コラム

小規模宅地の特例は一人だけor複数人で相続どちらが得か|要件、節税効果激減の落とし穴などわかりやすく解説

2026.01.15

2026.01.27

小規模宅地の特例は一人だけor複数人で相続どちらが得か|首都圏の不動産経営コンサルティング「未来の財託」

小規模宅地の特例」は、宅地を相続する際の相続税を大きく節税できる可能性がある制度ですが、制度内容が非常に複雑ですよね。

小規模宅地の特例の節税効果を最大限にするためには、一人だけor複数人どちらで受けるべき?」と疑問をお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、首都圏で多くの不動産経営者様をサポートしている『未来の財託』が、「小規模宅地の特例を一人だけで受ける場合・複数人で受ける場合の違い」「小規模宅地の特例を受ける人を選ぶ方法」などを、わかりやすく解説します。

ご家族の大切な土地を守ってより多くの資産を引き継いでいくために、最後までごらんください。

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小規模宅地の特例とは|制度の概要を改めて確認

「小規模宅地の特例とは」イメージ画像|首都圏の不動産コンサルティング『未来の財託』

「小規模宅地の特例」とは、被相続人※1の宅地等(居住用・事業用の土地)を相続する際に、宅地等の相続税評価額※2を最大80%減額できる制度のことです。

※1「被相続人」とは、相続財産を渡す方(亡くなった方)のことです。
※2「相続税評価額」とは「相続税の課税対象額(相続税計算の元になる額)」のことで、国が定めたルールに従って算出します。

例:「相続税評価額※1億円の土地」に小規模宅地の特例を適用できる場合
「1億円×80%=8,000万円」を相続税評価額から減額して、相続税の課税対象額が2,000万円となります。

※宅地の用途ごとに、小規模宅地の特例を受けられる面積の上限があります。(例:居住用宅地は330㎡までなど)

当記事ではわかりやすい説明を優先して、「小規模宅地の特例を受けられる面積の上限範囲内」と仮定して計算例を紹介しています。

小規模宅地の特例の全体像を、こちらの記事で確認できます。

宅地等にかかる相続税を納税する際には、現金を相続する場合と違って分割・換金を簡単にできません。

小規模宅地の特例を活用することは、相続税の納税負担を抑えて自宅や事業所を守ることにつながります

小規模宅地の特例は一人だけor複数人で相続どちらが得か|二次相続・不動産の売却まで見据えた対策が必要

小規模宅地の特例について相談する夫婦|首都圏の不動産コンサルティング『未来の財託』

結論から申し上げると、小規模宅地の特例は、「同居の子が一人だけで受けると節税効果を最大化できる」というケースが多数です。

ただし例外もあるため、この章で詳細をご確認ください。

小規模宅地の特例は一人だけで受ける方が節税効果が高いケースが多い

小規模宅地の特例は、特例を受ける方の持ち分のみに対して相続税評価額を減額できる制度です。

また、小規模宅地の特例を受けるためには要件があります。

相続人の中に小規模宅地の特例の要件に該当しない方が含まれる場合は、宅地等の全体の相続税評価額から減額できる総額が少なくなりますよね

そのため、一般的には一人だけで受けるほうが節税効果が高いケースが多くなります

(例)相続税評価額1億円の宅地等
特例の要件を満たす相続人2人が1/2ずつ(5000万円分ずつ)相続する場合
各人が相続税評価額から減額できる額5000万円×80%=4,000万円
各人の相続税の課税対象額5,000万円−4,000万円=1,000万円
宅地等の全体の相続税評価額1,000万円×2人分=2,000万円
(ご家族全体で8,000万円に対する相続税を節税)

一方で、上記の表と同じ状況で相続人のうち1人が小規模宅地の特例の要件に該当しない場合は、以下のとおり、相続税計算のもとになる相続税評価額が高額になり、ご家族全体での節税効果が激減するケースがある点に注意しましょう。

(例)上記表と同じ状況で、特例の要件を満たす方が1人の場合
相続税評価額から減額できる額4,000万円
(上記計算と同じ)
各人の相続税の課税対象額要件に該当する方:1,000万円
(上記計算と同じ)
要件に該当しない方:5,000万円
(小規模宅地の特例を受けられない)
宅地等の全体の相続税評価額1,000万円+5,000万円=6,000万円
(ご家族全体で4,000万円に対する相続税を節税)

小規模宅地の特例を受けるべき一人の選び方|「配偶者より子を優先」がベスト

小規模宅地の特例について相談する夫婦|首都圏の不動産コンサルティング『未来の財託』

「小規模宅地の特例を受けるべき一人」の適切な選び方は相続時の状況によって違いますが、最も優先すべきは「同居の子」です。

理由は、配偶者は以下の額までは相続税がかからないためです。(どちらか多い額)

