コラム

マンション一棟買いで失敗しない「キャッシュの黒字は10年後から」の覚悟|資金計画、損切り基準を解説

2026.06.15

2026.06.29

賃貸マンション

「マンション一棟買い」は高い買い物ですし、資産を一箇所に集中させる資産運用方法でもあるため、不動産会社から提示された利回りシミュレーションやご自身のシミュレーションを信じていいのか、計画段階で立ち止まっている方がいらっしゃると思います

結論から申し上げると、「マンション一棟買い」は短期間で帳簿上の黒字が出てもキャッシュの黒字化まで10年ほどかかるのが一般的ですので、失敗しないためには「綿密な計画」と「長期運用に対する覚悟」が必要です。

今回は首都圏で多くの不動産投資家さまの資産運用に伴走している不動産経営コンサルティングサービス『未来の財託』が、マンション一棟買いで失敗しないために知っておくべきことを、わかりやすく解説します。

厳しい内容もありますが、ご自身の資産規模を成長させるために必要な情報ですので、ぜひ最後までご確認ください。

首都圏で「不動産投資による資産運用をステップアップさせたい」「資産運用についていつでも相談できるパートナーがほしい」とご希望の方は、未来の財託へお問い合わせください

Contents

マンション一棟買いで失敗しない「キャッシュの黒字は10年後から」の覚悟

賃貸マンション

冒頭でお伝えしたとおり、マンション一棟買いでは、キャッシュ(現金)が継続的に黒字化するまでに10年ほどの期間を見込む必要があります。

はじめに、新築一棟マンション・中古一棟マンションの条件を仮に固定して、購入から10年間の費用実態をご紹介しながら、「なぜキャッシュの黒字化まで10年かかるのか」を解説します。

これからご紹介する新築一棟マンション・中古一棟マンションの条件(仮)は、以下のとおりです。

項目条件
立地都市部の住宅地/最寄り駅徒歩10分圏内
敷地面積約200㎡
建物構造RC造4階建て
部屋数1Kタイプ12戸(各戸の専有面積は25㎡前後を想定)
設備エレベーター1基・オートロック・宅配ボックス完備

※比較が複雑になるのを避けるため、「1年を通して満室」と条件を固定して費用をご紹介しています。

新築・中古マンションの一棟買い費用とキャッシュの比較一覧表|「キャッシュの黒字」「収益の黒字」は違う点に注意

これから「新築マンションの一棟買い」「中古マンションの一棟買い」のリアルな初期費用・固定費用・変動費を詳細に解説するのですが、はじめに全体的な費用・キャッシュの状況をまとめた一覧表をご紹介します。

項目新築購入中古購入(築15年時点)
物件価格水準10055〜65
諸費用率物件価格の8〜9%物件価格の9〜11%
固定費(家賃収入比)75〜82%73〜84%
10年間の修繕リスク
空室率想定5〜10%10〜15%
ローン残債の減り方ゆっくり早い
キャッシュ黒字化の目安10年前後7〜10年(修繕を乗り切れば)

特に注意が必要なのは、「キャッシュの黒字」と「収益の黒字」は違うという点です。

項目計算式
キャッシュの黒字
=ご自身の手元に残るお金
家賃収入-(経費+ローン利息+ローン元金+税金)
収益の黒字
=帳簿上の利益。所得税の計算に使う
家賃収入-(経費+減価償却費+ローン利息)

不動産投資の帳簿を見て以下の矛盾に悩むことがあったら、「キャッシュの黒字」「収益の黒字」の違いを改めて認識する必要があります。

  • 帳簿上は黒字だけど、手元に納税するための十分なお金が残らない
  • 帳簿上は赤字だけど、手元にお金が残った

上位のような矛盾が発生する代表的な要因は、以下3つです

【ローンの元本返済額は経費ではない】

ローン利用によって一棟マンションという資産(経費ではない)を手に入れ、分割でその価格を支払っているだけなので、帳簿上は黒字でもローン返済をすることで手元に十分なお金が残らない現象が起きます。

