祖父の土地に孫が家を建てる3つの方法と相続トラブル防止策|贈与税、住宅ローンの利用可否も解説
2026.08.15
2026.08.31

祖父の土地に孫が家を建てることは、法律上まったく問題ありません。
ただし、土地の受け取り方によっては、「相続トラブルが発生して家を失う可能性」、「贈与税の納税義務」や「住宅ローン利用の可否」など、考慮しておくべきことが変わります。
そこで今回は、首都圏の不動産経営コンサルティング『未来の財託』が、祖父の資産を、子を飛び越えて孫へ引き継ぐ場合に知っておくべき知識を、わかりやすく解説します。
ご一族の資産を円満に受け継いでいくために、ぜひ最後までご確認ください。
Contents
祖父の土地に孫が家を建てることは可能だが2つの問題を解決する必要がある

祖父の土地に孫が家を建てること自体に、法律上の制限はありません。
建築確認申請といった家を建てる手続き上でも、土地の所有者と建築主が一致している必要はありません。
祖父の土地に孫が家を建てる場合の問題は、以下2つです。
- 孫は祖父の法定相続人ではない
- 住宅ローン利用
相続人の範囲を、こちらの記事でご確認いただけます。
〈関連ページ〉相続はどこまでが範囲か|法定相続人の順位と財産を分割する割合、円満な相続のための注意点なども解説
孫は祖父の法定相続人ではない
しかし、孫は祖父の法定相続人ではないため、以下に該当する以外は、通常は相続で孫に祖父の土地が渡ることはありません。
- 代襲相続:祖父の子(孫の親)が、祖父より先に亡くなっている場合
- 養子縁組:祖父と孫が養子縁組をしている場合
- 数次相続:祖父の相続手続きが終わらないうちに、祖父の子(孫の親)が亡くなった場合
そのため、相続トラブル防止策を実施せずに法定相続人に無断で祖父の土地に家を建てると、相続トラブルが発生して家を失う結果になるケースもあります。
相続トラブルの防止策については、のちほど「祖父の土地に孫が家を建てることが原因の相続トラブル防止策」でご確認いただけます。
住宅ローン利用
土地が祖父名義のままでも住宅ローンは利用できますが、原則として、土地に金融機関の抵当権設定が必要です。
そのため、祖父の同意と協力なしには、祖父の土地に家を建てることはできません。
住宅ローン利用について把握しておくべき注意点を、のちほど「住宅ローンを利用して祖父の土地に家を建てる場合の注意点」でご確認いただけます。
祖父の土地に孫が家を建てる3つの方法と贈与税

祖父の土地に孫が家を建てる方法は以下3つで、祖父が健在のうちは、「贈与税が課税される方法・課税されない方法」を優先して把握したうえでの選択をおすすめします。
- 祖父から無償で土地を借りる
- 生前贈与
- 買い取る
はじめに、各方法を選択した先の影響を一覧表にまとめましたので、ご確認のうえで詳細をご覧ください。
祖父の土地に孫が家を建てる場合、「土地の名義を祖父のままにすると住宅ローンに祖父の協力が欠かせず、孫名義に移すと贈与税や購入資金の負担が生じる」という問題が生まれます。
| 比較項目 | 無償で借りる | 生前贈与 | 買い取る |
|---|---|---|---|
| 土地の名義 | 祖父のまま | 孫へ移る | 孫へ移る |
| 贈与税 | かからない | かかる | 原則かからない |
| 登録免許税 | 不要 | 2.0% | 1.5% |
| 不動産取得税 | 不要 | かかる | かかる |
| 祖父の負担 | 抵当権の提供 | なし | 譲渡所得税の可能性 |
| 住宅ローン | 祖父の協力が必須 | 孫だけで完結 | 孫だけで完結 |
| 家を失う可能性 | 対策しないと失う可能性がある | なし | なし |
祖父から無償で土地を借りる|贈与税は課税されない
祖父から無償で土地を借りて家を建てる場合、法律上は「土地の使用貸借契約」を結ぶことになります。
この方法の利点は、贈与税が一切かからないことです。
無償で土地を使うことは、孫が本来払うはずの地代の分だけ利益を受けていることになりますが、国税庁の通達により、「建物の所有を目的とした土地の使用貸借」で、土地の使用権の価額はゼロとして取り扱われるためです。
なお、固定資産税相当額以下の金額で土地を借りる場合も、使用貸借として扱われます。
〈参考〉国税庁ホームページ「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」
ほかにも、土地の名義は祖父のままですので、「登録免許税」「不動産取得税」もかからず、祖父・孫ともに費用を最も抑えられる方法です。
ただし、前述したとおり、住宅ローンには祖父の協力が欠かせず、将来その土地を確実に引き継げる保証もない点が大きな問題です。
無償で祖父から土地を借りる場合の将来の相続トラブル防止策を、後ほどご確認いただけます。
生前贈与を受けて孫名義にする|贈与税、諸費用が発生

