コラム

110万円の贈与税非課税枠は廃止ではなくルール変更|生前贈与を相続税の計算に含めるルールを簡単解説

2026.04.01

2026.04.20

110万円の贈与税非課税枠は廃止ではなくルール変更|首都圏エリアの不動産経営コンサルティング『未来の財託』

「贈与税の非課税枠:110万円」に関するルール変更(法改正)を知り、「110万円の非課税枠が廃止されるのはいつから?」と不安をお持ちの方がいらっしゃると思います。

結論からお伝えすると、110万円の非課税枠は廃止されません

「暦年課税」での贈与税計算は2031年から相続税に110万円を含む贈与総額を加算する(持戻す)期間が7年間となり、「相続時精算課税」での贈与税計算方法も変更されたため、相続税対策の開始が早いほど節税効果が高くなります

今回は首都圏エリアで相続対策も含めて不動産オーナーさまをサポートしている『未来の財託』が、今後の「110万円の贈与税非課税枠」に関するルールをわかりやすく解説します

より効果の高い相続対策を実施するために、ぜひ最後までご覧ください。

110万円の贈与は廃止ではなくルール変更|いつから何が変わるのか

110万円の贈与

はじめに、「110万円の贈与税非課税枠」の制度内容を改めて簡単に確認したうえで、いつからどのようにルールが変更されたのかをご紹介します

110万円の贈与税非課税枠を簡単解説|贈与税の計算方法は「暦年課税」「相続時精算課税」の2種類

贈与税の計算方法は「暦年課税」「相続時精算課税」の2種類で、「相続時精算課税」を選択する場合のみ、税務署へ届出を提出する必要があります。(届出を提出しない=暦年課税で贈与税を計算となります)

違い暦年課税相続時精算課税
非課税枠年間110万円・年間110万円
・110万円超の額は、累計2,500万円までに対する贈与税の納税を相続時に繰り延べできる
手続き
(相続開始前)
・年間110万円以下:不要
・年間110万円超:確定申告
・「相続時精算課税」を選択した旨を税務署に提出
・届出の翌年以降:年間110万円以下は確定申告不要
対象者制限なし以下両方を満たす場合のみ対象
・贈与者60歳以上
・受贈者18歳以上の子・孫
相続時の扱い2031年からは相続開始前7年間の贈与総額を相続財産に加算
(2026年以降の詳細なルールは次の章で紹介)
・110万円を超過した分のみ相続財産に加算
(相続時精算課税を選択してから相続開始までの期間)

暦年課税のルール変更に伴って、相続時精算課税のルールも上記のとおり変更となりました。

相続時精算課税は、以前は「年間110万円の非課税枠なし」「年間で1円でも贈与をしたら相続財産に加算が必要+確定申告が必要」というルールでしたので、現在はより節税効果が高い制度となっています

暦年課税は2031年1月1日から「生前贈与を相続税の計算に含める期間」が7年となる

暦年課税の「贈与税の非課税枠:110万円」に関するルール変更(法改正)は、2027年1月1日以降の相続開始(2027年1月1日以降の死亡)から適用されます。

違い2026年以前2027年〜2031年
贈与総額の加算期間
(持戻し期間)
3年・2027年:4年
・2028年〜2030年:2024年1月1日から相続開始までの期間
・2031年:7年
相続税計算時の非課税枠なし2027年1月2日以降に相続開始の場合、相続開始の3年前以前の贈与総額から100万円を差し引ける

「持戻し」とは、生前に非課税で贈与した財産額を相続財産へ足し戻して相続税を計算し直すことで、亡くなる直前の駆け込み贈与による節税を防ぐ目的でルールが変更されました。

2031年からは、相続開始までの期間が長いほど(7年超)相続税の節税効果が高いことを念頭に置いて、「暦年課税or相続時精算課税」の選択をご検討ください

なお、このルール変更は「受贈者(財産を受け取る方)・相続人(相続財産を受け取る方」両方に該当する方にのみ適用されます。

「受贈者には該当するが、相続人ではない(逆も同様)」という場合には、暦年課税のみで贈与税を計算することになるため、贈与額が110万円超の場合のみ確定申告が必要で、相続時精算課税の選択も検討する必要がありません。

首都圏で相続対策を相談できる専門家をお探しの不動産オーナー様は、未来の財託へお問い合わせください

当社提携の税理士と共に、相続税の試算から具体的な相続対策まで、全てサポートさせていただきます。

「暦年課税」「相続時精算課税」どちらがいいのか

「暦年課税」「相続時精算課税」どちらがいいのかイメージ画像|首都圏エリアの不動産経営コンサルティング『未来の財託』

次に、ご自身が「暦年課税」「相続時精算課税」どちらに向いているかを判断していただくための情報をご確認ください。

贈与税・相続税のシミュレーションもご紹介します。

※ご紹介するシミュレーションは、受贈者1人分の計算内容です。

暦年課税の選択が向いているケース|贈与税・相続税額シミュレーション

基本的に、相続開始まで7年超を見込める場合は、暦年課税の選択が向いている可能性があります

また、相続時精算課税の条件である「贈与者:60歳以上」「受贈者:18歳以上の子・孫」両方に該当しない場合は、暦年課税のみで贈与税・相続税を計算することになるため、選択の必要はありません

