不動産の仲介手数料は売主・買主どちらが払う?支払いタイミングや相場、安くする方法も解説
2025.05.30
2025.05.31
このコラムでは、不動産売買において仲介手数料は誰が支払うのか、売主と買主両方のケースについて解説します。
支払いタイミングや費用相場、仲介手数料を安くするための方法とリスクについてもまとめています。
土地や実家・アパートなどの不動産売却を検討している方は参考にしてください。
コラムのポイント
- 不動産売買における仲介手数料は、売買契約成立時に仲介を依頼した人が支払います。売主と買主が同じ不動産会社に依頼した場合、両者が手数料を支払うことが一般的です。
- 仲介手数料を安くする方法もありますが、リスクを理解した上で検討することが重要です。
- 売買を依頼する不動産会社は、仲介手数料の安さだけでなく、トラブルを防ぎ安全に取引ができるよう、実績や信頼性を重視して選ぶことが重要です。
Contents
不動産売買の仲介手数料は売主と買主どちらが払う?
不動産の仲介手数料は、売買が成立した時点で「仲介を依頼した人」が支払います。
例えば、売主は不動産会社Aに物件の仲介を依頼し、買主は不動産会社Bを通して購入した場合、売主はA、買主はBの不動産会社へ仲介手数料を支払う必要があります。
また、売主と買主がどちらも同じ不動産会社に売買を依頼した場合(両手仲介)、売主と買主両方がA社に仲介手数料を支払うことになります。
なお、不動産の仲介手数料は、取引が成立した場合にのみに支払う費用です。
不動産会社が仲介取引で買主や売主を見つけても、成約に至らなければ仲介手数料の支払い義務は生じません。
両手仲介では仲介手数料無料や半額のケースも
売主と買主が依頼している不動産会社が同じ両手仲介の場合、不動産会社は売主と買主のどちらか一方から仲介手数料を取らなかったり、半額にしたりするケースもあります。
売却先が決まっている場合も仲介手数料は必要
ちなみに、すでに買主が決まっている物件について、トラブル防止のため不動産会社に仲介してもらう場合も、仲介手数料は必要です。
買主が決まっている場合の仲介では、不動産会社は販売活動する必要がない分、仲介手数料が安くなる可能性もあります。
不動産売買の仲介手数料を支払うタイミング
不動産仲介手数料の支払いタイミングは主に以下の3通りです。
- ①売買契約時に半額、引き渡し時に残額を支払う
- ②引き渡し時に一括で支払う
- ③売買契約時に一括で支払う
仲介手数料は基本的に現金払いですが、銀行振込が可能な場合もあるので、事前に支払い方法、時期とおよその金額を把握し、事前に準備しておきましょう。
①売買契約時に半分、引き渡し時に残金を払う
売買契約時に前金として半分、引き渡し時に残金を支払う方法で、最も一般的なパターンです。
なお、売主は買主が売買契約時に払う手付金(売却価格の5〜10%程度)を仲介手数料に充当できます。
手付金が仲介手数料の半額よりも多い場合、売主は負担がなくなります。
②引き渡し時に一括で払う
主に買主が物件を購入する際、不動産の引き渡し時に仲介手数料を一括で支払う方法です。
例えば、売買契約時に買主が仲介手数料を捻出するのが難しい場合、引き渡し時一括払いにすることがあります。
③売買契約時に一括で払う
不動産の売買契約締結時に、仲介手数料を一括で支払うケースです。
売主の立場で、仲介手数料が売買契約時の一括払いだった場合、手付金の額次第では自己資金で補う必要がある点に注意が必要です。
売買契約時の一括払いが難しい場合は、事前に不動産会社に相談することをおすすめします。
不動産売買における仲介手数料の相場
不動産売買の仲介手数料は「宅地建物取引業法」によって上限額が定められています。
(参考)
e-Gov法令検索|宅地建物取引業法
国土交通省HP|宅地建物取引業法関係|宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
不動産の仲介手数料は、物件の売買価格によって以下のように上限額の計算方法が変わります。
不動産の仲介手数料上限額の計算方法(速算式)
売買価格 | 計算式(速算式) |
---|---|
200万円以下 | (売買価格×5%)+消費税 |
200万円超〜400万円以下 | (売買価格×4%+2万円)+消費税 |
400万円超 | (売買価格×3%+6万円)+消費税 |
例えば、不動産を2,000万円で売却した場合、仲介手数料の上限額は2,000万円×3%+6万円+消費税で72万6,000円になります。
以下に、売却価格ごとに仲介手数料の上限を計算した結果をまとめましたので参考にしてください。
不動産売買の仲介手数料上限額(売却価格別)
売買価格 | 仲介手数料(税込) |
---|---|
200万円 | 11万円 |
400万円 | 19万8,000円 |
500万円 | 23万1,000円 |
1,000万円 | 39万6,000円 |
1,500万円 | 56万1,000円 |
2,000万円 | 72万6,000円 |