  • 1.6億円
  • 配偶者の法定相続分相当額

一般的には小規模宅地の特例の対象となる土地は1.6億円以下のケースが多いため、配偶者よりも同居の子が小規模宅地の特例を受ける方が、ご家族全体の相続税額を抑えられます。

同居の子がいない場合は、同居していなくても小規模宅地の特例を受けられる「家なき子特例」という制度がありますが、家なき子特例は要件が厳しい点がネックです。

【家なき子特例の主な要件】

  • 被相続人に配偶者がいない
  • 相続開始直前に、被相続人と同居していた相続人がいない
  • 過去3年間、相続人自身・相続人の配偶者などが所有している住宅に住んだことがない
  • 相続した宅地を、相続税の申告期限まで所有し続ける など

相続税対策の一環として小規模宅地の特例の活用方法を検討する場合には、小規模宅地の特例の要件をよく確認して対策を組み立てましょう。

※のちほど小規模宅地の特例を受ける要件を、「小規模宅地の特例を一人だけで受けるための要件をわかりやすく解説」で詳しく確認できます。

【例外】小規模宅地の特例を「複数人」や「配偶者」が受ける方が得になるケース

小規模宅地の特例について相談する夫婦|首都圏の不動産コンサルティング『未来の財託』

小規模宅地の特例は一人だけで受けると節税効果を最大化できるケースが多いのですが、以下の場合は例外となる可能性があります。

  • 宅地等の売却が決まっている場合
  • 配偶者の相続財産が1.6億円以上の場合
  • 複数の宅地等を相続する場合
  • 配偶者自身が多額の資産を持っている場合

小規模宅地の特例の活用方法については、最終的には専門家に相談する方が多いと思います。

ただし、ご自身が節税対策の内容をしっかり把握していないと、状況が変化した場合などに適切な対処が遅れる場合があります。

そのため、次に紹介する例外もぜひご確認ください。

「持ち家のほかにアパートを所有している」など、事業用の土地を所有していて相続税対策の必要性を感じている方は、専門家が税金の仕組みをわかりやすく解説するセミナーをご活用ください。

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宅地等の売却が決まっている場合は複数人での相続が得になるケースがある

「相続する宅地を売却する」と決めている場合、宅地の売却によって「譲渡所得税」が発生することも念頭に置いて、相続税の節税対策を検討する必要があります

※「譲渡所得税」とは、土地や建物を売却した際の売却益(売却額から土地や建物にかかった経費を差し引いた額)に課される税金です。

譲渡所得税を計算する際には「譲渡所得税の3,000万円控除(所有者1人につき利益から3,000万円を控除できる特例)」があるため、複数人で宅地を相続するほうが、ご家族全体が負担する「相続税+譲渡所得税」を節税できるケースがあります

【複数人での相続が特になるケースの具体例】

  • 宅地等の売却で6,000万円以上の売却益を見込める場合
  • 「同居の相続人」が複数いる場合(特に配偶者以外の相続人が複数いる場合)

※ただし「譲渡所得税の3,000万円控除」にも詳細な要件があるため、要件に該当するかどうかを確認したうえで、活用を検討する必要があります。

こちらの記事で、譲渡所得税が0円になるケースを確認できます。

配偶者の相続財産が1.6億円超の場合|ただし節税効果激減の落とし穴・二次相続に注意

小規模宅地の特例野受け方に影響する宅地の価値のおメージ画像|首都圏の不動産コンサルティング『未来の財託』

小規模宅地の特例には、「配偶者はほとんど要件なしで特例を受けられる」という特徴があります。

そのため、配偶者の相続財産が1.6億円を超過する場合は、「小規模宅地の特例を受ける人に配偶者を含める」という判断をするほうが、ご家族全体での相続税の節税効果を高められるケースがあります

ただし以下の場合は配偶者であっても小規模宅地の特例を受けらず、ご家族全体での相続税の節税効果が激減するため、注意が必要です。

  • 事業用の土地は、相続税の申告期限前に事業をやめたり土地を売却したりすると、小規模宅地の特例を受けられない
  • 配偶者の相続税が0円の場合でも、相続税の申告をしないと小規模宅地の特例を受けられない

また、配偶者が宅地を相続すると、「二次相続時(配偶者が亡くなったとき)には配偶者がいない」という状況となるケースがあり、ご家族全体の相続税負担が重くなる点にも注意しましょう。

