コラム

不動産売却時の譲渡所得税は「翌年の確定申告」で支払う|計算・納税方法、節税できる特例を解説

2025.11.10

2025.11.30

不動産売却時の税金はいつ払う?種類とタイミング、節税方法を解説

 

不動産を売却して利益が出た場合、売却益(譲渡所得)に対して所得税、復興特別所得税、住民税といった税金が課税されます。

 

特に、数千万円単位の取引となる不動産売却では、税金の額も高額になるため、「いつ、いくら、どのように払うのか」を正確に把握しておくことが重要です。

 

このコラムでは、不動産売却時にかかる税金の種類納税のタイミング計算方法、そして税負担を軽減できる特例について解説します。

 


コラムのポイント

  • 不動産売却時にかかる税金は、売却した翌年の確定申告で納税する譲渡所得税(所得税・復興特別所得税・住民税)や、印紙税、登録免許税などがあります。
  • 譲渡所得税のうち所得税・復興特別所得税は売却した翌年の確定申告時(毎年2月16日〜3月15日)、住民税は翌年6月以降に納税します。
  • マイホーム売却時の3,000万円控除空き家特例などの特別控除を活用することで課税所得を減らして大きく節税できる場合があります。特例は複雑な適用要件があり、期限内の売却が必要なケースもあるため、相続発生前の早めの準備が重要です。

 

 

【結論まとめ】不動産を売った時に払う税金の種類と納税時期・タイミング

【結論まとめ】不動産を売った時に払う税金の種類と納税時期・タイミング

 

不動産の売却(譲渡)に関わる税金は、主に譲渡所得税(所得税・住民税)が中心となりますが、契約時や登記時にも費用が発生します。

 

不動産売却時にかかる可能性がある税金の種類支払うタイミング納付方法を一覧表でまとめました。

 

税金の種類 納付の対象 納付のタイミング・期限 納付方法の概要
譲渡所得税
(所得税・復興特別所得税)
売却益(譲渡所得) 売却した翌年の確定申告時
(毎年2月16日〜3月15日)
窓口、振替納税(自動引落)、クレジットカード、QRコードなど
譲渡所得税
(住民税)
売却益(譲渡所得) 売却した翌年度の6月以降
(所得税の確定申告後に通知)
給与からの天引き、または普通徴収(6月・8月・10月・翌年1月に分割で納付)
印紙税 不動産売買契約書 不動産売買契約時 契約書に収入印紙を貼付
登録免許税(売主負担分) 抵当権抹消登記(ローン残債がある場合) 決済時(抵当権抹消手続き時) 司法書士を通じて納付

 

確定申告の流れや必要書類については、以下のコラムをごらんください。

 

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相続した土地や家を売った時の確定申告|自分でする流れや必要書類、申告不要なケースを解説

 

不動産売却時にかかる税金の計算方法

不動産売却時にかかる税金の計算方法

 

不動産売却にかかる税金について、それぞれの計算方法を解説します。

 

譲渡所得税(所得税・復興特別所得税・住民税)の計算方法と税率

 

譲渡所得税の計算の基となる「課税譲渡所得金額」は、以下の計算式で算出します。

 

 

①収入金額 - ( ②取得費 + ③譲渡費用 ) - ④特別控除額 = ⑤課税譲渡所得金額

 

①収入金額 不動産を売却した代金
(売却時の固定資産税・都市計画税の精算金も収入金額に含まれる)
②取得費 不動産を購入する際にかかった金額の合計
(不動産の購入金額やその際に支払った仲介手数料)
③譲渡費用 不動産を売却するためにかかった費用
(仲介手数料や売買契約書に貼る印紙代など)
④特別控除額 一定の要件を満たす場合に適用される控除額
⑤課税譲渡所得金額 課税の対象になる金額

 

譲渡所得税の税率は、売却した不動産の所有期間によって以下のように変わります。

 

〈譲渡所得税の税率〉

 

