重量鉄骨造・骨格材4mm超:34年 | 6年 | 0.167 |
| RC造:47年 | 9年 | 0.112 |
【例1:築30年、建物額1,000万円の木造アパートの耐用年数、減価償却費】
- 耐用年数:22年×20%=4.4年→4年(1年未満切捨て)
- 減価償却費(年額):1,000万円×0.250=250万円
4年間にわたって、年250万円を不動産収入に対する経費として計上できます。
【例2:築10年、建物額3,000万円の木造アパートの耐用年数、減価償却費】
- 耐用年数:(22年−10年)+10年×20%=14年
- 減価償却費(年額):3,000万円×0.072=216万円
14年間にわたって、年216万円を不動産収入に対する経費として計上できます。
〈参考〉国税庁ホームページ『No.2100 減価償却のあらまし』
・主な減価償却資産の耐用年数表
・減価償却資産の償却率等表
中古アパート購入後の節税効果を高める減価償却の裏技

中古アパート購入時には、前所有者の減価償却を引き継がず、ご自身の取得価額(一般的に建物一式の価額)と新しい耐用年数で、減価償却の計算をスタートします。
しかし、実際には中古アパートには様々な減価償却資産が含まれていて、耐用年数も異なるため、中古アパート購入時に減価償却資産ごとに分けておくと、購入後数年間の減価償却費を大きく増やせる可能性があります。
【例】
| 区分 | 具体例 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 建物本体 | 躯体・基礎・内装など | 22年(木造) → 4年(築22年超の場合) |
| 建物附属設備 | 電気設備、給排水・給湯設備、ガス設備など | 15年 → 3年(築15年超の場合) |
| 構築物(外構) | アスファルト舗装、金属フェンスなど | 10年 → 2年(築10年超の場合) |
【例:建物一式3,000万円の中古アパートを購入した場合】
建物3,000万円のみを帳簿に計上する場合の減価償却費は、以下のとおりです。
3,000万円 ÷ 4年 = 年 750万円(1〜4年目まで均等)
建物・建物附属設備・構築物を分けて帳簿に計上する場合の減価償却費は以下のとおりで、初期費用の負担感が大きい当初2年間に高い節税効果を得られます。
以下は、「建物2,000万円・附属設備700万円・構築物300万円」と仮定した場合の、減価償却費の例です。
- 1〜2年目:建物500万 + 附属設備233.3万 + 構築物150万 = 年 883.3万円
- 3年目:建物500万 + 附属設備233.3万 = 年 733.3万円
- 4年目:建物500万 = 年 500万円
ただし、「建物一式」として購入した中古アパートの価額を減価償却資産ごとに分けるためには、合理的・客観的な根拠が必要です。
※根拠のない配分・極端な配分は、税務調査で否認されるリスクがあります。
中古アパートを購入した側が最も手に入れやすい「合理的・客観的な根拠」の資料は固定資産税の評価資料(家屋評価明細書等)で、中古アパート所在地の市区町村で取得できます。
税理士などの専門家に協力を依頼して、適正な配分をご検討ください。
なお、「売主に売却時の減価償却資産の内訳をもらう」という方法もありますが、中古アパートの売却額と売却時の減価償却資産の価額は一致しないのが一般的ですので、情報提示を断られる可能性が高いと考えておきましょう。
中古アパート経営で減価償却費が節税になる理由

減価償却費が節税につながる最大の理由は、現金の支出を伴わずに計上できる経費だからです。
購入費用は購入時に支払い済みですが、帳簿上は毎年数百万円規模の経費を計上できるため、家賃収入が入っていても不動産所得が赤字になることがあります。
この赤字を給与所得と損益通算※することで、所得税・住民税が軽減されるのが節税の仕組みです。
※「損益通算」とは異なる所得の損益を合算できるルールのことで、不動産所得と給与所得は損益通算が可能です。
こちらの記事で、不動産投資が節税につながるケース・つながらないケースをご確認いただけます。
〈関連ページ〉なぜ不動産投資で節税できる?節税額と節税にならないケースを専門用語なしで解説
ただし、減価償却による節税には、「税金の繰延べ」という側面もあります。
減価償却が終わると以下の状況になるため、不動産投資では減価償却期間の終わりを見据えて、売却・買換えなどの出口まで設計しておくことが重要です。
- 経費が急減して税負担が増える
- 売却時の譲渡所得税の計算時に、購入額から「これまでの減価償却費」を差し引いた額が取得費になる※
※譲渡所得税は、売却額から取得費・売却時の費用などを差し引いて計算するため、減価償却が進んで取得費が低額になるほど、譲渡所得税額が増えます。
中古アパートは一般的に利回りが高い物件ですが、物件選びの段階で売却・買い替えなどの出口まで設計しておくことは、不動産投資の鉄則です。
不動産投資をこれから始める場合には、いつでも相談できる専門家を確保しておくと後悔を回避しやすいため、首都圏で不動産投資の専門家をお探しの方は、未来の財託へお気軽にお問い合わせください。
物件の種類ごとの利回りを、こちらの記事でご確認いただけます。
〈関連ページ〉不動産投資の利回り最低ラインは3%〜が相場|実質利回りの計算方法、高い利回りの実現方法など解説
減価償却による節税効果と集客力を高める中古アパートのリフォーム

最後に、減価償却による「早期・多額の経費化(節税効果)」と「入居者の集客力向上(家賃アップ・空室対策)」を両立させるリフォーム例をご紹介します。
| 種類 | リフォーム内容:耐用年数 |
|---|---|
| 建物附属設備 | ・追焚機能付き給湯器への交換:15年 ・古くなった給排水管の更新:15年 |
| 構築物 | ・屋外に宅配ボックスを設置して固定:10〜15年 ・雑草整備のうえで植栽・庭園造作:20年 |
| 器具及び備品 | ・TVモニター付きインターホン:6年 ・スマートロックの導入:6年 ・壁掛けエアコン:6年 ・便座を温水洗浄便座に交換:6年 ・防犯カメラの設置:カメラ本体4年、録画機器等6年 |
〈参考〉国税庁ホームページ『No.2100 減価償却のあらまし』主な減価償却資産の耐用年数表
なお、設備には以下のようなルールもあり、リフォーム額と内容によっては減価償却資産として計上せず短期間での経費化も可能です。
- 10万円未満:全額その年の経費
- 20万円未満:3年で均等償却(一括償却資産)
- 40万円未満:青色申告※なら年間合計300万円まで全額その年の経費(少額減価償却資産の特例。2026年3月31日以前の取得分は30万円未満)
※「青色申告」とは、正式な帳簿記録・帳票作成などによって確定申告をすることで、税金が安くなるなどの特典を受けられる確定申告の制度のことです。
戸別の給湯器やエアコンの交換はこの特例に収まることが多く、青色申告を選択しておくと、設備リフォームの経費化が早まります。
まとめ
中古アパートの減価償却について、基本の仕組み・節税効果・集客力を高めるリフォームの耐用年数などをご紹介してきました。
中古アパートを不動産投資の物件として選択する場合、経過年数が長いほど短期間での節税効果が高まります。
一方で、減価償却終了後は税額が増加するため、減価償却終了後の運営まで見据えた物件選びをすることが大切です。
集客力を高めるためにリフォームをする場合には、投資対効果も含めてリフォームプランを組み立てることをおすすめします。
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