以下のような非課税枠・特例などを利用してもさらに相続財産がある場合には、「暦年課税or相続時精算課税の選択」を先延ばしにして、相続開始までの財産額の変動などを綿密にシミュレーションすることをおすすめします。

非課税枠・特例内容
基礎控除3000万円+(600万円×法定相続人の数)
小規模宅地の特例自宅敷地などの相続税評価額を最大80%減額
結婚・子育て資金非課税枠:1000万円
住宅取得等資金
※2026年内の贈与・入居完了が必要
非課税枠
・省エネ等住宅:1000万円
・上記以外の住宅:500万円
生命保険500万円×法定相続人の数
死亡退職金500万円×法定相続人の数
非上場株式の「事業承継税制」自社株に係る相続税・贈与税が全額猶予・免除

※上記の非課税枠・特例などは適用条件・適用期間が定められているため、事前の詳細確認が必要です。

【暦年課税のシミュレーション①:贈与税・相続税がともに0円になるケース】

条件内容
贈与の内容父から子1人へ毎年100万円を10年間贈与し、2032年に父が死亡
相続財産預金3,000万円(法定相続人:母1/2・子1/2)
贈与税各年の受贈額が110万円以下のため、贈与税は0円
相続税・相続財産への加算額:7年間×100万円=700万円
・相続財産:3000万円+700万円=3700万円
・基礎控除:3000万円+(600万円×2人)=4200万円
相続税:3700万円-基礎控除4200万円=△500万円≠0円

【暦年課税シミュレーション②:贈与税・相続税がともに発生するケース】

条件内容
贈与の内容父から子1人へ毎年300万円を5年間贈与し、2032年に父が死亡
相続財産預金3,000万円(法定相続人:母1/2・子1/2)
贈与税単年の贈与税:(300万円-110万円)×10%=19万円
5年間の贈与税:19万円×5年=95万円
相続税・相続財産への加算額:300万円×5年-100万円=1400万円
・相続財産:3000万円+1400万円=4400万円
・基礎控除:3000万円+(600万円×2人)=4200万円
相続税:4400万円-基礎控除4200万円=200万円
→200万円×1/2×10%=10万円※
→10万円-支払済みの贈与税95万円=△85万円
→0円

※贈与税は課税価格・相続税は相続財産の取得額に応じて税率が異なります。

こちらの記事で、不動産に対する相続税が発生しないケースを具体的にご確認いただけます。

相続時精算課税の選択が向いているケース|贈与税・相続税額シミュレーション

「贈与者:60歳以上」「受贈者:18歳以上の子・孫」両方に該当する場合は、「暦年課税or相続時精算課税」どちらで贈与税の計算をするか選べます。

受贈額が以下すべてに該当する場合には、相続時精算課税を選ぶ方が圧倒的に節税効果が高くなります

  • 「年間110万円以下の贈与×相続開始までの期間」を、7年超継続する可能性が高い
  • 基礎控除などの非課税枠や特例を利用しても、さらに相続財産がある
  • 相続財産に不動産・株式・事業など将来価値が高くなる資産が含まれている

ただし、相続時精算課税は一度選択したら撤回できないほか、以下のようなデメリットもあります

  • 土地を受贈する場合、「小規模宅地の特例(自宅敷地などの相続税評価額を最大80%減額できる特例)」が適用されなくなる(小規模宅地の特例は相続税の特例のため)
  • 毎年110万円超を7年超にわたって受贈する場合、すべての年において110万円超の額を相続税に加算する必要がある
  • 受贈後に不動産・株式・事業などの価値が大暴落しても、高い評価額で贈与税を計算することになる

こちらの記事で、「土地の生前贈与or相続どちらが得か」を判断する基準をご確認いただけます。

【相続時精算課税のシミュレーション①:贈与税・相続税がともに0円になるケース】

条件内容
贈与の内容子が相続時精算課税を選択する届出を提出
→父(60歳)から子(30歳)へ贈与
・1〜13年目:100万円を贈与
・14年目:「100万円を贈与+自社株評価額2000万円」の事業を贈与
・15年目:100万円を贈与
→15年目に父が死亡
相続財産預金2,000万円(法定相続人:母1/2・子1/2)
贈与税・1〜13年目:110万円以下のため0円
・14年目:「2100万円-110万円=1990万円」で2500万円以内のため、相続時まで課税繰り延べとなるため0円
・15年目:110万円以下のため0円
相続税・相続財産への加算額:1990万円
・相続財産:2000万円+1990万円=3990万円
・基礎控除:3000万円+(600万円×2人)=4200万円
相続税:3990万円-基礎控除4200万円=△210万円≠0円