所有期間 所得税・復興特別所得税 住民税 合計税率
短期譲渡(譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以下) 30.63% 9% 39.63%
長期譲渡(譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える) 15.315% 5% 20.315%

 

※復興特別所得税(0.315%)は、所得税額の2.1%で、2037(令和19)年まで加算されます。

 

譲渡所得税の計算例

 

例として、所有期間10年(長期譲渡)の不動産を売却し、譲渡所得が1,000万円、特別控除適用なしの場合の譲渡所得税を計算すると以下のようになります。

 

  • 所得税・復興特別所得税:1,000万円 × 15.315% = 153万1,500円
  • 住民税: 1,000万円 × 5% = 50万円
  • 譲渡所得税の合計:203万1,500円

 

上記のように、譲渡所得税は売却金額によっては非常に高額になりますが、次章で紹介する「不動産売却時の特別控除」を適用できれば、税額を大きく抑えたり、ゼロにできたりするケースも多いです。

 

印紙税の計算方法

 

印紙税額は、売買契約書に記載された契約金額によって決まります。

 

契約金額 本則税率 軽減税率(令和9年3月31日まで)
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超1億円以下 6万円 3万円

 

(参考)国税庁ウェブサイト「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

 

登録免許税の計算方法

 

売主が負担する抵当権抹消登記の登録免許税は、1つの不動産につき1,000円です。

 

土地と建物がある場合は、合計2,000円となります。

 

(参考)法務局ウェブサイト「住宅ローン等を完済した方へ(抵当権の登記の抹消手続のご案内)」

 

司法書士に手続きを依頼する場合、登録免許税とは別に司法書士への報酬(相場1万円〜2万円程度)が別途必要です。

 

不動産売却時の税金(譲渡所得税)を節税できる特例

不動産売却時の税金(譲渡所得税)を節税できる特例

 

不動産売却時の譲渡所得税は、要件を満たすと課税所得から一定額を控除できる特例が適用できる場合があります。

 

主な特例制度の概要を解説します。

 

マイホームを売ったときの3,000万円特別控除

 

「マイホームを売ったときの3,000万円特別控除」は、マイホーム(居住用財産)を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。

 

(参考)国税庁ホームページ「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

 

ご自身のマイホームを売った時はもちろん、相続した不動産でも、被相続人と一緒に住んでいた家を相続した後に売却した場合などで利用できる可能性があります。

 

空き家特例(相続空き家を売ったときの3,000万円特別控除)

 

空き家特例とは、相続した被相続人の住まいを3年以内に売却すると譲渡所得から最高3,000万円※まで控除できる特例です。

 

※対象の不動産を相続により取得した相続人の数が3人以上の場合は控除額上限2,000万円までとなります。

 

(参考)国税庁ホームページ「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

 

例えば譲渡所得が1,000万円の場合、所有期間15年以上で200万円強の税負担が発生しますが、空き家特例が適用できれば、譲渡所得が3,000万円以内になるため税額はゼロになります。

 

ただし、特例の適用にはいくつかの要件があり、耐震リフォームや解体費用がかかる場合があるため事前に確認が必要です。

 

相続税の取得費加算の特例

 

相続税を支払っている場合、相続税の一部を不動産売却時の取得費に加算し、譲渡所得を減らせる特例です。

 

(参考)国税庁ホームページ「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

 

特例によって「売却した不動産の取得費を増やすことで譲渡所得が少なくなる」ため、結果的に譲渡所得税の節税になります。

 

特例を利用するには、相続開始から3年10か月以内に売却すること、相続税の申告をしていることなどが要件になります。

 

相続税が多い人ほど、また相続財産価額の中で売却する不動産の割合が多いケースほど、譲渡所得税が節税できる額が大きくなるため、「相続する財産が土地のみで相続税額が高い」という方には恩恵が大きい特例です。

 

なお、相続税の取得費加算と空き家特例は併用できません

 

どちらがより節税効果が高いかはケースバイケースとなりますので、税理士や不動産会社などの専門家に相談することをおすすめします。

 

