バリアフリーリフォームとは｜工事内容・費用相場・補助金までわかりやすく解説

車椅子を利用される方、ご高齢の方などが快適に暮らせる住まいとするには、バリアフリーリフォームが欠かせません。

しかし、どこから改修したらいいのか、費用はいくらかかるのかとお困りの方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、多くのリフォーム・リノベーションを手がけている千葉の工務店「オカムラホーム」が、バリアフリーリフォームの工事内容や費用相場、利用できる補助金や減税制度について解説します。

バリアフリーリフォームを行う際の注意点も解説するので、ぜひ最後までごらんください。

バリアフリーリフォームとは

バリアフリーリフォームとは、ご高齢の方、障害のある方も安全で快適に暮らせるように、バリアフリー仕様に変更するリフォームです。

具体的には、次のようなリフォームが行われます。

• 玄関や部屋の出入口、廊下などの段差をなくす
• トイレや浴室、廊下、玄関などに補助として手すりを設置する
• 開け閉めがしやすく、車いすや歩行器でも通りやすい引き戸へ変更する
• 転倒防止のため、床や浴室の素材を滑りにくいものにする
• 車いすの方や介助者が使いやすいように、トイレや浴室の出入り口、スペースを拡張する

将来の介護、あるいは身体状況の変化を見据えて行うケースも少なくありません。

バリアフリーリフォームの工事内容と費用相場

バリアフリーリフォームを行う場合の工事内容と費用相場は、次の表の通りです。

工事内容	費用相場
手すりの設置	2～11万円
段差の解消	2～15万円
滑りにくい床材への変更	4～20万円
ドアの変更	4～60万円
廊下や出入口の幅の拡張	30～100万円
トイレや浴室など水回り設備の取り替え	10～100万円
温度差の解消	7〜20万円

 

あくまでも目安にはなりますが、1箇所につき数万円から数十万円以内で工事できる場合が多いと考えられます。

ここからは、各工事内容について簡単に確認していきましょう。

手すりの設置

手すりの設置は、転倒事故や転落事故などを防ぐために重要です。

玄関や階段、廊下、トイレや浴室などに設置することで、立ち座りや歩行を安全に行えるようサポートします。

手すりの設置のみであれば2〜5万円ほどで行えますが、手すりの設置にあわせて壁の補強も行う場合、10万円ほどかかるケースもめずらしくありません。

段差の解消

住宅内に段差があると、転倒や怪我のリスクを高めてしまいます。

玄関や廊下、水回りなどの生活動線上はとくに、段差を解消して安全に移動できるように対策しましょう。

具体的には、玄関段差へのスロープ設置、床材の重ね張りによるフラット化などの工事が行われます。

工事費用は2〜15万円ほどが目安です。

滑りにくい床材への変更

転倒事故を防止するには、床材を滑りにくい素材へと変える必要があります。

例えば、弾力性のあるクッションフロアであれば、万が一転倒してしまった際も衝撃を和らげるためおすすめです。

他にも、防滑加工が施されたフローリング材へと交換したり、既存の床材に滑り止めコーティングを施したりと、さまざまな方法が考えられます。

浴室はとくに滑りやすい空間のため、防滑性・クッション性がともに優れた床材を選びましょう。

施工範囲や床材の種類によっても費用は異なりますが、4～20万円ほどが費用の目安です。

ドアの変更

車椅子を利用する方も過ごしやすい環境とするには、開き戸から引き戸へ変更するリフォームが必要です。

横にスライドして開閉できるドアにすることで、車椅子で通行しやすくなります。

トイレや浴室、寝室などのドアの変更は20万円以内でできることが多いですが、玄関ドアのリフォームは20～60万円ほどが目安で、高くなる傾向があるため注意しましょう。

廊下や出入口の幅の拡張

車椅子に乗ったままスムーズに移動できるように、廊下や出入り口の幅を拡張することも少なくありません。

車椅子がスムーズに通行するには、幅が90cm以上あることが理想なので、もしも足りない場合には拡張リフォームを行いましょう。

まっすぐ進む時だけでなく、曲がる時にもぶつからないように余裕のある幅とすることが重要です。

工事費用は、30〜100万円以上が目安です。

トイレや浴室など水回り設備の取り替え

水回りは、家の中でも事故が起こりやすい場所のため、安全対策のために各設備を取り替える必要があります。

トイレ・浴室のどちらにおいても行われるのが、ドアの変更や段差の解消、手すりの設置、床材の張り替えです。

トイレの場合、自動洗浄などができる多機能タイプに変えたり、車椅子に座ったままでも使用できる製品に交換する場合もあります。

浴室では、出入りのしやすい浴槽に変更するケースも少なくありません。

どこまで取り替えるのかによって費用は異なりますが、10～100万円ほどが目安です。

 