【修繕積立など「将来の支出に対する備え」は備えた時点では経費にならない】

家賃収入の中から将来の修繕に備えて一定額を積立をするのがベストですが、手元に残ったお金から積立をした時点では経費とはならないため、帳簿上は黒字でも「なぜか儲かった実感がない」という現象が起きます。

【帳簿上の経費「減価償却費」】

建物価格は購入時に全額を経費とせず、法律で決められた年数に分けて少しずつ経費にしていく。経費計上する際に現金を誰かに支払うわけではないため、「帳簿上は赤字だけど手元にお金が残る」という現象が起きます。

「不動産会社から提示された利回りシミュレーションやご自身のシミュレーションを信じて失敗しないか」と不安な場合には、シミュレーションに帳簿上の黒字が出た後の「キャッシュの動き」の資料があるかをご確認ください

キャッシュの動きをシミュレーションせずに「マンション一棟買い」のような多額の資金を必要とする不動産投資を始めると、失敗の可能性が高まります

不動産投資を計画中でお手元のシミュレーションに不安をお持ちの方は、未来の財託へご相談ください

不動産投資家さまの資産活用に伴走するパートナーとして、失敗の可能性を極限まで排除したシミュレーションを実施いたします。

【新築〜10年】マンション一棟買いのリアルな初期費用・固定費・変動費

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新築マンションを一棟買いする場合の、10年間の費用(初期費用・固定費・変動費)は、以下のとおりです。

新築一棟マンションの初期費用(購入時に一括で発生)】

新築時の物件価格を100(「土地購入価格40+建築費用60」と仮定)とした場合、諸費用は物件価格の約8〜9%が目安です。

諸費用の多くは現金支出が必要ですので、一棟マンション購入時に手持ち資金を正しく配分するためにご確認ください

※マンション一棟買いに必要な資金額の目安は、のちほど「マンション一棟買いに必要な資金」ご確認いただけます。

費用項目
(物件価格に対する比率)
内容
仲介手数料
(約3.3%)
物件価格×3%+6万円(+消費税)
登録免許税
(約0.8%)
・土地の所有権移転登記1.5〜2.0%
・建物の所有権保存登記0.4%(ご自身が住まないと仮定)
不動産取得税
(約1.8〜2.0%)
・標準税率3%
・仮の条件である一戸25㎡では「新築賃貸住宅の軽減(1戸1,200万円控除)」の要件を満たさないため非適用で計算
司法書士報酬
(0.1%程度)
標準的な登記手続き代行報酬を想定
印紙税
(0.1%程度)
売買・金消契約書に貼付して納税
ローン事務手数料
(借入額の約2.2%)
メガバンクの標準的な条件を想定
火災・地震保険10年一括
(約0.4%)
RC造の標準的な保険料を想定
諸費用合計
(物件価格の約8〜9%)
物件価格の70〜75%程度を借入で賄うと仮定した概算

お手元に不動産会社などが作成した利回りシミュレーションがある場合には、以下をご確認ください

  • 登録免許税:ご自身が住む場合に適用される「軽減税率(0.15%)」で税額が計算されていないか
  • 不動産取得税:一住戸の面積が40㎡未満のマンションで、「軽減特例(1,200万円)」を差し引いて税額が計算されていないか(軽減特例が適用されるのは一住戸の面積が40㎡〜240㎡の場合)