こちらの記事で、スムーズに資産の行方を決める方法をご確認いただけます。

【相続時精算課税シミュレーション:贈与税・相続税がともに発生するケース】

条件内容
贈与の内容子が相続時精算課税を選択する届出を提出
→父(60歳)から子(30歳)へ贈与
・1〜13年目:180万円を贈与
・14年目:「180万円を贈与+自社株評価額2000万円」の事業を贈与
・15年目:180万円を贈与
→15年目に父が死亡
相続財産預金2000万円(法定相続人:母1/2・子1/2)
贈与税・1〜13年目:2500万円の枠を「(180万円-110万円)×13年=910万円」消化し、贈与税は相続時に繰り延べで0円(残り枠1590万円)
・14年目:(2180万円-110万円-1590万円)×20%※1=96万円
・15年目:180万円-110万円×20%=14万円
相続税・相続財産への加算額:(180万円-110万円)×15年+2000万円=3050万円
・相続財産:2000万円+3050万円=5050万円
・基礎控除:3000万円+(600万円×2人)=4200万円
相続税:5050万円-基礎控除4200万円=850万円
→(850万円×1/2)×10%=42.5万円
※2
→42.5万円-支払い済みの贈与税110万円=△67.5万円≠△67万円(還付)

※1相続時精算課税を選択して贈与税が発生する場合の税率は、一律20%です。

※2※相続税は相続財産の取得額に応じて税率が異なります。

相続時精算課税は「相続時の贈与税精算」を前提とした制度なので、既に支払った贈与税額が相続税額を超過する場合には、超過額が還付される点も大きな特徴です

首都圏で「暦年課税or相続時精算課税どちらが節税できるかシミュレーションしたい」とご希望の不動産オーナー様は、未来の財託へお問い合わせください

不動産市場の動向などを見据えて、節税効果の高い相続対策を提案いたします。

「110万円の贈与税非課税枠」を確実に活用するための注意点

「110万円の贈与税非課税枠」を確実に活用するための注意点|首都圏エリアの不動産経営コンサルティング『未来の財託』

110万円の贈与税非課税枠は、「早期の財産移動による経済活性化」などを目的にした優遇制度です。

受贈者が受け取った財産を管理・使用する権利を持たない場合は贈与自体が成立せず110万円の非課税枠も適用されないケースがあるため、注意が必要です。

最後に、110万円の贈与税非課税枠を確実に活用するための注意点もご紹介します。

  • 名義預金はNG
  • 贈与者の出金記録・受贈者の入金記録を照合できるように銀行振込が必須
  • 「定期贈与(連年贈与)」とみなされる約束を一切しない(契約書作成・口約束どちらもNG)

名義預金はNG

「名義預金」とは、贈与者が受贈者名義の銀行口座に入金をして、贈与者が通帳・印鑑・キャッシュカードを持っている状態の預金のことです。

「受贈者が通帳を管理していない・印鑑やキャッシュカードを持っていないため自由に使えない」といった場合、その預金は実質的に贈与者の財産とみなされ、贈与が成立しません

以下のように、実態が伴う贈与を実施しましょう。

  • 受贈者の成人(18歳)と同時に通帳を本人へ渡す
  • 受贈者の預金口座で贈与者の生活費支払いなどを行わず、独立して管理している実態をつくる
  • 毎年「贈与契約書」を作成し、受贈者に贈与を認識させる

贈与者の出金記録・受贈者の入金記録を照合できるように銀行振込が必須

贈与財産の受け渡し方法に関する法令上の決まりはありませんが、「現金手渡し」は財産移動の流れを把握しづらいため、「通帳に贈与の記録が残る銀行振込」が実務上の鉄則です。

万が一、税務調査を受ける場合にも、贈与者・受贈者の通帳を提示するだけで実態が伴う贈与であることを証明しやすくなります。

「定期贈与(連年贈与)」とみなされる約束を一切しない(契約書作成・口約束どちらもNG)

「◯年間で●円贈与する」という約束のうえで贈与が実施されると、年間の贈与額が110万円以下であっても、「1年目に約束した額の分割払い(連年贈与)」とみなされ、贈与税の課税対象額が贈与総額とされる危険性があります

そのため、書面で「◯年間で●円贈与する」と記録を残すことはもちろん、口約束も避けることをおすすめします。

「毎年新しく贈与契約書を作成する」「贈与額をあえて少しずつ変える」といった対策で、不要な疑いを受けることを防止しましょう。

毎年110万円以下の贈与は、実施期間が長いほど大きな節税効果を得られます。

首都圏で「今すぐ相続対策を始めたいが、何から考え、実行するべきかわからない」とお悩みの不動産オーナー様は、未来の財託へお気軽にお問い合わせください

まとめ

「贈与税の非課税枠:110万円」に関するルール変更(法改正)について、具体的な内容・贈与税や相続税のシミュレーションなどをご紹介してきました

「計画的な相続対策」によって、ご家族の財産を次々と下の世代へつないでいくことが可能になります。

今回ご紹介した情報を参考に、大きな効果を得られる相続対策を実施していただけると幸いです。

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