コラム

不動産売却で譲渡所得税がかからないケースとは|相続不動産売却・活用のポイントも解説

2025.07.20

2025.07.31

不動産売却で譲渡所得税がかからないケースと節税できる特例

 

不動産の売却を検討していて、「譲渡所得税の仕組みが複雑で分かりにくい」と感じている方も多いのではないでしょうか。特に相続した不動産の場合、税金がいくらかかるのか、損をしないか知りたいという方もいるでしょう。

 

このコラムでは、譲渡所得税の仕組みや計算方法から、税金がかからないケース節税につながる特例相続不動産売却成功のポイントまで、分かりやすく解説します。

 

不動産売却を有利に進めるための参考にしてください。

 


コラムのポイント

  • 不動産売却時の譲渡所得税は、売却益や所有期間で税率が変わり、マイホームの3,000万円特別控除、相続空き家特例など、税金がかからないケースや軽減できる特例もあります。
  • 譲渡所得税は、売却のタイミングや早めの相続登記、適切な取得費・譲渡費用の計上などで節税できる可能性があります。
  • 不動産の売却・活用は、相続不動産の売却や活用に関する知識が豊富な総合不動産会社に早めに相談するのがおすすめです。

 

 

 

譲渡所得税とは?

譲渡所得税とは?

 

譲渡所得税とは、不動産などを売った時に出た利益に対してかかる税金です。

 

譲渡所得税は、不動産を売却した金額そのものにではなく、以下によって算出される「譲渡所得」に対して課税されます。

 

①収入金額 - ( ②取得費 + ③譲渡費用 ) - ④特別控除額 = ⑤課税譲渡所得金額

 

①収入金額 不動産を売却した代金
(売却時の固定資産税・都市計画税の精算金も収入金額に含まれる)
②取得費 不動産を購入する際にかかった金額の合計
(不動産の購入金額やその際に支払った仲介手数料)
③譲渡費用 不動産を売却するためにかかった費用
(仲介手数料や売買契約書に貼る印紙代など)
④特別控除額 一定の要件を満たす場合に適用される控除額
⑤課税譲渡所得金額 課税の対象になる金額

 

 

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税の計算方法

 

譲渡所得は、不動産を所有していた期間によって長期譲渡所得短期譲渡所得の2つに区分され、いかのように税率も異なります。

 

〈譲渡所得税の税率〉

 

譲渡所得の種類 譲渡所得税率 住民税率
長期譲渡所得
(譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える)
15% 5%
短期譲渡所得
(譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以下)
30% 9%

 

※2037(令和19)年までは、「復興特別所得税」として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付する必要があります。復興特別所得税率は、長期譲渡所得が15%×2.1%=0.315%、短期譲渡所得が30%×2.1%=0.63%となります。

 

上記のように、空き家を所有していた期間が5年以下だと税率が高くなります。相続によって取得した不動産については、被相続人の取得時期がそのまま相続人に引き継がれます

 

例えば、所有期間5年以上の相続不動産を売却し、課税譲渡所得が5,000万円だった場合、譲渡所得税は以下のように計算できます。

 

5,000万円×(15%+5%+0.315%)=1,015万7,500円

 

不動産売却で譲渡所得税がかからない3つのケース

不動産売却で譲渡所得税がかからない3つのケース

 

不動産売却時の譲渡所得税は、課税所得や所有期間によっては高額になることもあります。

 

ただし、以下のようなケースでは譲渡所得税がかかりません。

 

①課税譲渡所得がゼロの場合

 

売却して得た金額から、取得費や譲渡費用(購入・売却にかかった費用)を差し引いた額がゼロまたはマイナスの場合は、課税対象の所得がないため譲渡所得税はかかりません。

 

不動産を売却して得た所得が、他の所得と合わせて20万円以下の場合は、確定申告は不要になります。

 

また、特別控除を適用すると売却益がゼロになる場合も譲渡所得税はかかりませんが、確定申告が必要です。不動産売却時に適用できる特別控除については、次の章で詳しく解説します。

 

②売却して損失が出た場合

 

不動産の売却金額から課税所得を計算してマイナスになった(損失が出た)場合は、他の土地や建物の譲渡所得との損益通算を適用することで、所得を相殺して節税できる場合があります。