その他の特別控除

 

上記の他にも、公共事業や土地区画整理事業などのために不動産を売却した場合など、一定の条件を満たすと特別控除が利用できる場合があります。

 

売却の内容 特別控除額
公共事業などのために土地や建物を売却したとき 5,000万円
特定土地区画整理事業などのために土地を売却したとき 2,000万円
特定住宅地造成事業などのために土地を売却したとき 1,500万円
平成21年および平成22年に取得した土地を売却したとき 1,000万円
農地保有の合理化などのために土地を売却したとき 800万円
低未利用土地などを売却したとき 100万円

 

(参考)国税庁ウェブサイト「No.3223 譲渡所得の特別控除の種類

 

上記のような特例を適用して課税所得がゼロ以下になる場合は、譲渡所得税はかかりません。

 

ただし、特例の適用を受けるためには、必ず翌年に確定申告が必要です。

 

特例を適用すれば譲渡所得がゼロ以下になる場合も、自動的に控除が適用されるわけではないため注意しましょう。

 

不動産の売却で手取り金額を増やす方法

不動産の売却で手取り金額を増やす方法

 

不動産売却で手取り金額を増やすためには、できるだけ高く売ることはもちろんですが、「税金負担をいかに減らすか」ということも重要になります。

 

譲渡所得税の負担を減らすために知っておきたい対策を紹介しますので、ご自身の不動産売却時に参考にしてください。

 

特例を期限内にもれなく活用する

 

譲渡所得税を大幅に節税できる特例は、以下のように売却の期限が設けられているものがあります。

 

  • 空き家特例:相続から3年以内に売却(厳密には3年を経過する日の属する年の12月31日まで)
  • 相続税の取得費加算の特例:相続開始から3年10か月以内に売却

 

特例を活用したい場合は、期限内に手続きできるように、相続が発生したら不動産会社に早めに売却を依頼しましょう。

 

特例を適用できる条件を満たしているか分からない場合も、提携税理士と連携できる不動産会社に相談すればサポートが受けられます。

 

取得費と譲渡費用をもれなく正確に計上する

 

取得費や譲渡費用が多いほど課税対象の所得が減り、節税につながるため、できるだけ正確に計上しましょう。

 

相続不動産の場合などは特に、当時の売買契約書や仲介手数料などの領収書が残っておらず、取得費が分からないケースが多々あります。

 

取得費が分からない場合、売却価格の5%で概算することになり、実情よりも取得費が少なくなる場合も多くあります。

 

(参考)国税庁ウェブサイト「No.3258 取得費が分からないとき

 

相続後に不動産を速やかに売却したい場合は、早めに当時の書類などを集めることをおすすめします。

 

不動産売却時の税金に関するQ&A

不動産売却時の税金に関するQ&A

 

不動産売却時の税金に関する、よくあるご質問やご相談内容をQ&A形式でまとめました。

 

Q. 不動産は売却する時期次第で高く売れますか?

 

不動産が高く売れる時期は市場の状況によりますが、売却時にかかる譲渡所得税は売却する年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていると税率が低くなるため(39.63%→20.315%)、節税になり結果として利益を多く残せます。

 

例えば、不動産の所有期間が4年11か月で、年を越せば長期譲渡になる場合、売却時期を翌年にずらすだけで手取り額が大きく変わる可能性があります。

 

ただし、売却して損失が出るケースでは譲渡所得税は発生しないため、所有期間5年超を待たずに売却しても税金面で損をすることはありません。

 

長期譲渡所得になるのを待って売却するのが有効かどうかは、不動産会社と相談の上決めることをおすすめします。

 

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Q.不動産を売って利益が出たのに確定申告しなかった場合どうなりますか?