1棟マンションは高額ですので、資金計画で失敗しないためには、わずかな税率の間違いなども見逃さ図にシミュレーションの精度を高めることが大切です。

【新築一棟マンションの固定費(毎年必ず発生)】

固定費は空室があっても必ず発生する費用ですので、マンション一棟買いで失敗しないためには「満室稼働しなくても固定費を無理なく払えるか」の確認が必須です。

以下は満室時の年間家賃収入を100とした場合の固定費構成比の目安です。

費用項目
家賃収入比
備考
ローン返済額(元金+利息)
(55〜60%)
以下を仮定して計算
・自己資金20%
・金利2%
・返済期間30年想定
・毎月の返済額が一定の「元利均等返済」を想定
固定資産税・都市計画税
(6〜8%)
仮の条件である一戸25㎡では「新築後5年間(中高層耐火住宅)の税額軽減(1/2)」の要件を満たさないため、税額軽減非適用で計算
建物管理委託費
(約5%)
入居者対応・清掃等
共用部光熱費
(約2%)
エレベーター・廊下照明
エレベーター保守
(約3%)
フルメンテ契約
各種法定点検費用
(約2%)
消防・貯水槽等
損害保険(年割)
(約1%)
固定費合計
(家賃収入の約75〜82%)

新築一棟マンション変動費(時期・金額が変動)】

新築1棟マンションは、中古一棟マンションと比較して購入から10年間の変動費発生を抑えられるのが一般的です。

主な変動費は以下のとおりで、築年数が古くなるほど変動費の支出が増えることを想定しましょう

  • 原状回復費:1戸退去あたり家賃1〜2ヶ月分程度。入居者の入れ替わりが進む5〜7年目から発生頻度が増加
  • 空室損失:満室想定の5〜10%程度。新築時の入居優位性が薄れる3〜4年目以降に顕在化
  • 広告料(AD):入居付け時に家賃1〜2ヶ月分が目安
  • 小修繕費:給湯器交換などが10年目前後に集中
  • 大規模修繕積立:家賃収入の5〜7%を毎年積み立てるのがベスト

上記の初期費用・固定費・変動費から、新築でマンション一棟買いをする場合、最初の数年間は満室稼働&安定した運用を期待できます。

ただし初期費用が高額ですし、特にローン利用をする場合には利益から返済をするため、「キャッシュフローには余裕がない」と想定しておく必要があります

また築年数が経過するほど家賃下落・空室のリスクが重なるため、諸々のバランスを考慮すると「キャッシュの黒字化まで10年間を想定した資金計画が必要」といえます。

【中古購入〜10年】マンション一棟買いのリアルな初期費用・固定費・変動費

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次に、ここまでご紹介してきた新築一棟マンションが築15年で売却されていたと仮定して、中古一棟マンションの購入から10年間の経費をご紹介します。

新築一棟マンションの価格を100とした場合、築15年の同マンションの価格は、おおむね55〜65程度となるのが相場です。(立地・管理状態により変動します)

中古一棟マンション初期費用】

中古一棟マンションは新築と比較して物件価格自体は安いのですが、以下のとおり諸費用率が新築よりも高くなるのが一般的です。(物件価格の約9〜11%が目安)

費用項目内容(新築との違い)
仲介手数料
(約3.3%)
物件価格×3%+6万円(+消費税)
新築と同じ計算式
登録免許税
(約1.6〜1.8%)
・土地の所有権移転登記1.5〜2.0%
・建物の所有権移転登記2.0%
不動産取得税
(約2.0〜2.2%)
標準税率3%
司法書士報酬
(0.15%程度)
中古は権利関係の確認・抵当権抹消の代行等が加わるため新築よりやや高めを想定
印紙税
(0.1%程度)
売買・金消契約書に貼付して納税
ローン事務手数料
(借入額の約2.2%)
メガバンクの標準的な条件を想定
建物状況調査(インスペクション)
(0.1〜0.2%程度)
必要に応じて追加発生(10〜30万円程度)
火災保険
(約0.5〜0.6%)
築年数が古いほど割高
諸費用合計
(物件価格の約9〜11%)
物件価格の70〜75%程度を借入で賄うと仮定した概算

中古一棟マンション固定費】

固定費合計は家賃収入の約73〜84%程度が目安です。

固定資産税は新築とほぼ同水準またはやや低くなるケースもありますが、エレベーター保守費や保険料など、老朽化に伴う個別費用ががやや高くなる分、家賃収入を100とした場合の固定費構成比は新築とあまり変わらないことを想定できます

