木造の耐震補強で筋交い、耐力壁、金物を後付けする効果と注意点|費用相場・補助金も紹介

木造軸組工法の模型

木造の主な耐震補強方法は「柱と柱の間に筋交いを入れる」「耐力壁を設置する」「柱と筋交いを連結する金物を設置する」ですが、具体的な補強箇所や補強方法については、住宅ごとに耐震診断をしたうえで判断する必要があります

やみくもに筋交いなどで耐震補強をしても耐震性能アップの効果がないケースもあるため、ご注意ください。

今回は、大地震発生予測が多数ある東京・千葉・神奈川で多くの住宅のお困りごとに対応しているリフォーム会社『オカムラホーム』が、木造の耐震補強をわかりやすく解説します。

ご自宅の現状に応じて費用対効果の高い耐震補強を実施するために、ぜひ最後までご確認ください。

木造の耐震補強で筋交い、耐力壁、耐震金物を後付けする効果

ホールダウン金物

はじめに、木造の耐震補強方法と、それぞれの効果を、わかりやすく解説します。

筋交いの耐震補強効果

筋交いとは、地震の揺れや強風による建物のゆがみを防ぐために、柱・梁・土台で囲まれた骨組みに斜めに取り付ける補強部材のことです

  • 柱・梁・土台で構成される四角形の枠組みは、地震や強風など横からの力(水平力)を受けると平行四辺形にゆがみやすいため、筋交いを入れて強固な「三角形」を形成することで、建物の変形や倒壊を防ぐ
  • 建物の「重さの中心(重心)」と「強さの中心(剛心)」の位置がズレていると、地震の揺れによって建物全体にねじれの力が発生するため、筋交いを建物全体へバランスよく配置して「強さの中心」を整えることで、ねじれによる局所的な崩壊を防ぐ

筋交いのサイズと入れ方によって筋交いを入れた壁の強さ(壁倍率)が変動し、例として9cm角の筋交いを「たすき掛け(×字に2本)」で入れる場合の壁倍率は、5.0倍(幅1mあたり約1,000kgの水平力に耐えられる計算)となります

筋交いのサイズとして多く使用されているのは「厚さ4.5cm以上×幅9cm以上」で、壁倍率は筋交いのサイズと入れ方によって異なるため、具体的な耐震補強効果はリフォームプラン検討時にリフォーム会社へご質問ください。

耐力壁の耐震補強効果

筋交いを入れた壁も耐力壁の一種ですが、ほかに壁の面全体で地震の力を分散して受け止める「面材耐力壁」を設置する耐震補強方法もあります

面材耐力壁は構造用合板などの板を「柱・間柱・梁・土台」に規定の釘で打ち付けることで完成し、例として厚さ7.5mm以上の合板をN50釘で150mm間隔に留めた仕様で壁倍率が2.5倍(地震や強風など横からの力に対する強さが幅1mあたり約500kgとなる計算)となります

筋交いは両端2か所に力が集中しますが、面材耐力壁は外周の釘一本一本に力が分散するため、同じ壁倍率でも変形しにくいという特徴があります。

耐震補強のプランを検討する場面では、以下のような場面で面材耐力壁が選ばれます

  • 柱の間隔が不揃いで、規定寸法の筋交いが納まらないとき
  • 断熱改修を同時に行うとき(斜めの筋交いは断熱材に隙間ができやすい)
  • 既存の筋交いを残したまま壁の強さを足したいとき

「既存の筋交いを残したまま壁の強さを足したいとき」については、筋交いのある壁に構造用合板を柱や梁へ直接張り足すことで、両者の壁倍率を合算できます(上限7倍)。

金物の耐震補強効果

1995年に発生した阪神・淡路大震災では、柱が土台から抜けて建物が倒壊した事例が数多く報告されました。

この教訓から、2000年(平成12年)6月1日より、建築基準法にもとづく基準で「筋交い端部」「柱頭・柱脚」の接合方法が定められています

壁を強くするほど柱には「引き抜かれる力」が強く加わるため、2000年5月31日以前に着工した建物に筋交いや耐力壁による耐震補強をする場合には、接合金物をあわせて設置します