2,500万円 | 89万1,000円 |
3,000万円 | 105万6,000円 |
3,500万円 | 122万1,000円 |
4,000万円 | 138万6000円 |
5,000万円 | 171万6,000円 |
7,500万円 | 254万1,000円 |
1億円 | 336万,6000円 |
もし、不動産会社が上限額を超える仲介手数料を請求した場合は法律違反になり、業務停止命令や業務改善命令などの行政処分が下される可能性があります。
また、あくまで上限額のため、上記の表の額より低くなる場合もあります。
「低廉な空家等」の売却では仲介手数料の特例がある
2024年7月から、「一定価格以下の宅地建物に対して、不動産会社の仲介にかかった費用に応じて上限を超えて仲介手数料を請求できる」ように宅地建物取引業法が一部改正されました。
新たな制度は「低廉な空家等の媒介の特例」という名称になります。
特例に該当する「低廉な空家等(物件価格が800万円以下の宅地建物)」については、不動産会社の仲介にかかった費用次第では上限額以上の仲介手数料(30万円の1.1倍が上限)がかかる場合があります。
ただし、不動産会社が特例を適用する場合は、媒介契約締結時にあらかじめ依頼者に説明や同意を得る必要があるため、必ず仲介手数料が高くなるわけではありません。
不動産会社に特例を適用した仲介手数料を打診された場合は、査定や売却活動で相当の費用や労力がかかったことについて納得できるか、しっかりと話し合いましょう。
仲介手数料を安くすることはできる?方法とリスク
仲介手数料は売買価格が大きいほど高くなるため、場合によってはかなり高額になります。
仲介手数料の支払いが難しい場合に、安くする方法とリスクについて解説します。
値引き交渉する
仲介手数料をなるべく抑えるために、不動産会社に値引き交渉するのも1つの方法です。
ただし、むやみに値引きを求めることはおすすめしません。
不動産取引において、仲介手数料は売主と買主を仲介した不動産会社への報酬であると同時に、「双方がトラブルなく安全に取引するために必要な費用」と考えることもできます。
また、不動産会社が売主か買主どちらか一方へしか仲介手数料を請求できない「片手仲介」などの場合では、無理に値引きすることで信頼関係が築けなくなり、最悪の場合、思ったような金額で売買できなくなってしまう可能性もあります。
仲介手数料無料の不動産会社に依頼する
仲介手数料を無料としている不動産会社も中にはあります。ホームページやチラシなどで「手数料無料」と書かれていると、つい利用したくなってしまうかもしれません。
ただし、両手仲介などの明確な理由がないのに「手数料無料」や「格安」としている不動産会社は注意が必要です。
安全に売買ができる不動産会社を選ぶためには、仲介手数料が「なぜ無料なのか」「誰が負担しているのか」を見極めて冷静に判断することが重要です。
仲介を挟まず個人間売買にする
不動産会社を介さず、売主と買主同士で個人間売買すれば、仲介手数料は必要ありません。
ただし、不動産の調査や売買契約書の作成などをすべて当事者で行わなければならないため負担が大きく、契約内容に不備があった場合、後々トラブルに発展してしまうリスクもあります。
また、販促活動も自身で行う必要があるほか、不動産会社の物件ネットワークである「REINS」に登録できないため、長期間買い手が見つからないケースも。
買主が決まっていない場合や、不動産売買の専門知識が少ない場合は特に、余計に手間や費用がかかってしまうおそれもあるため、個人間売買は避けることをおすすめします。
不動産会社の買取を利用する
不動産会社に直接不動産を買い取ってもらえば、仲介にあたらないため仲介手数料は不要になります。
ただし、買取を扱う不動産会社は限られており、買取価格は市場の相場よりも安い傾向があるため、金額だけで言えば必ず得になるわけではない点に注意が必要です。
スピーディに売却できるメリットを重視する人にはおすすめの方法と言えます。
不動産会社の買取のメリット・デメリットについては以下のコラムで詳しく解説していますのでごらんください。
〈関連コラム〉
不動産買取の注意点!デメリットや買取金額が安くなる理由を解説
空き家買取の基礎知識|メリット・デメリットや不動産会社選びのポイントを解説
まとめ
不動産売買における仲介手数料は、売買契約成立時に仲介を依頼した人が支払います。売主と買主が同じ不動産会社に依頼した場合、両者が手数料を支払うことが一般的です。
手数料の支払いタイミングは、契約時と引き渡し時の分割、または一括払いがあります。
仲介手数料は宅地建物取引業法で上限額が定められています。仲介手数料を安くする方法もありますが、リスクを理解した上で検討することが重要です。
売買を依頼する不動産会社は、仲介手数料の安さだけでなく、トラブルを防ぎ安全に取引ができるよう、実績や信頼性を重視して選ぶことが重要です。
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