費用項目
家賃収入比
内容(新築との違い)
ローン返済額(元金+利息)
(53〜58%)
・法定耐用年数の残存年数でローン期間が制限され、借入1円あたりの返済負担は新築より重くなる
・一方で物件価格自体が新築より低く借入額も小さいため、家賃収入比で見ると新築(55〜60%)と大差ないorやや低くなるケースもある
固定資産税・都市計画税
(6〜8%)
・仮の条件である25㎡では「新築後5年間(中高層耐火住宅)の税額軽減(1/2)」の要件を満たさないため、税額軽減非適用
・建物の評価額が経年によりやや低くなる傾向がある
建物管理委託費
(約5〜6%)
新築(約5%)とほぼ同等。老朽化に伴う対応増でやや高め
共用部光熱費
(約2〜3%)
新築(約2%)とほぼ同等。設備の効率低下分やや高め
エレベーター保守
(約4%)
部品交換頻度が増え、新築(約3%)より割増になる場合あり
各種法定点検費用
(約2〜3%)
新築(約2%)とほぼ同等
損害保険(年割)
(約1.5%)
築年数による割高分があり、新築(約1%)より高め
固定費合計
(家賃収入の約73〜84%)

【中古一棟マンション変動費(中古は新築より圧倒的に多い)】

中古一棟マンション購入後10年間(築15年→25年)は、建物・設備の経年劣化に伴う支出が集中する時期にあたります

  • 大規模修繕(外壁塗装・屋上防水):12〜15年周期で家賃収入の半年〜1年分程度の支出が目安
  • 給湯器一斉交換:耐用年数10〜15年のため、全戸で順次交換時期を迎える
  • 配管更新(築20年超):給排水管の劣化により、更新工事が必要になる場合がある
  • 空室率上昇:新築より高く10〜15%程度を想定する必要がある
  • 家賃下落圧力:年0.5〜1%程度の下落傾向がある

上記の初期費用・固定費用・変動費から、中古マンションを一棟買いする場合、修繕費が想定外のタイミング・金額で発生する可能性があるため、資金に余裕をもって購入し、購入後も毎月の修繕積立を計画的に行えるかどうかで、10年後のキャッシュに対する余裕が大きく変わります

マンション一棟買いの失敗例も確認

賃貸マンション

ここまでご紹介してきたとおり、「マンション一棟買いをしてキャッシュが黒字化するまでに10年を要する」と言える理由は以下のとおりで、実際にシミュレーションが甘かったことが原因で失敗した例が多数ございます。

  • ローン返済がキャッシュを圧迫
  • 築12〜15年頃の大規模修繕や設備交換に向けて修繕積立が必要
  • 築年数が経過すると「家賃下落」「空室リスク」が増すことが、収益・キャッシュ双方の不安定要素となる
  • 中古の一棟マンションを購入する場合には購入後10年以内に減価償却費の計上が終了し、納税負担が増える

【マンション一棟買いの失敗例】

  • 表面利回りだけで購入を決断し、空室リスク・修繕リスクに対応する資金が不足してマンションを維持できなくなる
  • 「サブリース(30年一括借り上げ)」を利用して、家賃下落に耐えられず他の収入や貯金を切り崩して修繕費などを支払うことになる など
  • 「節税」を目的にしていたが、減価償却費の計上が終了して納税資金を用意できなくなる

「不動産投資で節税」という広告コピーの意味を、こちらの記事で専門用語なしでご紹介しています。

マンション一棟買いは1つの物件に資産を集中させる資産運用方法ですので、20〜30年以上の長期的な視点でのシミュレーション・十分な資金を確保したうえでの計画が必須です。

