長男が実家に戻らない場合に資産をどうするべきか|「親不孝」と感情的にならない跡継ぎ拒否対策
2026.02.10
2026.02.21

世間では「長男が実家に戻らない=親不孝」という価値観が薄れている傾向がありますが、現実的には「自宅などの資産を、この先どうすればいいのか」と悩んでいる方が多くいらっしゃいます。
また、ご自身が長男という立場で、仕事・家庭などの事情から、「簡単に実家に戻るという決断をできない」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は首都圏エリアで多くのご家族の資産運用・相続対策などのご相談を承ってきた『未来の財託』が、実家継承問題を解決する方法を、わかりやすく解説します。
ご自身・ご長男の状況を整理しながら、ご家族で円満に「実家をどうするか」を決定するために、ぜひ最後までごらんください。
「持ち家などの資産を引き継いでいく方法」「相続税」などについて疑問・不安をお持ちの方は、専門家が円満相続の方法をわかりやすく解説するセミナーをご活用ください。
Contents
「長男が実家に戻らない=親不孝」と考える方は減少傾向

かつて、「長男は実家を継ぎ、親と同居するのが当たり前」という価値観が一般的な時代がありました。
しかし、政府が実施している複数の「家庭状況に関連する調査」を確認したところ、「長男は実家に戻るもの」という考え方が、少しずつ変化していることがわかりました。
【調査結果の例】
- 親世代の約3割が「同居ではなく近居」を望んでいる
- 親と同居している世帯は減少傾向で、2022年時点では約7世帯に1世帯程度
- 「老後は子どもと別に暮らす」を選択する多く、若い世代ほどこの傾向が強い など
〈参考〉
・内閣府『高齢者の生活と環境に関する調査結果 第2章 調査結果の概要 -3(9)子と同居や近居の意向(問24)
・厚生労働省『全国家庭動向調査』結果の概要45ページ
・厚生労働省『平成28年版厚生労働白書-人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える-』
上記のような調査結果から、「長男が実家に戻らない=親不孝」という考え方は多数派ではなくなり、「状況に応じて子世帯との距離感を調整する」という考え方が自然なものになっていると想定できます。
長男が実家に戻らない4つの理由|「親不孝」とは言えない実態がある

冒頭で長男が実家に戻らないことを親不孝としない価値観の広がりを確認しましたが、以下のような理由で、ご長男が「実家に戻る」という選択をしづらくなっている可能性もあります。
- 仕事の壁
- 住まいの壁
- 家族の壁
- 社会的な認識の壁
ご長男自身の意思では簡単に動かせない物理的・経済的な壁が現実的にあることも、確認しておきましょう。
仕事の壁|職場が遠く実家に戻ったことで生まれる金銭負担も大きい
現在の日本では、「雇用」「キャリア形成の場」の多くが都市部に集中しており、実家が地方や郊外にある場合は、通勤が体力的負担・経済的負担となるのが一般的です。
実家に戻らないという判断は、「帰りたくない」という感情の問題ではなく、生活を維持するための現実的な選択というケースがあります。
こちらの記事で、「田舎の実家をどうするべきか」を検討する際に役立つ情報をご確認いただけます。
〈関連コラム〉田舎の実家をどうする?活用や売却などの選択肢と相続前にできる対策、売れない場合の対処法を解説
住まいの壁|長男自身が家を購入済み

ご長男がすでにご自宅を購入している場合、「実家に戻る」という選択のハードルがさらに高まります。
「長期的な生活の拠点」を定めてご自宅を購入するのが一般的で、通勤・ご家族の生活などを前提に決定した住環境は、簡単に手放せないためです。
また、住宅ローンについても以下のような懸念点があり、「現在の住まいを手放して実家に戻るという選択」は、現実的に難しいのが現実です。
- ご自宅の売却時には住宅ローン完済が前提条件となるため、売却額で住宅ローンを完済できない場合、売却の意思決定のハードルが上がる
- ご自宅を賃貸転用することも可能だが、固定資産税の負担・設備に不具合が発生した場合の対応などを考えると、簡単には意思決定できない
家族の壁|長男自身の家庭が優先
ご長男が実家に戻ることは、ご長男家族全体の人生設計にも影響します。
- 転居によって妻のキャリアが断絶する
- お子さまの転校によって、学習環境やご友人との関係が変化する
- ご長男家族全体にとって、住み慣れた土地・地域コミュニティから離れること自体がストレスになるケースもある
ご長男が実家に戻らないという判断は親との断絶を意味するのではなく、「ご自身のご家族の生活を守るための選択」というケースがあります。
社会的な認識の壁|「家制度」の廃止後は長男が実家に戻る義務がない
かつて日本には、長男がすべての家督を継ぐという「家制度」が存在していましたが、家制度は1947年の民法改正によって廃止されました。
現在の法律では、「長男だから」という理由で家に対する特別な権利・義務が生じることはありません。
相続においても、原則として戸籍上のお子さまは平等に法定相続権を持っています。
家制度の廃止によって、「長男だから実家に戻るべき」という社会全体の価値観が変化したと想定できます。
相続税などに関する疑問や悩みをお持ちの方は、専門家が税金の仕組みをわかりやすく解説するセミナーをご活用ください。
長男が実家に戻らない場合に「資産をどうするべきか」を決定するまでのステップ

家の継承に対する社会全体の価値観が変化したことによって、親子間でも考えが相違するケースがあることは、ごく自然なことです。
「親子間で考えが相違したとしても、感情的にならずに家族にとってベストな資産の行方を話し合いたい」とお考えの方が多いのではないでしょうか。
次に、ご長男が実家に戻らない場合に、親子で建設的に「実家をどうするべきか」を決める流れを紹介するので、参考にしていただけると幸いです。
①長男の意思を再確認
親子であっても人の意思・行動をコントロールすることは難しいため、はじめにご長男の意思を改めて明確に確認しましょう。
また、ご自身としても「同居は絶対ではないが、将来は近居を希望する」などの意思を明確に表明することで、「お互いの希望を叶えられるかどうか」を現実的に検討しやすくなります。
②親族への現状共有