水回りのリフォームを検討されている方は、こちらも参考になさってください。

【関連記事】水回りリフォーム4点セットの費用はいくら？一軒家・マンションの相場や安く抑えるコツまで解説

 

温度差の解消

物理的なリフォームだけでなく、温度差を解消するためのリフォームも欠かせません。

住宅内で温度差が激しい場合、ヒートショックによって血圧や心臓に大きな負担を及ぼす恐れがあるためです。

浴室に暖房設備を設置したり、住宅全体の断熱性を向上させたりと、施工範囲は状況によって大きく異なりますが、浴室暖房の設置のみであれば20万円ほどが目安となります。

 

築年数が古く、家の中が寒くてお困りの方は、こちらの記事もごらんください。

【関連記事】古い家を暖かくする方法｜効果的な寒さ対策と断熱リフォームのポイント

 

バリアフリーリフォームで使える補助金・減税制度

バリアフリーリフォームでは、補助金や助成金制度を利用できる場合があります。

次の表では、主な制度と補助・減税額についてまとめました。

制度名	補助・減税額
介護保険の住宅改修支援	支給限度基準額（20万円）の9割（18万円）※1
子育てグリーン住宅支援事業	最大60万円／戸※2
リフォーム支援の減税制度	所得税控除：60〜80万円 固定資産税：翌年1/3〜2/3に相当する額の減税 ※2
各自治体の支援事業	自治体ごとに異なる （例：船橋市の場合、工事費用の3/10まで、上限は8万円を助成）※3

※1 出典：介護保険における住宅改修｜厚生労働省
※2 出典：リフォーム支援制度まるわかりガイド｜国土交通省
※3 出典：船橋市｜令和7年度住宅バリアフリー・断熱改修支援事業について

介護保険の住宅改修支援

介護保険を利用した住宅改修支援制度は、要支援・要介護認定を受けた方、手すりの設置や段差解消、ドアの引き戸への変更などのバリアフリー工事を行なう際に、工事費用を補助する制度です。

支給限度基準額は20万円とされており、そのうち9割の18万円を上限として償還払いで支給されます。

支援制度を利用してバリアフリーリフォームを行いたい場合は、着工前にケアマネジャーへ相談し、自治体へ事前申請が必要となるため注意しましょう。

子育てグリーン住宅支援事業

子育てグリーン住宅支援事業は、省エネ性能向上を目的とした新築、リフォームに補助金を支給する制度です。

バリアフリーリフォームも補助対象とされていますが、断熱改修などの省エネリフォームとあわせて行わなければ対象外となるため注意してください。

補助金額は、1戸につき最大で60万円です。

リフォーム支援の減税制度

リフォームを行うと、所得税控除や固定資産税の減額などの税制優遇を受けられます。

所得税額の控除は60〜80万円、固定資産税は1/3〜2/3に相当する額が減税され、バリアフリーリフォームや省エネリフォーム、長期優良住宅化などの工事が対象です。

各自治体の支援事業

自治体ごとに用意されている、補助金・助成金制度を利用することも可能です。

例えば、千葉県船橋市の場合は、「令和7年度住宅バリアフリー・断熱改修支援事業」が提供されており、バリアフリーリフォームや断熱リフォームにかかった費用の一部が助成されます。

対象となるのは合算額が3万円以上の工事で、工事費用の3/10までが助成され、上限は8万円です。

制度を利用するためには、着工前に申請が必要となるため注意しましょう。

バリアフリーリフォームを行う際の注意点

バリアフリーリフォームでは、手すりの設置、段差の解消といった部分的な改善だけでなく、動線や使い勝手も重視して全体を設計しましょう。

生活動線や家事動線はできるだけシンプルに、そしてスムーズに動けるように配慮することで、不要な移動や交差、行き止まりを避けることができ、転倒や事故の防止にもつながります。

また、生活動線・家事動線・介助動線が重なりすぎないように設計することも重要なポイントです。

各動線が重なりすぎるのを防ぐことで、介助しやすくなり、転倒や衝突などのリスクも抑えられます。

使い勝手を細部まで考慮して設計し、家族みんなが過ごしやすい家へとリフォームしましょう。

まとめ

ご高齢の方、障害のある方の安全と安心のために、バリアフリーリフォームは欠かせません。

手すりの設置や段差の解消、滑りにくい床材への変更など、複数箇所をリフォームする場合は費用面が気になりますが、補助金や減税制度を活用することをおすすめします。

また、それぞれの身体状況やライフスタイルに合ったリフォームを行うには、専門的な技術や経験が求められます。

これまでの施工実績が豊富な会社に依頼し、快適な住まいを形にしましょう。