 

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出たにもかかわらず、期限内に確定申告の手続きをしないと、無申告加算税延滞税などのペナルティが課せられる可能性があります。

 

無申告加算税

 

無申告加算税は、確定申告をしなかったり、期限後に申告したりした場合にかかる税金です。

 

無申告加算税の税率は、申告時の状況や税額によって変わります。

 

申告時の状況 無申告加算税の税額
税務署からの調査の事前通知の前に自主的に期限後申告をした場合 納付する税金×5%
税務署からの調査の事前通知の後に期限後申告をした場合 納付する税金が50万円までの部分:納付する税金×10%

50万円を超え300万円までの部分:納付する税金×15%

300万円を超える部分:納付する税金×25%

税務署の調査を受けた後に期限後申告をした場合 納付する税金が50万円までの部分:納付する税金×15%

50万円を超え300万円までの部分:納付する税金×20%

300万円を超える部分:納付する税金×30%

 

ただし、1か月以内に自主的に行われているなど一定の条件をすべて満たす場合は、期限後の申告でも無申告加算税がかからない場合があります。

 

ケースごとの詳細は国税庁のホームページで確認ください。

 

(参考)国税庁ウェブサイト「No.2024 確定申告を忘れたとき」

 

延滞税

 

延滞税は、各種税金の納付期限を過ぎた場合にかかる税金です。

 

延滞税の税率は以下の通りで、納付期限の翌日からどれくらい経っているかで税率が変わります。

 

納期限までの期間 税率
納付期限翌日から2か月以内 原則:納付する税金×7.3%/年

※令和8年1月1日から令和8年12月31日までは「2.8%/年」になります。

納付期限翌日から2か月以降 原則:納付する税金×14.6%/年

※令和8年1月1日から令和8年12月31日までは「9.1%/年」になります。

 

(参考)国税庁ウェブサイト「No.9205 延滞税について」

 

上記のように、延滞した期間が長いほど無申告加算税や延滞税も高くなります。

 

売却益がゼロ以下でない限り、特例を使って課税所得がゼロになった場合でも、必ず確定申告が必要です。

 

申告しないと特例は適用されず、気づかないうちに無申告加算税や延滞税が発生する可能性もあるため注意しましょう。

 

Q.譲渡所得税の延納制度や分割納付制度はありますか?

 

譲渡所得税には、一般的に所得税で利用される延納制度納期限までに2分の1以上を納付すれば、残りを5月31日まで延期できる制度)があります。

 

ただし、延納期間中は年0.9%の利子税がかかります。

 

(参考)国税庁ウェブサイト「確定申告期に多いお問合せ事項Q&A【税金の納付】

 

また、納税が困難な特定の事情がある場合は、税務署に申請することで、猶予制度を利用できるケースがあります。

 

原則として猶予期間は1年以内で、納期限から6か月以内に申請書をe-Taxソフトまたは所轄税務署窓口で提出することで申請できます。

 

具体的な猶予制度の概要・申請方法については、国税庁ホームページを参照の上、所轄の税務署にご相談ください。

 

(参考)国税庁ウェブサイト「納税に関する総合案内|猶予制度の概要・申請方法

 

まとめ

不動産売却時にかかる税金は、売却した翌年の確定申告で納税する譲渡所得税(所得税・復興特別所得税・住民税)や、印紙税、登録免許税などがあります。

 

譲渡所得税のうち所得税・復興特別所得税は売却した翌年の確定申告時(毎年2月16日〜3月15日)住民税は翌年6月以降に納税します。

 

売却益が多くなるほど譲渡所得税も高額になりますが、マイホーム売却時の3,000万円控除空き家特例など、ご自身のケースにあった特別控除を活用することで課税所得を減らして大きく節税できる場合があります。

 

特に、相続した不動産の売却時に使える特例は複雑な適用要件があり、期限内の売却が必要なケースもあるため、相続発生前の早めの準備が重要です。

 

特例適用の可否や必要書類の収集、確定申告の手続きに不安がある方は、提携の税理士と連携できる不動産会社に相談し、専門家のサポートのもとで確実に手続きを進めることをおすすめします。

 

未来の財託は、不動産売却・活用から税務サポートまで、提携税理士とともにワンストップで対応いたします。まずはお気軽にご相談ください。

 

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