  • 筋交いプレート:筋交い端部を固定する金物
  • ホールダウン金物:柱と基礎をつなぐ金物 など

金物の設置は、柱の周辺だけを開口して施工できる場合があり、解体範囲を抑えられる耐震補強方法でもあります。

筋交い、耐力壁、金物以外の耐震補強方法・効果

筋交い、耐力壁、金物以外にも、以下のような耐震補強方法があります。

耐震補強の方法効果
基礎の補強無筋の基礎に鉄筋コンクリートを足して厚みを増し、壁に伝わる地震の力を地盤へ流す
屋根・外壁の軽量化屋根材・外壁材の交換で建物の重量を軽くして、必要な壁の量を減らす
床(水平構面)の補強火打ち材や構造用合板で床を固め、地震の力を建物全体の壁へバランスよく伝える
劣化部分の補修腐朽やシロアリ被害の修復によって、構造部材を本来の強さに整える
制震ダンパーの設置揺れのエネルギーを吸収し、繰り返す地震の損傷を抑える
耐震シェルター化建物全体の補強が難しい場合に、一部屋だけを骨組みで囲って強化する

ご紹介してきたような耐震補強の方法は、やみくもに実施すると効果を発揮しないケースがあります。

次に、木造の耐震補強を実施する際の注意点もご紹介するので、ぜひご確認ください

オカムラホームは、耐震補強を含むリフォーム実績が豊富なリフォーム会社です。

東京・千葉・神奈川で、「耐震補強の必要性を感じているけど、何を依頼すればいいかわからない、費用面の不安がある」とお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください

〈※施工エリア:東京・千葉・神奈川の一部地域となります〉

木造の耐震補強5つの注意点

耐震補強

木造の耐震補強で期待通りの耐震性能を確保するためには、以下5つの注意点を考慮しながらプランを組み立てる必要があります

  • 建物の建築確認申請日によって優先するべき耐震補強の内容が異なる
  • 建物の耐震性はバランスが重要
  • 現状の耐震性能を確認するための耐震診断が必須
  • 耐震補強は建材選び・施工精度も重要
  • 大規模な耐震補強実施には建築確認申請が必要

それぞれ、わかりやすく解説します。

建物の建築確認申請日によって優先するべき耐震補強の内容が異なる

建築基準法は過去の大地震と被害状況を教訓にして耐震基準の改正を重ねていて、建物の新築当時の建築基準法によっては耐震性能が十分ではありません。

着工時期に応じて、「当時の耐震基準」と「優先度の高い耐震補強」の方法を一覧表にまとめました

着工時期当時の耐震基準優先度の高い耐震補強
1981年5月以前【旧耐震基準】
・震度5強程度で倒壊しないことが目標
・震度6以上は想定されず、壁の量も現在より少ない
・壁の配置バランス、接合金物の設置、基礎の規定もない
・筋交いや耐力壁の増設
・接合金物の設置
1981年6月〜2000年5月【新耐震基準】
・震度6強〜7程度
でも倒壊しないことが目標
・壁の量が引き上げられた
・壁の配置バランス、接合金物の設置、基礎の規定はない
・筋交いや耐力壁の配置バランスの確認
・接合金物の追加
2000年6月以降【2000年基準】
・地盤に応じた基礎、接合金物の指定、壁の配置バランス(四分割法)が規定された
劣化状況や増改築歴の確認

1981年6月以降の住宅は「新耐震基準だから大丈夫」と思われがちですが、2000年5月までに着工した住宅は、筋交いが入っていても端部が釘打ちだけの場合があります。

建物の耐震性はバランスが重要

壁の量や強度、重心のバランスが偏っている木造建物は、地震発生時に弱い部位から破損・倒壊・崩壊します

【例】

  • 南側に大きな窓が並ぶ家は、南面を補強すると南北の差が縮まり、北面ばかり強くするとバランスが崩れる
  • 片筋交いは一方向の力にしか効かないため
  • 2階だけを強くすると1階に力が集中し崩壊の原因になる

そのため、耐震補強は複数の方法の中から1つを選ぶのではなく、「住宅全体の耐震性のバランスを整える」という方針でプランを組み立てましょう

現状の耐震性能を確認するための耐震診断が必須

耐震診断

耐震診断を受けないと、木造建物が「地震に耐えるために必要な強さ」の何割を持っているかを正確に把握できません。

耐震診断を実施するのは建築士の資格を持つ専門家で、耐震診断によって以下のような項目を把握できます

  • どこが弱いか:階ごと・方向ごとに診断をするため、弱い場所を特定できる
  • なぜ弱いか:壁の量、接合金物、基礎のひび割れ、腐朽のどれが原因で耐震補強が必要かがわかる
  • 耐震補強の内容:耐震補強するべき壁と耐震補強の内容が明確になる
  • いくらかかるか:補強計画にもとづく概算工事費を把握できる