相続税対策は、二次相続まで見据えて検討する必要があります。

二次相続を見据えて土地の生前贈与を検討する際に役立つ情報を、こちらの記事で確認できます。

配偶者自身が多額の資産を持っている場合

「配偶者の相続財産が1.6億円超となる」という状況に加えて、配偶者自身も多額の資産を持っているという場合、「配偶者が宅地を相続して小規模宅地の特例を受ける」という選択をすると、配偶者自身の財産が増えますよね。

その結果、二次相続でご家族が多額の相続税を負担することになります

そのため、「別の相続人が宅地を相続して、配偶者は相続税を納税する」という選択をするほうが、二次相続まで含めた相続税総額を節税できるケースがあります

複数の宅地を相続するケース

小規模宅地の特例の対象となる宅地等が複数あり、その宅地等が事業用・居住用の場合、相続税評価額を減額できる宅地等の面積上限が緩和されます。(面積上限:730㎡)

そのため、以下の両方に該当する場合、複数人で小規模宅地の特例を受けるほうが、ご家族全体の相続税を節税できるケースがあります

  • 事業用・自宅用の土地の合計面積が730㎡以上
  • 小規模宅地の特例の要件を満たす方が複数人いる

小規模宅地の特例の節税効果を高めるために「一人だけで受けるor複数人で受けるどちらがいいか」などを解説してきましたが、小規模宅地の特例には詳細な要件があるため、相続税対策を検討する際には要件の把握も必須です

次に、小規模宅地の特例を受ける要件を、わかりやすく解説します

小規模宅地の特例を受ける要件をわかりやすく解説

小規模宅地の特例の要件イメージ画像|首都圏の不動産コンサルティング『未来の財託』

小規模宅地の特例は、特例を受ける方によって要件が変わります

  • 同居の子
  • 配偶者
  • 家なき子特例の要件に該当する方

それぞれ簡単に紹介するので、ぜひご確認ください。

同居の子が一人で小規模宅地の特例を受ける要件(同居の親族も同様

同居の子(同居の親族も同様)が小規模宅地の特例を受けるためには、次の要件を満たす必要があります

居住要件等・居住用地:相続開始前から、相続税の申告期限(相続開始から10か月)まで、その宅地等に継続して居住
・事業用地・アパートなど貸付用の事業用地:その宅地等で営んでいる事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、申告期限まで営んでいる
・同族会社を営む事業用地:相続税の申告期限時点で、その法人の役員に就任している
保有要件相続税の申告期限まで、対象となる土地を所有し続けている

小規模宅地の特例を受ける宅地等が「居住用地」の場合、単に住民票を移しているだけではなく、「生活している実態が求められる」という点に注意が必要です。

配偶者が一人で小規模宅地の特例を受ける要件

配偶者が小規模宅地の特例を受けるための要件は、シンプルです

居住要件なし
(生前に同居している必要がなく、相続税の申告期限まで住み続ける必要もない)
保有要件なし
(相続税の申告期限前に売却しても小規模宅地の特例を受けられる)

家なき子特例の要件に該当する方が一人だけで小規模宅地の特例を受ける要件

「家なき子特例」に該当する子が小規模宅地の特例を受けるためには、厳しい要件があります

同居要件相続開始時に、被相続人に配偶者・同居親族がいない
居住要件相続開始前3年以内に、自己または配偶者名義の家に居住していない
保有要件・相続税の申告期限まで、対象の宅地等を所有し続ける
・過去に対象の宅地等を所有したことがない
その他日本国籍を有している

小規模宅地の特例を受ける方全員に共通する要件

小規模宅地の特例は、誰が相続する場合でも、共通してクリアしなければならない手続き等があります

  • 相続税申告書の提出:相続税額が0円になる場合でも、必ず相続税の申告手続きをする
  • 遺産分割の完了:相続税の申告期限までに、遺産分割協議書が作成されている
  • 全員の同意:宅地等を複数人が相続して一人だけが小規模宅地の特例を受ける場合は、相続人全員の同意と署名が必要

まとめ

小規模宅地の特例は、一人だけで受けるほうが相続税の節税効果が高くなるケースが多数ですが、相続時の状況によっては例外もあります

相続対策を実施する際には、「相続後に宅地を売却するか」「二次相続時にご家族がどの程度の相続税を負担することになるか」まで見据えた対策を組み立てましょう。

誤った選択で多額の相続税が発生することのないよう、相続税の専門家に相談しながら相続対策を実施することをおすすめします。

持ち家などの不動産を所有していて、相続税などの税金について疑問・悩みをお持ちの方は、専門家が税金の仕組みをわかりやすく解説するセミナーをご活用ください。

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