次にマンション一棟買いに必要な資金もご紹介するので、参考にしていただけると幸いです

マンション一棟買いに必要な資金イメージ画像|首都圏『未来の財託』

マンション一棟買いに必要な資金は、主に「物件価格」「諸費用」「運営予備資金」の3つに分けて考える必要があります。

「新築マンション一棟買い」「中古マンション一棟買い」に必要な資金の内訳、「ローンを利用できる年収の目安」をご紹介します。

新築マンション一棟買いに必要な資金

新築マンション一棟買いに必要な資金は立地・規模などによって大きく変動しますが、「都市部住宅地」を想定した場合の目安は以下のとおりです

【新築マンション建築費用】

物件規模価格帯の目安
小規模(6〜8戸/木造・軽量鉄骨)1億円前後〜1.5億円
中規模(10〜15戸/RC造4階建て)1.5億〜3億円
(首都圏は他地域よりも高額な傾向)
大規模(20戸以上/RC造5階建て以上)3億円〜
(都心・23区・主要駅近では4億円超も珍しくない)

※「土地価格」「建築費(建築諸費用)」を含む価格の目安です。

上記の他に「頭金」「土地取得などに関わる諸費用(目安は前章でご紹介したとおり約8〜9%)」「運営予備資金」が必要です。

【諸費用】

項目目安
頭金物件価格の10〜20%
諸費用(登録免許税・不動産取得税・仲介手数料など)物件価格の8〜9%
運営予備資金(年間家賃収入の半年〜1年分を確保するのがベスト)物件価格の3〜5%

中古マンション一棟買いに必要な資金

中古マンションを一棟買いする場合の価格も立地・規模などによって大きく変動するため、築年数ごとに新築価格に対する水準の目安をご紹介します

【中古マンション購入額】

築年数新築時価格に対する水準の目安
(新築1.5億円の場合の価格目安)
築10年以内70〜85%
(1億5百円〜1億2,750円)
築11〜20年55〜70%
(8,250万円〜1億5百円)
築21〜30年40〜55%
(6,000万円〜8,250万円)
築31年以上30〜45%
(4,500万円〜6,750万円)

中古マンションを一棟買いする場合の諸費用は、前章で解説したとおり物件価格の約9〜11%が目安です

また、中古物件は新築に比べて担保評価が低くなる傾向があるため、物件価格の35〜50%程度の手元資金が必要となるケースが増えます

【手元資金】

項目目安
頭金物件価格の20〜30%
諸費用物件価格の9〜11%
運営予備資金(修繕リスクに備え新築より厚めに)物件価格の5〜10%

ローンを利用する場合に必要な年収

不動産投資ローンの融資基準は、住宅ローンと比較して厳しく設定されています

各金融機関で不動産投資ローンを利用する場合の年収の目安は、以下のとおりです。

金融機関の種類
(金利の目安)
必要年収の目安主な特徴
メガバンク
(1.5〜3.5%)
1,500万円〜・金利は低いが審査が厳格
・年収だけでなく資産背景・物件評価・勤務先属性が重要
地方銀行
(1.5〜3.0%)
700万〜1,000万円・エリア限定
・物件評価重視
信用金庫
(2.0〜3.5%)
500万〜700万円地域密着で、年収条件は銀行より柔軟なケースあり
ノンバンク(不動産投資専門)
(3.0〜4.5%)
500万円〜・金利は高め
・審査スピードが早い
・年収条件よりも物件収益性や自己資金を重視する傾向
日本政策金融公庫
(1.0〜2.5%)
明確な年収基準なし・事業計画重視の融資
・低金利

※金利は2026年6月時点の一般的な目安で、個別の融資条件は審査時点の市場環境・申込者の属性により変動します。

金融機関は、年収だけでなく以下の項目を総合的に審査します。

  • 勤務先の安定性:上場企業・公務員・医師・士業は評価が高い
  • 勤続年数:3年以上が目安
  • 金融資産:年収の2〜3倍以上の預貯金があると有利と言われている
  • 既存借入の状況:他のローンの返済比率
  • 物件の収益性:家賃収入でローン返済を賄えるか
  • 物件の担保評価:積算評価・収益還元評価 など