生前に土地の名義を孫へ移す方法は将来の相続トラブルの芽を摘み取れますが、「贈与税」「名義変更費用」が発生します。
贈与税の課税方法は、祖父が60歳以上・孫が18歳以上であれば、2つのうちどちらかを選択可能です。
- 暦年課税:年110万円の基礎控除。110万円を超えた額に10〜55%の累進税率
- 相続時精算課税:年110万円の基礎控除に加え、累計2,500万円の特別控除。「基礎控除+特別控除」を超えた部分は一律20%課税される
一見すると相続時精算課税が有利ですが、相続時精算課税は一度選択すると変更できない制度で、孫が相続時精算課税を選択する場合には、以下の点も注意が必要です。
- 相続時精算課税を選択すると、生前贈与された土地は祖父の相続時に相続財産へ加算される※
- 孫が納める相続税額が2割加算となる
※年110万円の基礎控除分は加算されません。
暦年課税にも、「生前贈与された相続財産に相続税を加算する規定」がありますが、この規定の対象は「相続や遺贈で財産を取得した人」に限られます。
そのため、孫が祖父から受け取る財産が生前贈与を受ける土地のみで、他に何も相続しない場合には、贈与税を納めた時点で納税は完結します。
【生前贈与で暦年課税・相続時精算課税どちらを選ぶかの分かれ目】
- 祖父の遺産全体が相続税の基礎控除を超え、かつ孫が他に相続する財産がない:暦年課税のほうが、一族全体の税負担を抑えられる
- 祖父の遺産全体が相続税の基礎控除を超えない:相続時精算課税で一族全体の負担がゼロになる
※基礎控除の額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
祖父の土地を生前贈与して孫名義にする場合の主な諸費用は、以下のとおりです。
| 主な諸費用 | 費用の目安 |
|---|---|
| 登録免許税 | 固定資産税評価額×2.0% |
| 不動産取得税 | 固定資産税評価額×1/2×3% – 減税額※ |
| 名義変更登記の司法書士報酬 | 5〜10万円程度 |
| 書類の取得費用 (印鑑証明書、住民票、固定資産評価証明書などの取得) | 数千円程度 |
| 境界確定測量の費用 (測量図・境界標がない場合のみ) | ・民民立ち会い:30〜50万円程度 ・官民立ち会い:50〜80万円程度(土地が公道に接している場合) |
※不動産取得税の減税額は、「45,000円」「土地1㎡当たりの価格(1/2適用後)× 住宅の床面積の2倍(200㎡が上限)× 3%」のうち、高い方の額です。(土地取得から3年以内に床面積40㎡以上240㎡以下の住宅を新築する場合)
祖父から買い取る|買い取り額によって贈与税が課税される
祖父の土地を孫が購入して家を建てる場合の贈与税は、以下どちらかです。
- 購入額が適正価格であれば、贈与税は課税されない
- 購入額が相場より著しく低い価格の場合、適正価格との差額は贈与を受けたものとみなされ、贈与税の課税対象となる
祖父の土地を孫が適正価格で購入する場合には、以下2つの費用も念頭に置いておきましょう。
- 祖父は売却益に応じて譲渡所得税が課されるケースがある
- 祖父の資産が土地から現金にかわることで、相続税額を計算するもとになる評価額が上がり※、一族全体の相続税が増えるケースがある
※土地の評価額は路線価により市場価格の8割程度ですが、現金の評価額は現金額そのものです。
譲渡所得税がかからないケースについて、こちらの記事でご確認いただけます。
〈関連ページ〉不動産売却で譲渡所得税がかからないケースとは|相続不動産売却・活用のポイントも解説
なお、買い取りの場合も、生前贈与と同様の諸費用が発生しますが、登録免許税については税率が1.5%に軽減される特例があります。
祖父の土地に孫が家を建てることが原因の相続トラブル防止策