 

また、売却した不動産が長期譲渡所得に該当するマイホームの場合、要件を満たすと不動産以外の所得(給与所得など)との損益通算ができます。

 

長期譲渡所得に該当するマイホームの場合、損益通算をしても損失を控除しきれない場合は、売却の翌年以後3年間にわたり繰り越して控除できます。

 

(参考)国税庁ホームページ|No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合

 

譲渡損失が出た場合は原則として確定申告は不要ですが、損益通算や繰越控除を利用するなら確定申告が必要になるため注意が必要です。

 

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譲渡所得税の節税につながる特例

譲渡所得税の節税につながる特例

 

前章でも説明したとおり、不動産は要件を満たして一定期間内に売却すると、譲渡所得税の軽減措置が適用できる特例があります。

 

特例を適用できれば、不動産売却時の税負担を抑えられますので参考にしてください。

 

マイホーム売却時の3,000万円特別控除

 

マイホーム(居住用財産)を売った時は、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例を適用できます。

 

(参考)国税庁ホームページ|No.3302 マイホームを売ったときの特例

 

相続不動産でも、被相続人と一緒に住んでいた家を相続した後に売却した場合などで利用できる可能性があります。

 

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

 

マイホームを売ったときの軽減税率の特例とは、マイホーム(居住用財産)を売却して一定の要件に当てはまる場合、長期譲渡所得の税額を通常の場合よりも低い税率で計算できる特例です。

 

売却益から3,000万円の特別控除を差し引いた後の課税長期譲渡所得について、以下の軽減税率で税額を計算できます。

 

課税長期譲渡所得金額(=A) 譲渡所得税額
6,000万円以下 A×10%
6,000万円超 (A-6,000万円)×15%+600万円

 

※2037(令和19)年までは、「復興特別所得税」として各年分の基準所得税額の2.1%を併せて納税する必要があります。

 

(参考)国税庁ホームページ|No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

 

上記のように、5年以上所有しているマイホームを売却した際は、通常15%の所得税率が課税所得6,000万円以下の場合は10%になり、6,000万円超の場合は課税所得から6,000万円を差し引くなどで軽減されます。

 

空き家特例(相続空き家を売った時の3,000万円特別控除)

 

空き家特例とは、相続した被相続人の住まいを3年以内に売却すると譲渡所得から最高3,000万円※まで控除できる特例です。

 

※対象の不動産を相続により取得した相続人の数が3人以上の場合は控除額上限2,000万円までとなります。

 

(参考)国税庁ホームページ|No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

 

例えば譲渡所得が1,000万円の場合、所有期間15年以上で200万円強の税負担が発生しますが、空き家特例が適用できれば、譲渡所得が3,000万円以内になるため税額はゼロになります。

 

ただし、特例の適用にはいくつかの要件があり、耐震リフォームや解体費用がかかる場合があるため事前に確認する必要があります。

 

相続税の取得費加算の特例

 

相続税の取得費加算の特例は、相続した不動産(土地や建物)を相続開始から3年10か月以内に売却した場合、相続税額の一部を売却した不動産の取得費に加算できる特例です。

 

(参考)国税庁ホームページ|No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

 

特例を適用して売却した不動産の取得費を高くすることで譲渡所得を減らし、結果的に譲渡所得税の節税になるという仕組みになっています。

 

相続税が多い人ほど、また相続財産価額の中で売却する不動産の割合が多いケースほど、譲渡所得税が節税できる額が大きくなるため、「相続する財産が土地のみで相続税額が高い」という方には恩恵が大きい特例です。

 

なお、相続税の取得費加算と空き家特例は併用できません。

 

相続財産が土地のみで相続税額が大きい場合などを除けば、空き家特例を利用した方が、節税効果が大きくなる可能性が高いです。

 

マイホーム買い換え特例

 

マイホーム買い換え特例とは、要件を満たしたマイホームを売却して買い換えた場合に、売却益に対する課税を将来に繰り延べられる制度です。

 

特例を利用するためには、売却代金が1億円以下、売却したマイホームの所有期間が10年以上であることなど、いくつかの要件を満たす必要があります。

 