なお、不動産投資ローンの借入可能額は、年収の7〜10倍程度が一般的な目安です。

物件の担保評価が高い場合や金融資産が豊富な場合は、それ以上の借入が可能になることもあります。

年収借入可能額の目安
700万円5,000万〜7,000万円
1,000万円7,000万〜1億円
1,500万円1億〜1.5億円
2,000万円以上1.5億円〜

マンション一棟買いで失敗しないための資金計画|銀行提出用「事業計画書」にそのまま使える

資金計画

ローンを利用する際には、金融機関から事業計画書の提出を求められます

事業計画書は、「物件の収益性」「返済能力」を金融機関に示すための資料であると同時に、購入者自身が投資判断を行うための重要な検討資料でもあります

次に、銀行提出用の事業計画書に必要な4つの構成要素を解説します。

  • 初期投資総額と資金調達計画
  • 年間運営収支シミュレーション
  • 「利回り」など主要指標
  • 売却シミュレーション

初期投資総額と資金調達計画

事業計画書の冒頭では、購入に必要な総額と、その資金をどのように調達するかを明示します。

(例)

項目内訳
自己資金額預貯金・有価証券売却資金など
借入額以下を明記
・借入先金融機関名
・借入金額
・金利(変動・固定の別を明記)
・借入期間
・返済方式(元利均等/元金均等)
・担保設定の内容
・連帯保証人の有無

年間運営収支シミュレーション

年間の家賃収入と支出を一覧化し、税引前・税引後のキャッシュフローを算出します。

【家賃収入】

項目内容
満室時年間家賃収入戸数×想定家賃×12ヶ月
共益費収入戸数×共益費×12ヶ月
駐車場収入区画数×賃料×12ヶ月
その他収入自販機・アンテナ基地局など
収入合計上記の合計

【支出の部(運営経費)

項目目安
建物管理委託費家賃収入の5%程度
共用部光熱費年間20〜30万円程度
エレベーター保守費月3〜5万円×12ヶ月
各種法定点検費用年間20〜30万円程度
修繕費・原状回復費家賃収入の5〜10%
損害保険料年間8〜15万円程度
固定資産税・都市計画税家賃収入の5〜10%
税理士報酬年間10〜30万円程度
運営経費合計上記の合計

さらに、空室損失も想定した事業計画で、計画の精度を高めます

項目空室損失の目安
新築〜築10年満室収入の5〜10%
築11〜20年満室収入の10〜15%
築21年以上満室収入の15〜20%

帳簿が黒字でもキャッシュがないと運営を継続できないため、キャッシュフロー計算書も提出が必要です

項目計算式
税引前キャッシュフロー年間の家賃収入-空室損失-運営経費-ローン元本返済額
税引後キャッシュフロー税引前キャッシュフロー-所得税・住民税

お手持ちのシミュレーションが「満室稼働」を前提にした内容の場合は、必ず空室損失を想定した内容に修正しましょう。

「利回り」など主要指標

利回りなど不動産投資の指標シミュレーションイメージ画像|首都圏『未来の財託』

事業計画書には、複数の「利回り」や「収益指標」を併記し、物件の収益性を多角的に提示します

主な項目は、以下のとおりです。

主な利回り・主要指標計算式
表面利回り
経費・空室を考慮しない利回りで、運営実態よりも高い数値になる
満室時年間家賃収入÷物件価格×100
実質利回り(ネット利回り/NOI利回り)
運営経費と空室損失を反映しているため、運営実態に近い収益性を確認できる
(年間の家賃収入-空室損失-運営経費)÷(物件価格+諸費用)×100
CCR(自己資金利回り)
投下した自己資金に対するリターンを示す指標です。10%以上が良好の目安とされる
年間税引前キャッシュフロー÷自己資金×100
DSCR(債務返済余裕率)
1.3以上が安全圏とされ、1.0を下回ると家賃収入でローンを返済できない状態
(年間の家賃収入-空室損失-運営経費)÷年間ローン返済額
LTV(ローン・トゥ・バリュー)
物件価格に対する借入比率で、70〜80%以下が金融機関の一般的な基準
借入金額÷物件価格×100

【利回りの目安水準】

物件タイプ表面利回りの目安実質利回りの目安
都心新築RC4〜5%2.5〜3.5%
都心中古RC5〜7%3.5〜5%
地方新築RC7〜9%5〜6.5%
地方中古RC8〜12%5〜8%