祖父の土地に孫が家を建てる場合、最も配慮が必要なのは法定相続人を中心とするご親族の利益や心情で、緻密な相続トラブル防止策を実施しておくことをおすすめします。
相続トラブル防止策は以下のとおりで、祖父と弁護士など専門家の協力が不可欠です。
- 祖父と孫が「死因贈与契約」を結び、承継先を登記簿に記録して、土地に対する権利の順位を確保しておく
- 祖父が持つ広い土地の一部に家を建てる場合には、孫が家を建てる部分を分筆し、死因贈与や仮登記の対象を特定できる形にしておく
- 祖父の土地に家を建てると決める前に、法定相続人に十分な財産が行き渡るか確認しておく
- 法定相続人を中心とするご親族の、「利益と心情を損ねない、論理的な説明」ができる状況を整えたうえで、ご親族に祖父の土地に家を建てることを共有しておく
このような相続トラブル防止策を実行しておくべき理由は、法定相続人にとって、祖父の土地に孫が家を建てることによるメリットがほとんどないためです。
特に孫が祖父から土地を無償で借りて家を建てる場合は、以下の理由から、本当に祖父の土地を使うべきなのかを慎重に検討することが、相続トラブル防止策の第一歩です。
【相続トラブルの原因】
- 土地は「自用地」として評価され、更地と同じ扱いになる:相続税が高い
- 無償で貸している土地は小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)の対象外:相続税が高い
- 祖父の自宅と同じ敷地に建てる場合、孫の家が建つ面積分は特定居住用宅地等(330㎡まで80%減額)の対象外:相続税が高い
- 孫の家が建っていると土地を自由に処分できない:法定相続人のストレスになるため、他のご親族も巻き込んで人間関係が悪くなる
なお、「孫の家が建っている土地を自由に処分できない」に関しては法定相続人の心情ですので、最終的に土地を相続した方が孫のことを気にせず土地を売却することも考えられます。
その場合、孫は新しい所有者に対応する手段がないため、家を失う可能性があります。
※使用借権は登記ができず、借地借家法の保護対象でもないためです。
〈参考〉国税庁ホームページ
・宅地の評価単位−使用貸借
・No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
こちらの記事で、「小規模宅地の特例」の要件などをご確認いただけます。
〈関連ページ〉小規模宅地等の特例とは?要件や相続税の申告方法・添付書類をわかりやすく解説
また孫が祖父から土地の生前贈与を受けて贈与税を納税済であっても、祖父が亡くなった後に、法定相続人から遺留分(最低限の財産の取り分)の支払いを請求される可能性もあります。
法定相続人は、遺留分を侵害された場合に、財産を受け取った人(受遺者・受贈者)に対して遺留分の支払いを請求する権利があるためです。
孫は相続人ではありませんが、生前贈与で財産(土地)を受け取った受贈者にあたるため、請求の相手になります。
本来、遺留分の対象となる贈与は、相続開始(祖父が亡くなった時点)前の1年以内のみ遡って請求が可能です。
しかし、祖父と孫双方が法定相続人に損害を加えると知っていながら土地を生前贈与した場合、法定相続人は1年より前まで遡って遺留分を請求できます。
孫としては、「既に贈与税を納税済なのに遺留分まで支払うことになった」という事態を防止するためにも、先ほどご紹介した相続トラブル防止策が必須です。
祖父の土地に家を建てることには、ご紹介してきたような多くの配慮・対策が必要ですので、専門家に判断のサポートを依頼することをおすすめします。
未来の財託は、弁護士・司法書士・税理士などの専門家と連携しながら不動産オーナーさまをサポートしております。
事業に活用している土地・遊休地などの不動産に関する疑問・お悩みを、お気軽にご相談ください。
住宅ローンを利用して祖父の土地に家を建てる場合の注意点

祖父の土地に孫が家を建てる場合でも、住宅ローンは利用できます。
ただし金融機関は通常、土地・建物の両方に抵当権を設定することを求めるため、建物だけに設定することはできず、土地所有者である祖父の協力が不可欠です
- 土地に抵当権を設定すると、祖父は土地を担保として差し出す「物上保証人」の立場になる
- 金融機関によっては、祖父が連帯保証人となることを求める場合もある
- 完済まで土地の名義を金融機関の承諾なしに変更できない
「ひとまず祖父名義のままで家を建てて、後から名義変更だけする」ということは簡単にできないため、祖父名義の土地に家を建てる場合には、はじめに「名義をどうするか」を決定しましょう。
ちなみに、住宅ローン利用の際に祖父の協力を得る際には、祖父が孫の住宅ローンに関わることに対して内容を理解し、ご自身の意思で契約できる状態であることが前提となります。
祖父が認知症などで意思能力を失っていると判断された場合には、契約などの法律行為はもちろん、生前贈与などもできません。
認知症になった後は成年後見人を立てることになりますが、孫のための担保提供は本人の利益にならないと判断されやすく、家庭裁判所の許可が下りない可能性もあります。
祖父の土地に孫が家を建てる場合、意思がはっきりしているうちに進めることが重要です。
まとめ
祖父の土地に孫が家を建てること自体に法律上の問題はありませんが、「使用貸借・生前贈与・買い取り」どれを選択する場合も、相続トラブル防止策を実施しておく必要があります。
なお、相続トラブル防止策を実施するためには祖父の協力が不可欠です。
最悪の場合には家を失うケースもあるため、ご親族全体からの承諾を円満に得られるよう、ぜひ専門家をご活用ください。
未来の財託は、首都圏の不動産オーナーさまの資産形成に伴走し、相続税対策などのご相談も承っています。
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