(出典)国税庁ホームページ|No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例

 

特定のマイホームを買い換えたときの特例は、譲渡所得税を繰り延べできる制度であって、譲渡益が非課税となるわけではありませんが、新居の購入費用を捻出しやすくなり、スムーズに住まいを買い換えできるメリットがあります。

 

今回紹介した特例の他にも、公共事業のために不動産を売却した場合や、低未利用地※など、通常の不動産売却の特例とは異なる特別控除が受けられるケースもありますので、事前に確認しておきましょう。

※居住や事業に活用されていない土地、または利用頻度が極端に少ない土地

 

譲渡所得税の特例などを適用しても税金の負担が大きい場合は、所有し続けて活用した方が良い場合もあります。

 

また、相続不動産で売却がスムーズにできない場合、特例適用の期限に間に合わなくなるケースもあるため、相続発生前に相談して方針を決めておくことも重要になります。

 

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相続不動産売却の成功ポイント

相続不動産売却の成功ポイント

 

最後に、相続した不動産を売却する際のポイントについて解説します。通常の売却とは異なり、相続登記や相続税の申告も必要になりますので、あらかじめ注意点をチェックしておくことでスムーズに売却できます。

 

取得費・譲渡費用をもれなく計上する

 

売却する不動産の取得費や譲渡費用が多いほど課税対象の所得が減って節税につながるため、できるだけ正確に計上することをおすすめします。

 

特に、不動産を購入した当時の仲介手数料や不動産取得税などの取得費は、すぐに調べるのが難しい場合もあるため、事前に売買契約書や納税証明書などの書類が残っているか確認しておきましょう。

 

取得費が分からない場合でも、売却価格の5%を取得費として計上できますが、実情よりも少なくなるケースも多いため、できるだけ当時の書類などを集めることをおすすめします。

 

(参考)国税庁ホームページ|No.3258 取得費が分からないとき

 

売却のタイミングを検討する

 

5年以上所有した不動産の売却益は長期譲渡所得となり税率が下がります。

 

状況や希望にもよりますが、所有期間が5年に近い場合は、長期譲渡所得の税率になるタイミングで売却すると税額を減らせます。

 

相続登記(名義変更)は早めに済ませる

 

相続した土地・建物の名義変更(相続登記)は、相続発生から3年の猶予がありますが、空き家特例など売却時の特例を適用したい場合は早めに手続きを済ませましょう

 

また、相続税は相続開始の翌日から10か月以内に申告する必要があります。不動産の売却益を相続税の納税に充てたい場合は、申告期限までに現金化する必要がある点に注意しましょう。

 

早期に処分したい場合は買取も検討

 

不動産会社の買取は仲介よりも売却価格が低くなる傾向がありますが、仲介手数料不要で現況のまま速やかに売却したい場合に向いています。

 

また、売却したい時期は決まっているが、できるだけ高値で売りたいという場合は、一定期間は仲介で売り出せる「買取保証付き仲介」がおすすめです。

 

未来の財託では、不動産の仲介売却はもちろん、買取や買取保証付き仲介にも対応します。

 

買取保証付き仲介では、期間内に売却できなかった場合でも、査定金額の最大90%の高額買取も可能です。

 

不動産の売却や相続空き家でお困りの方も、お気軽にご相談ください。

 

未来の財託の高額買取保証付き仲介

 

〈関連コラム〉

 

不動産売却は仲介と買取どっちが良い?メリット・デメリットと向いているケース、「買取保証付き仲介」についても解説

 

まとめ

 

不動産売却時の譲渡所得税は、売却益や所有期間で税率が変わり、マイホームの3,000万円特別控除、相続空き家特例など、税金がかからないケースや軽減できる特例もあります。

 

譲渡所得税は、売却のタイミングや早めの相続登記、適切な取得費・譲渡費用の計上などで節税できる可能性があります。

 

不動産の売却・活用は、相続不動産の売却や活用に関する知識が豊富な総合不動産会社に早めに相談するのがおすすめです。

 

未来の財託は、不動産の売却・買取・活用などさまざまな方法についてご相談いただけます。

 

不動産の相続発生前に、相続後のトラブルを避けて適切に活用する対策を立てたいという場合もご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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