売却シミュレーション

マンション一棟買いの最終収益は以下を合わせて判断するため、事業計画書には、「想定保有期間」「売却想定額」も提示します

  • 保有期間中のキャッシュフロー(保有している間に毎月手元に残ったお金の合計)
  • 売却益(売却したときに手元に残ったお金)」を合算して判断します。

売却想定額は、主に2つの方法で算出したうえで、より実現可能性が高い数値を採用するのが一般的です。

方法計算方法
収益還元法(家賃収入総額-空室損失総額-運営経費総額)÷想定キャップレート※
取引事例比較法近隣の類似物件の取引事例から㎡単価を算出し、売却物件に当てはめる

※「キャップレート」とは「年間純収益÷不動産価格」で算出する指標で、「想定キャップレート」の目安は以下のとおりです。

エリア築年数キャップレートの目安
都心一等地築浅3.5〜4.5%
都心築20年程度4.5〜5.5%
地方都市築浅5.5〜7%
地方都市築20年程度7〜9%

売却シミュレーションが終了したら、事業計画書の最終評価として、一棟マンションの想定保有期間全体の通算収支を算出します

項目計算式
保有期間中の累計キャッシュフロー年間キャッシュフロー×保有年数
売却時手残り売却価格-売却諸費用-ローン残債-譲渡所得税
自己投下資本初期投資総額のうち自己資金分
通算利益保有期間中の累計キャッシュフロー+売却時手残り-自己投下資本

マンション一棟買いは「失敗の確定」も重要。損切り基準を紹介

損切りのイメージ画像|首都圏『未来の財託』

マンション一棟買いは損失があっという間に膨らむ資産運用方法ですので、シミュレーションの段階で「キャッシュが黒字化しない」と確定する「損切り」のタイミングも想定しておくことで、損失を最小限に抑えられます

損切りを検討すべき5つの基準

損切りを検討するべき基準は、以下のとおりです。

  • 月々のキャッシュフローが2年以上連続で赤字:一時的な現象ではなく立地・建物・賃料設定など解決困難な問題があると判断できます。
  • 空室率が30%以上で1年以上回復しない:エリアの需要そのものが衰退し、個人の努力では回復が困難と判断できます。
  • 大規模修繕の費用が捻出できない:ご自身の資金では運用困難な状況に陥っているため、物件価値が下がる前の売却判断が必要です。
  • 残債と物件価値の差(オーバーローン)が拡大している:年月が経過するほど物件の価値が下がり更にオーバーローンが拡大するため、早期の売却判断が必要です。
  • サブリース契約の賃料減額が連続している:市場価値が下落しているため家賃収入下落がキャッシュに大きく影響する前の売却判断が必要です。

損切りを決断するための具体的アクション

損切りの判断は、感覚ではなく数字で行います。以下の3つを必ず実施してください。

  • 現在の物件の売却可能価格を、複数の不動産会社に査定依頼(1社だけでは正確な相場が分かりません)
  • 残債と売却可能価格の差額(不足額)を算出(自己資金で補填可能か、追加借入が必要かを把握します)
  • このまま保有を続けた場合の今後5年間のキャッシュフローを試算(損切りした場合の損失額と、保有継続した場合の累計赤字額を比較します)

この3つを並べて比較すると、「損失が小さいのは今or将来どちらなのか」を客観的に判断できます。

不動産会社・税理士・弁護士など、複数の専門家の意見を踏まえて、損切りの最終判断をしましょう。

相談先相談内容
不動産会社売却可能価格の査定、買主探し
税理士譲渡所得税の試算、節税対策
弁護士サブリース解除、任意売却の手続き
金融機関ローン残債の確認、任意売却の同意取得