家制度の廃止後、戸籍上の子どもは平等に法定相続権を持っています。
そのため、実家を含む親の資産の行方をご自身・ご長男間だけで決定することは、親族トラブルを引き起こす可能性があります。
ご親族にも「長男が実家に戻らない」という事実を共有したうえで、実家を含む資産の行方を検討していくことが、親族間の感情的な対立・相続時の混乱などを防ぐ対策となります。
③資産の棚卸し・今後の資金計画
実家を含む資産の行方を検討する際には、長男が実家に戻るかどうかに関わらず、資産をすべて洗い出して「目録」を作成することをおすすめします。
特に実家のような「不動産」は現金と違って明確に分配することが難しいため、現状を細かく確認しておきましょう。
【資産が実家のみの場合に把握しておくべき項目の例】
- 現状のままだと、いつまで住めるか
- 大規模修繕をする場合の費用の目安
- 現状で生活の負担になっている管理の内容(庭木の手入れ・除雪など)
- ご自身で実家をいつまで管理できるか など
ご長男を含むお子さま全員が実家に戻らない場合には「実家の処分」が必要になため、ご自身の体力や収入で実家をいつまで維持するかを明確に決めると、「実家処分後の住み替え」などの資金計画をしやすくなります。
④実家を「負動産の空き家」にしない対策を検討
ご長男を含むお子さま全員が実家に戻らない場合、最も避けたいのが「実家が長期にわたって空き家となること」です。
空き家であっても庭の草木が伸びる・固定資産税が発生するなどは変わらないため、実家がご家族全体にとっての「負動産」となるケースが多数あるためです。
実家が負動産となることを避けるために、ご家族で具体的な対処法を検討する必要があります。
- 「誰も住まないと決まった」段階で実家を売却し、現金化する
- 実家を賃貸住宅に転用し、家賃収入を得ながら維持する
- 実家を空き家にする場合は定期的な管理が必要なため、空き家管理サービスの利用も検討
- 実家を解体し、土地を管理の手間が少ない駐車場などとして運用する方法もある など
こちらの記事で、土地の相続対策をご確認いただけます。
〈関連コラム〉土地は生前贈与と相続のどちらが得?メリット・デメリットや税金・手続きにかかるコストシミュレーションを紹介
長男が跡継ぎ拒否をしないための対策

「長男は、実家に戻る・戻らないに関わらず、家族全体の中心にいる」という認識をお持ちのご家族が多いと思います。
最後に、ご長男自身が「家族のよりどころになる大切な存在」であることを拒否せず、ご家族全体が円満なコミュニケーションを維持していくための対策も紹介します。
近居や二世帯住宅へのリフォームも含めて実家の将来を検討
「ご長男が実家に戻るかどうか」と「ご長男が今すぐ現状の実家に戻って親と同居するかどうか」を混同すると、親子間の意見が食い違う原因になります。
選択肢は複数あるため、時間をかけて柔軟に対話を重ねていくことをおすすめします。
- 近居
- 実家を二世帯住宅にリフォームしたうえで同居
- ご長男が定年退職のタイミングで実家に戻るかどうかを再検討 など
仕事に関しては、ご長男がこれまで培ってきた知識・専門性・人脈を地元に持ち帰って、仕事や地域活動で活躍していく道もあります。
特に首都圏から地方への移住は、「自治体の移住支援」を活用しやすいというメリットもあるため、実家をどうするかを話し合う前に確認しておきましょう。
【自治体の移住支援の例:神奈川県香取市】
- 移住支援金:単身移住 60万円、世帯移住 最大300万円
- 移住体験が可能
- 移住相談が可能
〈参考〉香取市 トップページの検索窓に「移住・定住」と入力して検索
実家・お墓両方を畳む方法を話し合いで決定

ご長男が実家に戻らないだけではなく、「お墓や菩提寺の檀家としての務めも引き継がない」という状況のご家族もいらっしゃると思います。
そのため、ご長男が実家に戻らない場合には、「墓じまい・離檀の必要はあるのか」も含めて、ご家族にとって最善の選択を検討してください。
墓じまい・離檀は高額な費用が必要となるため、可能性がある場合には菩提寺のご住職に費用や手順を相談しておくことをおすすめします。
実家に長男以外が住む選択肢も検討
ご長男以外のお子さま・お孫さん・親戚など、親族の中に実家を必要とする方がいらっしゃる場合は、売却よりもスムーズに実家を引き継げる可能性があります。
こちらの記事で、相続税の納税負担を大きく軽減するご実家の引き継ぎ方を、ご確認いただけます。
〈関連コラム〉小規模宅地の特例は一人だけor複数人で相続どちらが得か|要件、節税効果激減の落とし穴などわかりやすく解説
まとめ
「長男が実家に戻らない=親不孝」という価値観は、親世代・子世代ともに薄くなっていく傾向があります。
ご長男が実家に戻らないと決まった場合には、実家を含む資産の行方について、時間に余裕を持ってご家族で話し合うことが大切です。
また、ご家族だけで話し合うことが難しい場合、税金などに対する疑問・不安がある場合には、専門家に相談をしながら話し合いを進めていくことも可能です。
未来の財託では、専門家が相続などの情報をわかりやすくお伝えするセミナーを開催しておりますので、首都圏エリアで実家などの資産をお持ちの方は、お気軽にご活用ください。


0120-210-341