耐震診断では、床下や小屋裏に入って構造材を目視し、図面からは読み取れない「劣化」「増築部分の現状」まで確認します。

耐震診断によって耐震補強が必要な箇所を絞り、ご予算に応じた耐震補強プランの組み立てもしやすくなります

耐震補強は建材選び・施工精度も重要

耐震補強の建材は、確保するべき耐震性能に応じて選択し、正しく施工しないと本来の耐震性能を発揮しません

  • 接合金物は「Zマーク表示金物」など法令の仕様に対応した製品を選ぶ
  • 金物は確保したい耐震性能に応じて選ぶ
  • 面材耐力壁は、指定された釘の種類・ピッチまで守る など

施工精度が低い「筋交いの上端が柱に届いていない」「金物のビスが規定の本数より少ない」といった工事によって費用が無駄にならないよう、耐震補強実績が豊富なリフォーム会社に耐震補強を依頼しましょう。

耐震補強が完成した後では施工精度を確認できないため、「壁を閉じる前の写真を、補強箇所ごとに撮影して提出してほしい」といった要望を伝えたときに、丁寧に対応してくれるリフォーム会社を選ぶことをおすすめします。

オカムラホームは耐震補強実績が豊富なリフォーム会社で、ご予算・ご要望に応じた柔軟なリフォームプランの提案が得意です

東京・千葉・神奈川で耐震補強の必要性を感じている方は、お気軽にお問い合わせください。

〈※施工エリア:東京・千葉・神奈川の一部地域となります〉

大規模な耐震補強実施には建築確認申請が必要

2025年4月以降、木造2階建て住宅または延床面積200㎡超の平屋で大規模な耐震補強を行う場合は、建築確認申請※が必要になるケースが増えました

※建築確認申請とは、設計段階で法令を遵守しているかを審査し、工事完了後に検査を受ける手続きです。

以前は小規模な木造住宅であれば大規模な改修でも確認申請が免除される「特例」がありましたが、現在は主要構造部(壁・柱・床・梁・屋根・階段)のいずれか1種以上について「過半(半分を超える範囲)」の修繕や模様替を行う工事については、厳格に建築確認申請の対象となっています

主要構造部過半の判断基準
総面積に占める割合
柱・梁総本数に占める割合
床・屋根最下階を除く床、または屋根の総面積に占める割合
階段階段全体の規模に占める割合

そのため、住まいを骨組み(スケルトン)状態にして基礎や柱を丸ごと補強するような耐震リフォームや、屋根・外壁の全面的な張り替えを伴う工事では、確認申請を避けて通ることができません。

【特に注意が必要な「土地と建物」の制限】

  • 「再建築不可」の制限を持つ土地に建つ建物
  • 既存不適格建築物(建物が現行法令を遵守していない建物) など

一方で、外壁や骨組みには大きく触れず、室内の要所に筋交いや構造用金物を数か所後付けするような「部分的な耐震補強」であれば、建築確認申請は原則不要です。

こちらの記事で、大規模なリフォームの事例や費用をご確認いただけます。

木造の耐震補強費用の相場、費用負担を抑える補助金

補助金

次に、木造の耐震補強費用や費用を抑える方法もご紹介します。

木造の耐震補強費用の相場

木造の主な耐震補強の方法と費用相場は、以下のとおりです。

工事項目費用相場
筋交いの新設(片筋交い)5万〜10万円/箇所
筋交いの新設(たすき掛け)8万〜15万円/箇所
耐力壁(構造用合板)の新設6万〜12万円/箇所
筋交い端部の接合金物1万〜3万円/箇所
柱頭・柱脚の接合金物(ホールダウン金物など)2万〜5万円/箇所
基礎の増し打ち・新設5万〜8万円/m
基礎のひび割れ補修(樹脂注入)20万〜30万円/式
屋根の軽量化(瓦から金属屋根へ)8,000〜1万5,000円/㎡
内装の解体・処分3,000〜5,000円/㎡
内装の復旧(下地・ボード・クロス)5,000〜1万円/㎡

※上記の費用はあくまでも相場で、実際の費用は建物の現況と工事内容によって変動します。

木造の建物を丸ごと耐震補強する場合には、補強の深さで費用が3段階に分かれます

  • 接合金物の追加が中心……50万〜100万円(1981年6月〜2000年5月着工で壁量は足りている住宅など)
  • 壁の増設が中心……100万〜200万円(壁が少ない、または壁の位置が偏っている住宅など)
  • 基礎補強や屋根の軽量化まで……200万〜300万円(旧耐震基準で、基礎に鉄筋が入っていない住宅など)