こちらの記事で、譲渡所得税の計算ルール・税額が軽減される特例などをご確認いただけます。

特に「サブリース解除を伴う売却」「オーバーローン状態での売却」には法的な手続きが絡むため、専門家へ早期に相談することが重要です。

「運用中の不動産物件が赤字で、資金も底をついてきた」とお悩みの方は、未来の財託へご相談ください

現状を整理したうえで、ベストな判断・具体的なアクションなどを提示して伴走いたします。

マンション一棟買いQ&A

ワンルームマンション

最後に、未来の財託がマンション一棟買いについてよくいただく質問・回答をご紹介します。

Q. 1棟買いするならマンションとアパートどちらが収益性が高い?

A. マンションとアパートでは「建物構造・耐用年数・初期投資額」などが異なるため、資産運用の目的によって向き不向きが分かれます。

一般的には「短期間で初期投資を回収したい」「自己資金が限られている」といった場合には、アパートを選択するのが現実的です。

「長期保有で資産形成を目指したい」「安定した運営を重視したい」といった場合には、マンションが向いています

比較項目マンション(RC造・SRC造)アパート(木造・軽量鉄骨造)
法定耐用年数新築
・RC造:47年
・重量鉄骨造:34年
新築
・木造:22年
・軽量鉄骨造:19〜27年
初期投資額高いマンションよりも抑えられる
表面利回り低い傾向(4〜7%)高い傾向(7〜10%)
家賃水準高めマンションよりも低め
修繕費大規模だが周期は長い傾向小規模だが頻度は高い傾向

Q.マンションは一棟買い・区分所有どちらがいいの?

A. 自己資金の規模とリスク分散の考え方によって、最適な選択が変わります。

一棟買いは「土地をご自身で所有することで資産価値を維持しやすい」「1戸が空室でも他の戸で収入を補える」といったメリットがありますが、初期投資額が大きくローン審査のハードルも高くなります

区分所有は「少額から始められる」「複数物件・複数エリアに分散投資できる」といったメリットがありますが、1戸あたりの利回りは一棟買いより低く、空室になると収入がゼロになります

状況向いている投資
自己資金が豊富(数千万円以上)一棟買い
自己資金が限られる(数百万円程度)区分所有
不動産投資が初めて区分所有から始めるのが無難
本業が安定しており長期保有が可能一棟買い
リスク分散を重視したい区分所有を複数戸

こちらの記事で、ワンルーム投資を成功させる方法をご確認いただけます。

Q.収益性の高い新築マンション・中古マンションの特徴を知りたい

A. 一般的に、以下の要素を持っている物件は高い収益性を維持しやすい傾向があります

  • 最寄り駅徒歩10分以内など立地条件が優れている
  • 人口が増加または横ばいで土地値が下がりにくいエリアにある
  • 周辺相場と比較して割高でない家賃

中古の場合は「大規模修繕が計画通りに実施され修繕積立金が適正に積み立てられている」「1981年6月以降の新耐震基準を満たしている」といったことも、売却時の資産価値に影響します。

Q.マンション一棟買い・運用・売却について、誰に相談すればいい?

A. 場面に応じて相談するべき専門家が異なります

フェーズ相談先
購入検討【不動産会社】
物件選定、エリア相場、利回り査定
【税理士】
節税対策、法人化
【金融機関】
融資条件、借入可能額
契約【金融機関】
融資条件、借入可能額
【司法書士】
登記手続き、契約書チェック
【弁護士】
サブリース契約、売買契約の法的リスク確認
運用中【賃貸管理会社】
入居者対応、家賃回収、原状回復
【税理士】
確定申告、節税対策
売却【不動産会社】
売却査定、買主探し
【税理士】
譲渡所得税の試算
トラブル発生時【弁護士】
サブリース解除、任意売却、訴訟対応

まとめ

マンション一棟買いで失敗しないために最も重要なのは、「キャッシュの黒字化」のための構造を理解し、その前提で精度の高いシミュレーションをすることです

マンション一棟買いで初年度からキャッシュを黒字化することは困難で、10年ほどの期間が必要であることを見越して資金計画を組み立てましょう。

今回ご紹介した情報を参考にして、お手元のシミュレーションを再確認していただけると幸いです。

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