耐震補強の工期は、部分工事で1〜2週間、家全体で1か月前後が目安です。

建物の耐震補強の費用負担を抑える補助金

耐震補強は、多くの自治体が独自の補助金事業を実施している数少ないリフォームです

【例:千葉県八千代市の木造住宅耐震改修費補助事業(令和8年度)】

  • 対象住宅:平成12年(2000年)5月31日以前に着工された、2階建て以下の一戸建てまたは併用住宅
  • 耐震診断費の補助:診断費用の2/3、上限6万円
  • 耐震改修費の補助:工事費の4/5、上限100万円
  • リフォーム費の補助:耐震改修とあわせて行うリフォーム工事費の1/3、上限30万円
  • 申請受付期間:令和8年5月15日〜10月30日。先着順・予算上限あり
  • 対象条件:設計・工事監理・改修工事のすべてを行う など

ぜひ、お住まいの自治体のホームページで、耐震補強に対する補助金を実施しているかをご確認ください。

なお、多くの補助金は「工事請負契約前の申請が必要」などの詳細な条件があり、申請額が予算上限に達すると申請受付が終了となります

補助金活用のご希望は、リフォーム会社へ初めて問い合わせをした段階で伝えて、サポートを受けながら申請をすることをおすすめします。

こちらの記事で、耐震以外のリフォームを対象とした補助金もご確認いただけます

補助金以外で木造の耐震補強費用を抑える方法

耐震補強の費用を抑える方法として、補助金以外に以下のような工夫も可能です

  • 耐震診断と補強設計で補強箇所を絞る
  • 壁や床の解体が必要なほかのリフォームと同時に実施
  • 足場設置が必要なほかのリフォームと同時に実施
  • 壁を増やすのではなく、建物を軽くする
  • 内装復旧の内容をシンプルにする

耐震補強費用のうち、大きな割合を占めるのは「内装の解体・復旧費用」です。

内装リフォームや断熱改修と同時に耐震補強を実施すると、内装の解体・復旧が一度で済むため、余計な費用が発生しません。

木造の耐震補強Q&A

Q&A

最後に、木造の耐震補強についてオカムラホームがよくいただく質問・回答をご紹介します

Q. 筋交いの耐震補強はDIYでできる?

A. 筋交いの耐震補強は、DIYできません

理由は以下のとおりで、高度な設計・施工技術が必要なためです。

  • 耐震補強が必要な箇所を特定し、耐震性能を確保する設計をするのが難しい
  • 規定の金物・釘・ピッチで施工しないと、本来の耐震性能を発揮しない
  • 内装の解体が必要で難易度が高い など

また、補助金を活用する場合には、設計士による証明が必要です。

Q. 住みながらの耐震補強工事は可能?

A. 耐震補強の部位が限られている場合、外壁側から耐震補強をする工法を選択する場合には、住みながらの工事が可能です

ただし、住みながらのリフォームは職人の出入り、音、ゴミなどの問題もあるため、こちらの記事でメリット・デメリットをご確認いただけると幸いです。

Q. 構造用合板の外側に筋交いを設置しても補強になる?

A.構造用合板の外側に筋交いを設置しても、補強にはならない可能性があります

理由は、筋交いの両端を柱・土台・梁に規定の金物で直接緊結することで本来の耐震性能を確保できるためです。

一方、すでに筋交いが入っている壁に構造用合板を張り足す場合には、耐震性能がアップするケースがあります

まとめ

木造の耐震補強で筋交い、耐力壁、耐震金物を後付けする効果、リフォームの注意点、費用相場などをご紹介してきました。

耐震補強は「筋交いを増やす」など単一の方法ではなく、住宅全体の構造バランスを正確に把握したうえで、弱い箇所に適切な方法で実施するリフォームです。

決して安価なリフォームではないため、まずは耐震診断を受けて、無駄なく期待通りの耐震補強を実現していただけると幸いです。

東京・千葉・神奈川で地震発生のたびに「わが家は大丈夫?」と不安を抱えている方は、オカムラホームへお問い合わせください

耐震診断のうえで、ご予算に応じた耐震補強プランを提案し、高い設計・施工技術でご家族が安心して暮らせるリフォームを実現いたします。

〈※施工エリア:東京・千葉・神奈川の一部地域となります〉

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